あらすじ
曹操(そうそう)に責められた荀彧(じゅんいく)は、劉平(りゅうへい)と曹操の板挟みになって苦しんできたことを語る。曹操にはもう自分は不要なのだと言って別れた荀彧は、自らの命を絶ってしまう。荀彧の死後、頭痛に悩まされはじめた曹操は、劉平に嫁ぎ皇后になるよう曹節(そうせつ)に命じる。曹操の意を伝えようと、曹丕(そうひ)は劉平に謁見するのだが…。
三国志 Secret of Three Kingdoms 公式サイトより引用
今の曹様には、あの頃の文若(ぶんじゃく)は不要なのですね。
これでお別れです。
曹様、ご自愛ください。
そう言って、最後に少し微笑んで、荀彧は去って行きました。
よろよろと歩いて行く後ろ姿が悲しかったですねえ。
曹操は、座卓をひっくり返します。
余が信頼する者たちはどうして、皆、あの者のほうにつくのか。
やっぱりなー。分かりたくないんだよなー。
曹操の目利きは確かなわけですよね。人材を見つけてどんどん登用させたのは荀彧だから、荀彧の見る目も確かだったってことですけど。なので、信頼していた人達はみんな有能。だからこそ、この時代においては特別に風変わりなあの皇帝に、今まで絵空事でしかなかった理想の光を見てしまった。片や権力を得た長い付き合いの主は、初心を忘れてどんどん驕り高ぶり、猜疑心の塊になっていく。彼らがみんな、苦悩し、迷い、それを主に告げられなかったのも当たり前ってことでしょうね。バカじゃなかったからこそなんだよなあ。
屋敷に戻った曹操の元に、曹丕が、荀令君が死にましたと報告に。
そりゃ、びっくりするわ、さっき会ったばかりだというのに。
荀彧は、部屋に香を焚き、草稿を燃やして、周囲が気付いた時には座ったまま亡くなっていたらしい。何をどうやったのかは分かりませんが、自害ってことでしょうね。
驚愕で目を見開いた曹操は、死なせる気はなかったと激高して叫びます。
これは余への復讐だ。
曹操さんよ…
荀彧はもう、自分は本当にこの人には必要ないのだなと納得して、絶望して亡くなったんだろうよ。絶望だったでしょうけど、ある意味解放なので、復讐してやる、なんて考えてなかったと思うけどな。
このドラマだけじゃなく、他のを持ていても思うのですが、疑い深い権力者は、自分だったらこうするからって見方で、人を見てますよね。だから要するに「自分」なんだね、自分の所業が返ってきているだけ。
頭に血が上ったせいでしょうか、曹操、視界がぼやけて倒れてしまいました。
劉平は、伏寿の遺体の前に佇んでいます。
死に化粧も夫がするのかなあ。董妃の時は、伏寿がしてたけども。
眉に筆を入れているところへ、司馬懿が棺を運びにやって来ました。
棺の蓋を閉める直前、伏寿に向かって、待っていてと呟く劉平。
宦官達が棺を運んで行った後、司馬懿は、荀彧が死んだと言いました。
お前がやった、伏完を利用したのだなと劉平。
あああ、ようやくあの時の司馬懿と伏完の裏が分かるー。
伏完に、あなたを助けに来たと言った司馬懿は、命を賭けて曹操を殺すなど、勝算がない、拘るのは無謀と続けました。うん、それは間違いないや。
司馬懿は、伏完はこのまま計画を進めて、曹操に殺される、そこからが反撃だと言います。
伏完が楊彪と荀彧に、共に決起するよう手紙を書く。その事実が、楊彪と荀彧の命を奪う。荀彧は潁川(えいせん)の名門、楊彪は弘農の豪族、後ろ盾の強い2人が曹操に殺されれば、曹操の周囲からは人がいなくなる、漢王朝に取って代われなくなる。
伏完は了承し、司馬懿に聞きます。なんために動いているのかと。
司馬懿は言いました。ただ復讐のため。
