14話 バス爆破計画
警察立ち合いの元、ワン・シンドーは責任認定書に拇印を押していました。
同席してはいたものの、タオ・インホンの表情は虚ろ。
バス会社の社長は、明らかに会社側の過失だし警察もいるし、上からの態度ではないけど、早く厄介ごとを終わらせたいって心情が言葉の端はしに出てしまっている。
もう揉めずに済む、互いに清々する、なんて、被害者の遺族にかける言葉ではないでしょうよ。
ワン・シンドーは特に反応してないんだけど、タオ・インホンはそれを聞いて様子が変わります。発作を起こしたのか、吐いてしまったのか。
直接的な誹謗中傷でなくても、こんな関係者の態度にもとことん傷つけられてたってことね。
ワン・シンドーは善良な優しい人。だから人の心の機微には、良くも悪くも鈍感。
タオ・インホンが教師として授業をしている回想シーン。
教室の後ろのほうでは、数人の男子生徒が授業中なのに固まってスマホを見てました。
近付いたタオ・インホンがそこで見たのは、自分の娘のあの動画。
彼女がそこで初めて見たのか、既に知っていたのかは分からない。
だけど、動画についたあの酷い弾幕。
それをこの生徒たちは、娘を亡くした親である先生の授業中に、面白がって見ているという醜悪さ。
スマホの持ち主は、反論のコメントを入れたと言うけど、タオ・インホンにどこに?と聞かれても、明らかにはできませんでした。
こういう普通の子達が、匿名でなんでも言えちゃう中、煽りに乗ったコメントつけてたっておかしくないんだなー。そこにあるのは、悪意とすら呼べない程度の、生っチョロイ正義感や優越感、承認欲求、想像力の欠如なのかもしれない。
タオ・インホンは多分、この生徒を殴って辞めたんですな。
買い物から帰ったワン・シンドーは、テーブルの上に娘の携帯を置いたまま、ただじっと座っている妻に話しかけました。
校長たちは心配してしばらく休めと電話してきたと。
だけどね、そこで娘の携帯が鳴るのよ。
娘がワン・シンドーに電話をした1:42と1:44に、タオ・インホンはアラームをセットしていました。
娘のSOSの時間を忘れないように。
いやあ。これは電話に出られなかったワン・シンドーがゴリゴリ削られるねー。
だけど、削ろうとしてるよね。電話に出られないってことは日常多々あることだけど。それでも彼女は、娘のSOSを受けとめてやれなかった夫を恨んでる。だから容赦なく追い詰め、糾弾する。
娘は、父親の運転中に電話をしたら危ないからと、仕事中は連絡をしない子だった。そんな子が電話してきたのは、普通のことじゃなかったはずなのに、と。
だけどそれは、自分に対しても同じことなのかもしれません。
だって娘は母を頼ろうとはしなかった。授業中に携帯を持ち歩かないのは、職業柄仕方のないことだけど、いつどんな時でも母は自分のために連絡が取れる人ではないことを、娘は小さい頃から知っていた。追い詰められた状況でも、母親の携帯に着信はなかった。ある意味、娘は母を諦めていた。
バスの中で何があったのか。ヤツらは知ってて何も言わない。真実を隠してる。
泣き叫ぶ妻に、嘉林行きを提案したのは、ワン・シンドーのほうでした。
ワン・モンモンの事故から半年ほどして、バス会社に再就職を希望したワン・シンドー。
信じられないことに、社長は彼を覚えてはいませんでした。履歴書を見ても、顔を見ても。
ほんっと信じられない。
バス会社が日頃、どれくらい賠償の発生する死亡事故を起こしているのか知りませんが。
一か月も納得せずに引き延ばしていた遺族の、その間、何度も対面していた被害者の父親に、どこかで会ったかな、見覚えがあると言っちゃうって。
ショックを隠し、ワン・シンドーはドライバーとしての経歴を主張し、45番バスの担当を希望しました。
そのショックを、タオ・インホンが借りたガレージの前で呟くワン・シンドー。
彼は今まで、他人の丁寧な態度の奥に潜む無関心や悪意を推し量って生きてきたことがない、普通の善良な人物だったんだろね。でも今は、全員クズ野郎だと呟いてます。
そんな話を耳にしたとしても、娘の事故以降、そういう部分に嫌というほど対峙してきたタオ・インホンは、何を今更、みたいにマントウを手渡し、自分もただ黙々と食べました。空腹だと戦えないと。
そして数年後、タオ・インホンがボヤを出した4/4の夜。
バイクでガレージへ行き、その怪我を心配するワン・シンドーは、タオ・インホンが爆弾作りに成功したことを知らされます。本当は、もうやめないかと言いたかったらしいけど。まだやるのかと言ってはみたけど。夢にモンモンが出て来て、2人は生きてと言ってたと伝えたけど。
