あらすじ等の事前情報から、ドラマ版の雷佳音(レイジャーイン)は絶対にハマるとは思っていたんですが、大鵬(ダーポン)も良いですねえ。彼は監督、主演、脚本にも関わってるのね。
吹けば飛ぶような立場の人物が、どうしようもなく追い詰められて呆然としちゃう表情が上手い上に、その顔かたちに良く似合う。2人ともだよね。雷佳音のそんな姿は難なく想像ができるし。2人とも、ただぼーっと立ってるだけで哀愁を醸し出せる(^m^)
やっぱり役者さんの魅力は、イケメンだけじゃーないねー。
私事ですが。
7月後半以降、更新が途絶えていたのは、慶事と弔事が立て続けに複数あり、関西に2回も、旅行というには少々長めの滞在をしていたからなんですよ。いやあ、バタバタしちゃってヘロヘロでしたー。でも大阪での半月の日々は、意外と面白かったデス。
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所感 ネタバレです
唐の都・長安。下級官吏として働く李善徳にある日、皇帝から運命を左右する命令が下る。「遥か南方・嶺南の新鮮なライチを長安へ届けよ」。ライチはとても傷みやすく、嶺南から数千キロ離れた長安へ無傷で届けることはほぼ不可能。成功すれば出世の道、しかし失敗すれば命の危険が——。
映画「長安のライチ」公式サイトより
同僚の策略により、無理難題な”ライチ使”に任命されてしまった李善徳は嶺南へ向かい、ライチ農園の長の少女、計画に投資する商人、奴隷として虐げられていた青年をはじめ、思いも寄らぬ仲間たちと手を組むことに。
刻一刻と迫る納期、腐りやすい果実、そして宮廷に渦巻く官僚達の泥沼の権力闘争。数々の逆境のなか、歴史を揺るがす前代未聞の“ライチ輸送計画”が今、幕を開ける!
まずは、ようやくローンを組んで長安に家を買った李善徳が、周囲に騙されて、どう考えても成功しないだろうライチ使なんて役目を押し付けられてしまうところから。
真面目だけが取り柄で、ぱっとしない下級官吏だった李善徳なんだけど、算学専攻で官吏になっているので、多分日頃から、周囲がこっそり企んだ数字の不正とか、愚直に正しちゃってたんでしょうねえ。
上林署の上司も、宦官、魚朝恩から持ち込まれた、この無茶苦茶な話を李善徳に押し付け、厄介払いができたと口にする。しかもコイツら、李善徳には蜜漬けライチだと嘘を付き、生ライチだってことは誤魔化して引き受けさせてます。
絶望して屋根に上って黄昏ていた李善徳の元にやって来たのは、友人の杜甫。
え、杜甫?(笑)
しかも中の人、張若昀(チャンルオユン)なんですよー。「慶余年」で杜甫先生の七言律詩を謳い上げちゃった范閑の中の人が杜甫役だ。
実際の杜甫も、この頃、右衛率府兵曹参軍に任じられてたらしいので、まんま、あの杜甫なんだね。
で、奥さんからの預かりものだって、パシッと李善徳を平手打ちする(笑)
この手の早い李善徳の妻が、楊冪(ヤンミー)なんだよね。手が早いっていうのか、妻が夫を叩くのがこの夫婦のコミュニケーションみたいなもんなのか(^m^)
美人で迫力のある奥さんなんだけど、何も言われなくても、夫が命がけの任務を引き受けさせられちゃったことも察しているし、それでも夫を信じている、なんだかんだいい妻でしたよね。

杜甫先生の励ましは、イマイチだった気もするけども(笑)
失敗するにしても成功するにしても、楊貴妃の誕生日の6/1までは、全力を尽くそうと決意せざるを得ない李善徳。
虎から逃げ、山賊から逃げ、たった一人で、必死で嶺南に向かいます。
ぼろぼろになりながら、一か月かけて辿り着いた嶺南。
その間の様々は尺の限られる映画なので、挿入歌のバックにさらーっと映像が流れるだけなんだけど。
これが。

こうなる(笑)

どれほどの過酷さだったのかが、分かり易っ(^m^)
嶺南に着いて、計略使に勅書を見せるものの、どこのバカが生ライチを長安に運べだと?って信じて貰えない。嶺南朝集使が一度断っていたことから、ようやく勅書は本物と分かっても、役人たちは李善徳にどこでも出入り自由な通行証を与えるだけで、必要経費も出そうとせず、協力もしようとしません。
そこに近付いて来たのが、どこからどう見ても胡散臭い商家の次男坊、蘇諒。
こんな人なんだけども(笑)