劉平の拳が司馬懿の頬に入ります。
荀彧は助けてくれたのを忘れたのかと劉平は言いますが、司馬懿は、荀彧はもうなんの役にも立たないと言っちゃうんですよねえ(涙)
こういう冷徹な決断ができる部分は昔から持っていた人だけど、今までは、それを実行するかどうかは別だったんだよね。でも腹をくくったあの時から、完全に情を切り離せるようになっちゃったんだろうな。他人に対しては。それが人としてどうなのか、自分でも充分に分かっているから、報いを受けるのを見よだとか、天に罰せられるだとかって言葉が出てくる訳で。
荀彧を死なせれば、荀彧が推挙した参謀達は曹操から離れていくってさ。
ゲームのプレイヤー視点みたいだなーと思いました。荀彧って駒は、死ってカードを使うことで大きな効力を発揮する。それを現実でやる恐ろしさよ。
劉平は、この世に生きる者全てを救わねばならないって言うんだけどさ、それは皇帝の理想としては正しいんでしょう。だけどふっつーに考えたら、自分が命ある全てを救うって、相当に傲慢な話なんですよねえ。まあ、現代の一般人の感覚で言うと、ですけどね。
司馬懿は笑います。
死んだ漢の忠臣達が、それを聞いてどう思うか分からぬのかと。
でもそう言って咳き込んでから司馬懿は、あの時の剣はたいしたことなかったって言うのよ。劉平も、あれで曹操の元に送り込んだつもりだったみたいですね。もう進む道は違うから。自分のやり方で、曹氏の未来を内部から操ればいいよと。
なんだかんだ、根底の部分は繋がってるんだなあ。
ただ、行く道も方法論も違う。それは時としてお互いに理解不能だし、相容れない。だからこれでいいのでしょう。
司馬懿は拝礼し、感謝します、お元気でと言いました。
陛下の選んだ道は後に退けぬ一人きりの闘い。どうか耐え抜かれますように。
さすがの司馬懿も、泣いてましたねえ。
街には処刑された孔融の首が晒されていました。
盧毓(ろいく)が、怒りのままに道理を説いています。
それを、劉平、曹操、曹丕、曹仁が見ていました。劉平の怒りと曹操の溜息。
そこに曹仁、ふっつーに偉そうに口を挟むわよ。あれは反逆だって言って、劉平に、誰に対しての反逆だって、ビシッと言われて黙る。曹操も曹仁が余り頭が良くないのは分かってるとは思うので、簡単にコイツの意見に乗せられないとは思いますが、やいのやいの要員としては面倒くさい。側近から外せや、こんなヤツ ←
ひとまず、街の儒学者達は放置でOKとなりました、良かった、とりあえず。
あ、4人は、荀彧の葬儀に行く途中だったんですね。
荀令君は自らの誓いを守り通した。臣下であり友だった。誇りに思う。
ひたすら国の安寧を願っていた、そなたを決して失望させぬ。
遺族にしてみれば、皇帝からこんな言葉を送られる故人は誇りでしょうね。
曹操はなんて言うんだろうと思ったら。
長い付き合いだった。誰よりも荀令君は余を分かっていた。
あの世から、余を見ていてくれ、つぶさに見てくれよ。
ここで、荀彧の息子から声を掛けられて終わりました。
息子はひとまず遺体と共に故郷に帰って喪に服すけど、一族は許都にいさせてくれと願います。曹操に鄴には行かぬというのかと言われて、息子達、劉平を堤防みたいにして後ろに並んで、お聞き届けくださいって。
これで、司馬懿の目論見通り、潁川周辺の人達は曹操から離れるってことですよね。
帰り道、曹操は陛下の勝ちですと言いました。
劉平は、曹操と戦うために皆の命を犠牲にしたと思うのかってさ。愚か者めと続けたかっただろうよ。でも陛下の勝ちというか、司馬懿の勝ちだよな…