でも既に成功してた。だからこそのボヤだった。
モンモンの墓参りに行こうというワン・シンドーの言葉を遮るように、タオ・インホンは、あなたは生きていいと言いました。
あなたはいい運転手、清廉潔白で親切、新しい人生を始めていい。私なら心配ない。離婚するわ、あなたは自由になれる。
ここら辺はなー。本当にワン・シンドーを自分の執着から解き放ってやりたかったのか、嫌味なのか、切り捨てなのか、それとも賭けなのか、ちょっと分からなかった。
なぜ諦められない?と聞かれて、あなたは諦められたの?と聞き返すタオ・インホン。
選択肢は2つ、計画を続けるか、ひとりで嘉林を離れるか、選んで。
そして、ワン・シンドーは追い返されてしまいます。
早く行って、さようなら、いい人。
だけど閉めたドアの向こうで、タオ・インホンはしばらくドアをぎゅっとしてた。
自分主導で突っ走ってきたけど、やっぱり心の支えにはなってたよね。これで一人になってしまうかもしれないのは、覚悟をしていても、不安でもある感じなんだろな。
さて、現在の5/9。ループ24回目中。
タオ・インホンのガレージの捜査が終了し、彼女はここに4年の間隠れ住んで、この日のために爆弾を作っていたことが分かりました。
更に夫婦とシーチン、ホーユンとの接点がないことも判明。
ホーユンの病室で話し合う2人。
ループがまだあるかどうかは分からないけど、まだ終わった気がしない、こんな結末は違うとシーチン。
そだよねえ、ジャン刑事が死んだまま終わりって違うよねえ。
やっぱり鍵は、ワン・モンモン。
バスを降りた理由。それが解明して、誰一人犠牲者なく事件が解決できること。
あ。このループはワン・モンモンの意志かも。
かなり厳しいルールだけど、全て上手く行くことが、彼女の願いそのものじゃない?なぜ降りたのかが明らかになれば、汚名だって晴らせる。両親だって最悪の事態だけは止められる。
昔父親が助けたことで顔見知りになっていた、同窓の同じ年の大学生の女の子。
シーチンが選ばれるのも、それなら納得だわ。
タイムリミットまで、シーチンは真相解明に動こうとします。
ホーユンが入院中なので、大学のチューターにワン・モンモンのことを聞いてみることに。
チューターのウー先生は、急いで病室に駆けつけてくれました。
シーチンが先生に、私の恋人でと紹介した時のホーユンの表情っ(笑)
先生は、ワン・モンモンのチューターでもあったことが分かります。
今回のバス事故の運転手は、ワン・モンモンの父親、母親も乗っていて、2人は興奮して何かを調べさせたいと願っているみたいだった、警察の到着が遅れたら大惨事だった、シーチンはそう説明します。
なので、ワン・モンモンの事故の全貌を教えてください、と。
乗客を道連れにする理由があるのか、とホーユンも。
その会話を、ジアン刑事が廊下で聞いていました。
勝算があるんだって、2人の病室に意気込んで向かってたけど、勝算って盗み聞きのことなの?(笑)
だけど、シーチン達の会話を聞いて、彼も、今優先すべきは夫婦の動機、ワン・モンモンの真相だと気付いてくれたかな。そしてシーチン達も同じ方向を向いていること。
同乗していた学生が何かを見てはいないか。大学で議論になったことはないかとシーチン。
先生は、2人は関わらないで、警察に任せるべきよと言いました。
そこへ、ジアン刑事が入ってきたわよっ。
んまー、何よ何よ、颯爽としちゃってっ。ジアンのクセにぃっ←(笑)
でも何度も恫喝されてるから、シーチンとホーユンは、助っ人登場とは思ってないよね。
何、どしたの、この人。くらいなもんだね(^m^)
3人は先生から大学のネット掲示板の存在を聞かされます。
ワン・モンモンの事故でスレッドが乱立した掲示板は、大学によって閉鎖させられた。
ワン・モンモンは内向的だったけど、いい子で、バスを下車するためだけにあんな騒ぎを起こすような子ではなかった。
ジアン刑事がその掲示板の閲覧依頼をします。
先生は、私は閲覧権限がないとか、学長に申請しないととか。警察の依頼だよ、動けよっ(笑)
ジアン刑事が自分が責任を持つと言って、先生を動かしたけど、でもま、ジアン刑事だって上には報告もせずに今、単独行動だけどね(^m^)
先生と共に出て行こうとしたジアン刑事に、シーチンは同行を願い出ます。
怪しむのは分かる、でも一度だけ信じてはくれないか、かつてジャン刑事が信じてくれたように。
