あらすじ
死んだことになっている沈図南は涂南申と名乗り、共産党拠点である江西へ家族と共に派遣される。林樵松も恋人の宋美娟と共に江西へ行き、沈図南の監視とサポートを行う。沈図南はタングステン鉱石などの闇取引を共産党と行う広東軍の関連者を厳しく取り締まり、共産党エリアで偽札をばらまき、経済封鎖を進める。
みるアジア

ネタバレ感想
上海の港から船に乗る沈図南。黄秘書が付き従ってます。
まもなく出航という時、トランクを持った辞書と共に魚児(ユーアル)が現れました。
どこに行っても一緒にいる約束、あなたのいる場所が私の家。国に背かないあなたに、私も背かない。
そういう決断をしてしまったのだな、この妻は。間違いだったとは言い切れないけど、魚児には見せたくない世界を見せてしまうことになるんだよなー。
淞滬(しょうこ)警備司令部では、康少捷(カンシャオジエ)が林樵松(リンチャオソン)を呼び出してました。
沈図南一家が逃げたとな。は?正しく情報が伝わってないんだ、ここには。
昨日、委員長の侍従官が内密に沈図南と話をしたらしいので、南京が重要任務を授けたのかもしれないと康処長。
そこに南京の何(ホー)主任って人から電話。電話を切った康少捷は林樵松を睨みつけます。
南京に根回しをしたのか?と。林樵松、きょとん。
林樵松を江西に派遣しろと命令が入ったらしい。林樵松は江西なら手柄が立てやすいと乗り気。
康少捷は、共産党が騒いでいるのに、今行って生きて帰れると思うのかとか言ってますが、南京から林樵松名指しで来た命に、おもしろくないのは見え見えです。汚職に引きずり込んだ駒、憂さ晴らしのできる部下を持ってかれる訳だしね。
処長たちと共に上海で稼ぐより、この手で共産党員を捕まえたいと言う林樵松に、分かった、行ってこい、戦場で再会するかもしれないぞと処長。林樵松はまたきょとんとしてます。
何が言いたいんだか分からんよね。処長はどの立場で戦場に立つってんだい?林樵松の敵になるなら、南京政府を裏切る勢としてか?ま、そういうことなんだろう。大姐の手先として。
林樵松は文彪(ウェンビャオ)を連れていくことを願いますが、ダメだと言われてしまう。
殴られても跪き、ご指示があれば今後も全力で遂行しますと、文彪のために、ほぼ二重スパイを引き受けちゃったよ。南京政府の裏をかいて、私腹を肥やす勢の。ま、遠く離れれば別に従わずとも、すぐにはバレそうにもないですが。
林樵松が出て行った後、康少捷は虞世清(ユーシーチン)に、沈図南が再起するかもしれないと電話をしました。
林樵松は、宋美娟(ソンメイジュエン)の姿を一目見に行くんだけど、美娟に見つかってしまいます。誤魔化そうとしたものの、上海を離れるのがバレてた。ついて行くという美娟にダメだと言うと、アヘンのことを南京に言うと脅される。さて、林樵松は美娟も連れてくことにするのかな。

瑞金の若来は、銀行で働き始めていました。
雷鳴(レイミン)総務科長の元で、副科長に任命されてるよ。嬉しそうだね。
でも一緒に、沈図南の訃報の載った新聞もまた、見せられていました。江西まで情報が届くには、結構な時差があるらしいな。
さすがに固まっちゃう若来。これを近真に知らせるのも、君の役目ってことか。
近真に会いに行く若来。瑞金に戻って、まだ会ってなかったんだね。
銀行の基礎は信用、ここでなら働き甲斐があると聞いて、嬉しそうな近真だけど。
雷鳴から渡された新聞を受け取って、ショックを受けつつ、平気よ、分かったわ、ありがとう、と新聞を握り締めて立ち去ります。
夜、ひとりで、兄を思い出して涙する近真。
若来もまた、同じように沈図南を思い出して涙を拭ってましたよ。
沈図南一家は、贛州(かんしゅう)の涌金門(ゆうきんもん)埠頭ってところに到着。
上海みたいな洋館じゃないけど、けっこうなお屋敷と使用人も用意されてるわ。