最初は、李善徳が貰った納税も免除になる通行証が欲しくて、居場所や資金提供を持ちかけます。
でも、李善徳の必死な輸送シミュレーションの日々に付き合ううちに、その理系的な考え方や人の好さに感じるものがあったんだね、そこにじんわりと友情が芽生えていきます。
ライチ園の阿僮(あとう)もそう。両親の残したライチ園を守って、質の良いライチを栽培しているんだけど、商売っ気よりも、大事なライチ園でいいライチを作ることに情熱を傾けてる。最初は警戒されるんだけど、都の官吏とはいえ、自分達をバカにしない、真っ直ぐで真摯な李善徳に、ライチについていろいろ教えてくれます。
そしてもう1人、計略使の屋敷で孔雀を逃がしたと捕まってた林邑奴も、李善徳の後をついて来て、仲間に。最初はこの人、計略使のところにいた掌書記の趙辛民に李善徳の動向を報告させられてたんだけど、李善徳が奴婢の自分を分け隔てなく仲間だと扱ってくれたことで、趙辛民を裏切ってくれます。
林邑ってベトナムのことなんですね。彼はベトナム人だったのね。

この人が、テレンス・ラウだったらしいんだけど、香港映画はほとんど見てない私にはお名前以外、全く分かりませんでした。すまんの。右相、楊国忠役のアンディ・ラウはさすがに知ってたけども。
中盤でようやく、幹ごと輸送すればなんとか腐る前に間に合う、民間では無理でも朝廷を動かし、道中の各宿場に馬と人員、船や氷を用意させればいけると、輸送計画が出来上がり、長安に戻るんだけど。
そこで李善徳は六部をたらい回しにされ、あろうことかこのミッションを成功させたくない魚朝恩から、投獄までされてしまいます。
なんなんだ、この白塗りはっ。

魚朝恩役の人、「風起隴西」の孫令やってた方だったんですね。
分からなかったよぅ、白塗りが過ぎてっ(笑)
そこに杜甫が現れ、直後に李善徳は牢から出されて楊国忠の元へ。
楊国忠は李善徳の計画を聞いて、令牌を渡し、資金繰りには当てがあると言うんだ。
朝廷が用意してくれるものと、それを信じて準備する李善徳。楊国忠から令牌を貰った李善徳に、周囲はあっさりと掌を返して、取り入ろうとしてきます。
ローンを組んだ時、多めに利息を取ろうとした僧侶まで、ローンを帳消しにしてくれるという。
全く。権力とはっ!って感じよ。
嶺南の官吏達もそれは同様に。
ただ蘇諒に約束していた、朝廷に渡りを付けるってのは、出来なかったのよね。楊国忠には一応、嶺南の商人が資金提供をしてくれると言ったけど、朝廷が商人如きに頼るかと一蹴されちゃって。
蘇諒に、友達だと思っていたのに、君にとってはいいカモかと言われてしまう。辛いねえ。
蘇諒とはギクシャクしてしまったものの、林邑奴は一緒に長安まで行きたいと言ってくれました。
だがしかし。
阿僮のライチ園では、100本もの木が切り倒されちゃってた。予定では10本のはずだったのに。
趙辛民が来て、宰相の意向で30本にしろと、沿道の役所も念のため増やせと言ってきたと。趙辛民は余裕を持たせて200本は献上しないととほざく。
理不尽に虐げられる阿僮やライチ園のみんな。次々切られていくライチの木。
その惨状を、李善徳は止めることができません。
更に、楊国忠の言う「資金繰りには当てがある」ってのは、朝廷のどこぞから工面するんじゃなく、各宿場や民達にライチ税を課すことだったんだよね。
なので、最初の2か所の官驛では無事に馬も人員も準備が出来ていたんだけど、その後の場所はみんな夜逃げしちゃってました。船着き場に船もいない。
それでも、林邑奴に先回りしての手配を頼み、最後まで諦めず、どこまでできるかと動ける人達だけを連れて先を急ぐ李善徳。
この時、林邑奴の走り始めた馬への飛び乗り方は、ああ、ちゃんと鍛えていて馬に乗るのも慣れてる人だなあと思ったわ。
へろっへろになって船着き場に着くと、遠くから見えて来た船の上には、蘇諒と林邑奴。
んもー、いい奴だなあ、蘇諒ったらーっ。
更に私財を投じてくれたのに、もう下心はないと、お前らを送ったら、自分はそのまま帰るよと、いろいろ吹っ切った顔でね。
通行証のことも計略使にバレて、罰金払って大変な目に遭ってたのにね。