うは、これは殺し文句よ、ジアンくんにとっては(笑)
ホーユンを残し、3人は大学へ。
閲覧した掲示板の内容は、やっぱり酷いものでした。
何も知らないクセに。聞きかじった情報だけで正義を気取る匿名者たち。
その時、病院で閲覧していたホーユンから電話が入ります。45番スレッドを見ろ、と。
そこには「痴漢に遭ったなら、まともな反応だ」というコメントが入ってました。
ただの推測ではない、断定的な言葉。
事故後3日後のスレッドで、閉鎖間際だったこともあり、閲覧数は少なかったらしい。
だけど即、そのコメントに対しても、反論して目立つ気だとか、見殺しにした告白かとか、何日も通報もせずに放置か、鬼畜とか、ついてましたよ。はぁあ。
こんなに責められたら、普通は名乗り出ませんとシーチン。
ホーユンが同じIPアドレスが複数あることから、コメントの主は学生寮から打ち込んだのではないかと気付きます。
調べると、部屋番号の特定も出来ました。
その部屋の学生を探せるかと聞くジアン刑事に、5年前だし、学籍簿は更新されるから、すぐに探し出すのは骨が折れるってウー先生。
この人、毎度反応が後ろ向きでイラっとするなーと思ってたけど、それはそれは大変な作業なんですよう、苦労するんですようって視聴者に思わせる係なのね。きっとね。
部屋番号まで分かってるんだからさ。ふっつーに考えて、5年前そこに誰が住んでいたのかなんて、資料当たれば、ほぼ一発、たいした手間じゃない。しっかりした寮ならば、ね。
あー、それだけじゃなくて、ここでジアン刑事が、真剣に真相を掴みたいんだ、殉職したジャン刑事のためにもって、宣言するための布石のグタグタでもあったか。
ジアン刑事はシーチンに、公安で事情聴取を受けてくれ、ここは自分に任せろって言うんだけど、シーチンはどうしても自分で行きたいよねえ。
で、刑事相手に言葉を操るのも上手になってるんですよ。
警察官に話しかけられるのは精神的なストレスになるし、保守的な相手なら尚更、だけど私は学生、相手を委縮させない。なので、私を手伝わせては?
ジアン刑事はここら辺でようやく、イエ刑事に連絡を入れました。
新しい手がかりを追っている、5年前のバス事件に証人がいた、応援はいい、証人を見つけたら戻る。
人手なんか寄こされて話が大きくなったら、逆に証人を警戒させるわよ。
はい、324号室に当時住んでいた住人は、さくっと判明しました。
A4用紙の厚み1センチ程度しかない資料ですよ。あっという間よ。どこが骨が折れるってのよ(笑)
教育学部、リウ・ヤオという人物が、当時部屋でパソコンを使っていたらしい。
卒業したリウ・ヤオは、大学の友人と一緒に、雑貨店のような店をやってる感じ?
45番バスに爆弾がとのニュースを知らされ、密かに動揺するリウ・ヤオ。
そこに、ウー先生、シーチン、ジアン刑事がやって来ます。
警戒してなかなか認めないリウ・ヤオだけど。
でも、このコメントが、ワン・モンモンの事故が、今回の爆発と関係があると言われ。
シーチンは今日の生存者、爆弾犯はワン・モンモンの両親、目的は社会への報復だと聞かされ。
犠牲者も出ている大変な事件なんです、隠さないでと後輩に言われて。
虚勢を張って足を組み、反り返っていた姿勢が、前かがみになってきました。
あと一押し。
リウ・ヤオが怖がっていたのは、自分が話すことでの身の危険。
被害者だったワン・モンモンですら、学内であれほど非難された。母親は教師だったのに、娘は守られなかった。社会に出ている自分など、誰も守ってはくれない。
そこはジアンくんが、刑事として絶対に君の情報は漏らさないと誓います。
先生にも、あなたを責める気はないと言われ、シーチンにも、コメントを打ったのはきっと誰かに打ち明けたかったから、長年人に言えず苦しんだでしょう、一緒にわだかまりを解きますと言われ。
真実を話しても、自分は安全だと保証できるかとリウ・ヤオはジアン刑事に問います。
彼は、刑事の誇りにかけてもと答えました。
恐怖に押しつぶされてしまった。
隠すつもりはなかった。
通報しようと思った。
でも、あの人の報復が怖かった。
ワン・モンモンに痴漢をしていた、メガネをかけた中年の男。
リウ・ヤオは、目撃していただけではなく、車内で撮った写真に偶然その現場が写ってしまったのだと言います。それを男に気付かれてしまったと。
長くなってしまったので、今回は14話のみで。
次回、最終回です。
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