そこに慌てた黄秘書が。林樵松も数日内に江西に来るらしいとの報告。
聞いた途端の図南の苦笑いよ。
南京は彼に私を見張らせるつもりだなと。なるほどそういう役目だったか。
贛州は広東軍の旅団長、銭逢時(チェンフォンシー)が権力を握っている地域らしい。更に上役の陳済棠(チェンジータン)は南京に反抗的、銭逢時も私には従わないから、今回は林樵松と手を組んでみようと図南は言いました。
ちなみに広東軍って、この頃は陳済棠をトップとした地方政権みたいなもので、広州国民政府ってのを作って、蒋介石にも公然と反旗を翻していたようなもんだったようで。反蒋介石派が集まり、当時はあの汪兆銘も関与していたみたいですよ。
その頃、林樵松と文彪は船上の人。
文彪は兄貴が行くところならどこでもついて行くけど、上海にいれば稼げたのにと。
林樵松は、アヘンをいつまで売れると思うんだと言います。万が一の時は誰も俺たちを守ってくれない。銀行の連中でさえ、建設国債で騙されて破産に追い込まれている。
林樵松にとっても、この江西行き抜擢は渡りに船だった訳だ。少なくとも上海の汚職から離れられ、手柄を立てれば南京からの覚えもメデタイ。
林樵松の立場は、南昌討伐軍、別働総隊、贛州連隊、少校隊長、なんですと。エライんだかなんだか分からんが。
任務は共産党区の情報収集、疑わしい者は全員捕え、正規軍の作戦を支援するんだそうな。
何主任からは、特派員に全面協力しろと言われているんですってよ。特派員って、沈図南よね?
銃も弾薬も使い放題だと聞いて、そりゃいい、でも江西は共産党の拠点だと不安そうな文彪に、林樵松は切り札があると言いました。
んで、早速沈図南の元へ。
ここで再会するとは縁があるなと言った図南に、林樵松は、この縁は私が上層部に志願して自ら結んだと言いました。
え、ホントに?康少捷にはすっとぼけてたけど、やっぱりこれ以上上海にいたら危ないと思って、根回ししてたんでしょうか。
図南は、沈図南は死んだと言い、今の私は湘西出身の涂南申(トゥーナンシェン)だ、だって。
ちょ。随分と安易な偽名だーよっ(大笑)
沈図南が偽名を使って特派員として贛州に赴任したのは、上層部以外知らないんですってよ。

林隊長は今後、私を見張るのか、それとも国のための任務をするのかと聞かれ、矛盾します?と聞き返す林樵松。
白々しい笑いを交わし合う2人。
贛州の有力者を掌握するつもりだから、協力してくれと図南。
国党に有益であれば、いつでも指示に従いますと林樵松。
ここに、互いの立場と力を監視しつつ利用しつつ協力し合う、妙なコンビ爆誕(^m^)
図南は早速、先に名前を上げていた、広東軍の旅団長、銭逢時をはじめとした、贛州の有力者たち7人を招待しました。
林樵松を紹介した図南は、林隊長からみなさんに3つの贈り物があると言います。
一つ目として配られた冊子は、過去半年、共産党区へ禁制品を運び、タングステン鉱石を購入して転売した記録だってよ。
違反者は銃殺刑だと言われて驚く参加者の後ろに、林樵松の部下達がゾロゾロと並び、銃を突き付けます。
贛州の有力者があなたをもてなしに来たのに、こんな対応は不適切ではと言った銭逢時に、図南は旅団長も関与しているのかと尋ねます。
銭旅団長は、この商売は自分個人のものではなく、陳指令の商売、陳指令に恥をかかせるのですかと答えました。
この頃の中国って難しいなあ、あっちでもこっちでも勝手に政府作ってたりするから。でも中国そのものがずっとそうか。国土が広すぎるからねえ。
林樵松は、我々は南昌討伐軍の何主任の指示で動いているので、あなたも陳指令もご意見があれば何主任までと、いつもの人を食ったみたいな顔で告げてますわ(笑)
敵だと腹立つけど、味方だと思うとおもろいな、この顔(^m^)
黙り込んだ銭旅団長をよそに、林樵松はそのうちの2人を連れていくよう指示。