その頃、長安では楊貴妃の生誕祭の準備に追われてたんだけど、魚朝恩は自分の手配した壁画も適当に、ライチのことを気にかけている楊国忠を見て、ライチ輸送の邪魔をするんだよね。
だけどさ、歴史上、評判の悪い楊国忠だけど、だからこそ、権力を自分に集中させてたこの人が進めていることに逆らうのは、危ないだろうにねえ。やるんだよな、この白塗りは。
生誕祭まであと二時間ってところで、大掛かりな邪魔をしてくれちゃって。
ここまで頑張って必死に助けてくれていた林邑奴がー(涙)んもー、悔しいなあ。
宮城の門前では、妻と子、杜甫が待っていました。
杜甫は妻子を逃がそうとしてたけど、妻は夫は必ず来ると信じてた。
結局、あれほどの人数で嶺南を出たのに、宮城に着いたのは、李善徳のみ。
林邑奴に用意して貰った妻に頼まれた赤い木棉(きわた)の花を、荷物の中から飛び散らせながら、李善徳は馬で駆け抜けていきます。
それほどまでの苦労で届けた生ライチ。
生誕祭のテーブルに乗ったものの、楊国忠が手配したと言われて楊貴妃が手を出そうとしたところで、魚朝恩がそれを邪魔するみたいに式典を進めてしまい、楊貴妃は結局手を付けなかったんだよね。
まったく、悉く腹の立つ白塗り。
その後、楊国忠に呼び出された李善徳。楊国忠は、魚朝恩が刺客を放ったのを知ってたのね。事後なのか最初から知ってたのか。
そこでライチ税の話を聞いて、李善徳は、ぱぱっと計算。実際に必要な資金の8割もの余剰が出ると。楊国忠は国庫に入ると言うけどねえ。そんな言葉はまんま信じられない。
李善徳は夜逃げした宿場に落ちていた帳簿を持って来てました。そもそも貧しい村、いきなりの負担に逃げ出すのも当然だと。
たった一壺のライチのために、皇族の道楽のために、何本の木が切られたか。騎手たちは危険な目に遭い、馬は死に、多くの民が土地を追われ、命を落とした。
楊国忠は錫杖で李善徳を打ち据えちゃう。
それでも、一文も使わずに済むと言った楊国忠の言葉を繰り返し、大間違いだと言い募る李善徳。民から富を奪っておいて、何が一文も使わずだ!と言っちゃったよ。
いやあ、よぉく命が助かったなあ、これー。
李善徳は死罪は免れたものの、ライチの数量不足で家族共々、嶺南に追放されました。
や、むしろ良かったでしょ。嶺南の地で伸び伸び暮らしたほうが。
1年後、李善徳は阿僮のライチ園で、切り倒されてしまったライチに接ぎ木して育て直してましたよ。
阿僮はまだ、たくさんの木を切られちゃったことを怒ってたけど(^m^)
そこで、蘇諒の兄貴から、蘇諒はペルシャに渡って成功したこと、昨年の暮れに長安が安禄山により陥落したことを知らされます。
安禄山蜂起の翌年、楊国忠は断罪され、楊貴妃も殺されてますよね。この話を李善徳が知った頃なのかもね。あ、楊の二人は親族らしいよ。
李善徳はライチをやけ食いみたいに食べて涙してるんだけど、この涙はなんだったのでしょう。
希望を胸に仕官して、だけど、うだつが上がらないまま中年になって。
ようやく家が買えたと思ったら、命を賭けなきゃならない任務を押し付けられて。
周囲は杜甫以外、誰も味方してもくれなかったのに、宰相に令牌貰って成功しそうになったら、みんなあっさり掌を返してきて。
国のことなんか民のことなんか、なーんも考えてない高官のやり口を目の当たりにし、最後の最後まで殺されかけ。
今まで信じてた、夢見てたものは一体なんだったのかとか、権力者の在りようとその犠牲となる民の姿を、成すすべもない怒りや絶望と共に心に刻んだのは、きっと1年前のこと。
あの堂々たる長安が戦火に包まれるのを想像したり、諸行無常が身に沁みたりしちゃったのかしらね。やるせなさ、かな。
だけど今、家族でこうしていられる李善徳のほうが、かつての権力者たちなんかより、ずっとずっと勝ってると思うな。

史実では、安禄山の蜂起は755年、楊国忠と楊貴妃の死は756年です。
この動乱の中で、杜甫先生が詠んだのがあの「国破れて山河あり」の「春望」って訳だ。
杜甫も、なんと白塗り魚朝恩も、770年まで生きてるのよー。
ただし、魚朝恩は政敵に誅殺されてる模様。やっぱりな。
映画は尺問題があるので、ストーリーとテーマだけを突き詰める作りになると思うんですが、簡潔で分かり易かったと思います。これいる?みたいなシーンは、笑いを狙ったのかな。嶺南の占い師とか、たいして笑えなかったけども。ごめん。
ただ、登場人物を見回すに、かなりエピソードを盛り込めそうな人達もいるので、ドラマ版ではどこを膨らませているのか、楽しみにもなりました。
あ、終盤、その他大勢の官吏の中に、原作者の馬伯庸(マーボーヨン)さんが紛れ込んでたそうなんだけど、探せませんでした( ̄▽ ̄ゞ
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作品情報
- 制作 2025年発表
- 原題 「长安的荔枝」
- 原作 「长安的荔枝」馬伯庸
- 監督 大鵬
- 脚本 沈雨悦、戴思奥、大鹏




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