巨額の取り引きをしていた2人は救いようがないと、図南。
部屋を出された2人は、そのまま外で銃殺されてしまいます。
うへえ、これを平然と指示するような人になっちゃったか、沈図南。
銭旅団長は、ここで逆らうのは得策ではないと判断した模様。これで広東軍の汚れを除けたと言います。
崔雲閣(ツイユンゴー)は、よりによって共産党と通じていた、殺すべきです。
図南の後ろに立ってた黄秘書が、皮肉たっぷりの目で見ているよ。
君は大義を弁えていると言った図南は立ち上がり、2つ目は委員長の指示書だと。
林樵松が読み上げます。
国民政府軍事委員会委員長、蒋介石は、涂南申を贛州経済封鎖処の特派員に任命し、経済面での共産党討伐の指導を任せる。別動総隊や現地武装勢力の動員も許可する。
経済的に共産党を追い詰めるために、タングステンの商売も禁止、各地の商会たちの協力も指示。違反者は厳罰に処すってさ。
いかなる形でも共産党と関わるのはやめてくれ、別動総隊が君達の取り引きを監視する、違反した者、特にタングステンを売買した者は、先ほどの2人と同じ結末を迎えると図南に言われて、残された5人は俯いちゃってますわよ。そりゃそうよねえ。
命と金、どちらをとるかよく考えてくれと聞いて、慌てて、二度としませんと口々に。
で、3つ目。
林樵松は彼らに、寄付の申込書を配ります。
水運が発達している贛州は密輸もし易いため、陸路だけでなく水路にも検問所の増設が必要なんだとか。摘発隊を組織し、昼夜問わず商船を検査する予定らしい。そのための資金集め。
タングステンの取り引きで大儲けしてきたはずだからと言われちゃー、出さざるを得ないでしょうねえ。
銭旅団長は、共産党と通じていた者がいたのは私の責任だと一番多くの寄付をしたけど、難しい顔してるよね。多分上司の陳指令が、金儲けの手段を潰されて、めっちゃ怒るのも分かってるだろうし。
一方、雷鳴は孔令崢から、国民党による封鎖箇所が増え、貿易ルートが遮断されてしまったと報告を受けてました。
三江口の水上ルートは今は大丈夫だけど、現状そこに7割頼っているので、ここが機能しなくなっては大変だと。広東軍から入手した塩がもうじき届くらしいので、その護衛を孔令崢は任されました。
ふむ、広東軍政府、普通に重要な取引相手だった訳ね(笑)
図南のほうも、三江口の水上ルート等は把握済みでした。まだ共産党への輸送は続いていると黄秘書からの報告を聞き、まだ輸送を続けるとは金の亡者だな、この前、もっと殺しておくべきだったと言う。
アナタ。だいぶ堕ちたわねぇ。それを聞いた黄秘書ですら、目を泳がせてるもん。
それら複数の流通ルートを遮断した後、共産党への信頼を失墜させるため、共産党銀行の紙幣を紙くずにするんですと。
そこに林樵松が、死刑囚の職人を見つけたと来たので、こりゃあ、偽造紙幣を作るんだ。
共産党と多額の取り引きをしていた人物を容赦なく粛清し、自ら偽造紙幣を作る。これが今の沈図南。
三江口には、広東軍の劉大隊長って人の元に、宋寿田(ソンショウティエン)が来て書類を見せます。流通の許可証か身分証でしょうか。
でもそこに、林樵松が現れました。
劉大隊長も宋寿田も、広東軍の軍用物資だと言うんだけど、林樵松は改めて調べると言います。
文彪(ウェンビャオ)が舟の荷物を確認し、宋寿田も舟に向かうと、林樵松が付いてきます。
宋寿田が振り返って林樵松と視線を合わせ、船室に入ると、林樵松も中へ。
そして、盟中(モンジョン)、久しぶりだなと言いました。
共産党の中央対外貿易総局、特別中隊副隊長、宋寿田は、林樵松から送り込まれていたスパイでしたよぅ。黄埔の仲間かな。南京時代の部下かな。軍人としてそれなりのバックグラウンドがあったからでしょうか、この人が孔令崢(コンリンジョン)よりもずっと紳士的だったのは。
宋寿田は妹の存在を握られ、スパイとして潜入させられてたっぽい。
妹ですよ、宋寿田の妹は、あの、宋美娟(ソンメイジュエン)なんですよっ。
宋美娟はずっと、生き別れの兄を探していると言ってた。林樵松はきっと見つけてやるみたいなことを言ってた。だけど最初から兄妹を謀り、自分の駒にしてた。
まあ、最初に宋美娟に近付いたのは宋寿田のことがあったからかもしれないけど、それでも、宋美娟の想いに絆されちゃったみたいにも見えたけど。
だとしてもずっと、林樵松は兄ちゃんのことを白状してないんだからね。
おまえをスパイとして送り込んだ俺を恨んでるだろ、殴っていいぞとか言う林樵松に、殴らない、妹のためなら何でもすると宋寿田。
いつ妹に会えると聞かれて、共産党はすぐに滅びる、任務完了後だと林樵松。
宋美娟の刺繍したハンカチを渡して、彼女はもういい年だから、頑張って嫁入り道具を買ってやれとか言うんだよなー、もう。
やっぱり宋美娟は、林樵松と一緒に贛州に来てたのかな。
兄が共産党に連れ去られて、射殺されそうになる悪夢にうなされてました。
三江口で宋寿田が持っていた広東軍の身分証みたいなのを、図南に渡した林樵松。
これだけで三江口を通れるのか、以前から共産党と通じてたんだなと図南は言います。
でもまだ陳済棠の顔は潰さずに、注意を促す程度で泳がせる模様。
共産党銀行の偽造紙幣も、もうじき完成ですってよ。
夜。三江口かな、急いでやって来たのは広東軍の旅団長、銭逢時。
共産党との取り引きの荷物もお金も全て、林樵松率いる別働総隊に奪われた模様。
きっとタングステンの取り引きも危うくなると銭逢時は、南京に人を派遣し、涂南申と林樵松の情報を調べさせることに。
若来のところには、行員が最近銀貨が足りないと報告に来ます。紙幣をすぐ銀貨に変える人も増えているらしい。
新紙幣への信頼はこういう経緯で築いていくんだと若来は言うけど、帳簿を見ると、どうも動きが不自然。若来が勘定台に行き、紙幣を調べてみると、どれもこれも偽札でした。
図南たちの動き、早いなあ。
銀行の支店には、人々が新紙幣を銀貨に交換したいと殺到してました。
ん?庶民、いつ偽札に気付いたのだ?
若来は慌てて前に出て、国民党が偽札をばら撒いた、我々も焦っていますと声を張り上げます。
銀行はまず、この問題の火消しをします。偽札問題を解決します。皆さんに損失が生じたら、僕を生き埋めにしてもいい。だから皆さんは登録してください。
銀行総務課副科長の真面目そうな青年の必死の言葉は、まだちゃんと人々の耳に届きました。

魚児(ユーアル)は贛州の学校に転校したようで、そこで仲良くなった友達ができたみたいなんだけど。送って行った図南を見た友達の母親は表情を凍らせ、この子と遊ばないでと娘の手を取り、魚児から引き離しちゃったよ。
母親の様子が普通じゃないよねえ。あの時、粛清した男の家族とかなんじゃない?
魚児が巻き込まれるのは、一番避けたかったでしょうに。でもそれも、自分の所業よな。
中華ソビエト共和国銀行では、近真が偽札を確認してました。
若来は、紙質で偽札を見破ったんだそう。共産党では紙幣用の紙が不足しているから、本物はザラザラしてるけど、偽札は滑らかなんですと。こんな技術や設備は、国民党しか用意できないと近真。
若来も、紙幣への信用を失わせ、経済崩壊に追い込むつもりだと言います。
激戦になる、自信はあるのと聞かれて、なくても闘うと言う若来だけど、顧問がいてくれればと呟いてしまいます。
いやいや、気付けっ。こんなやり方ができるのはっ。思いついて実行できるのはっ。
でもきっと、若来ならば、早晩、気付く。
死んだことになってるから、なかなか口にはできないかもしれないけど。
師匠がとことん鬼畜に堕ちる前にナントカ、とは思うけど、無理かなあ…
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