劉平に、早く許都を離れたほうがいい、でないと何が起きるか分からないと言われてしまった曹操、また頭痛です。
病状は結構酷い様子ですね。医者達も手の施しようがないみたい。
朦朧としている曹操は、華佗(かだ)を呼べなんて言ってるんだけど、華佗はアナタが殺しましたと卞夫人に言われるというね。このドラマでは、郭嘉と冷寿光の師匠の設定でした。
曹操は、役に立つ者は皆、殺してしまったと笑います。
曹節に向かって、お前を君主の娘にしてはやれなかったと言うんだけど、やっぱり君主になりたかったのかねえ?まあ、野心はあったのでしょうが。
でも、望みを叶えてやることはできると、曹操は、陛下に嫁げ、皇后になれと言いました。
お前が嫁げば少しは安心できる、もう人を殺さなくて済む。
本当は、人を殺したくはなかった。ほんの少し我慢すれば良かったのだ。
いつ寝首をかかれるかみたいな、強烈な不安があったのでしょうけど、ほんの少し我慢すればって、それで殺された人達はたまらんな。
翌日、曹操の代わりに曹丕が、一か月のうちに鄴に移ることを報告に来ます。それ前にひとつお願いがと、曹節の件を。漢王朝とは争わず鄴でやっていくに当たって、姻戚関係になっておいたほうがとか、誠意を見せてくれとか、さらさらと最もな理屈を語る曹丕。そこに曹節本人がやって来ました。
曹節は劉平と2人で話がしたいと、曹丕を下がらせます。
父が憎いですか。
曹丕には、曹操は姻戚関係になるために伏寿を殺したのかと言った劉平ですが、曹節には、争い合っていたので仕方がなかった、でもそなたが負い目に感じることはないと言います。
曹節は結婚してくださいと言いましたね。形だけでも構わないからと。
自分が郭嘉の袋を捨てていれば、こうはならなかった、伏寿も死なずに済んだと自分を責める曹節を、劉平もそなたを犠牲にはできないって庇うんですけどね。曹節は、イヤイヤなら犠牲ですが、自分が争いを収められると望んだことだから、犠牲ではないんだって言うんだよ。
2人とも、かたーい表情の結婚式でした。
それでも曹操は、ほっとしたんでしょうか。雨の中、宮殿に背を向けて去って行きました。
人里離れた川の向こうに、ポツンと立つ屋敷に向かう司馬懿。
伏寿がいました。
やっぱり生きてたー。でもどういう細工をしたんだろう。
ああ、そしてここは、司馬懿が唐瑛のために準備した家だ。
46話で牢の中で会いに来た唐瑛に、家具を揃えてくれって頼んでましたっけ。あれが最後の逢瀬になったんだったねえ。
陛下は結局正しい判断を下したと司馬懿は言います。
潜龍観(せんりょうかん)事件の前夜、潜龍観で、伏寿の命か儒者達の命かの選択を迫られた時、劉平から、薬を渡していたんですね。そういうことだったかー。
薬は冷寿光が作っておいた、数日仮死状態になるみたいなやつ。退位する時に使おうとしたと。死んだことにして、なんでもない劉平と伏寿で生き直そうとしてたんだろね。
どうして俺に渡す、おまえを憎む男だぞなんて言うけど、司馬懿は結局やってくれたんですね。
おまえのことは分かっている、伏寿に毒を飲ませて殺したことにすれば、曹操の腹心になれると劉平。今までおまえに従ってきた、今度は私に従ってくれって、薬を渡すんですけど。え、従ってきたことなんかないよね?自分の考えで暴走して、助けて貰ってばかりいたよね?
曹操がいる限り、伏寿には会えぬぞと言った司馬懿に、それこそがお前の復讐になり、自分が受ける罰だと言って、劉平は去りました。
義和よ、おまえは、いつ私に従った?
噴き出すかと思ったわ。司馬懿と同じこと考えてたわ(笑)
助けたいなら周囲を見殺しにしろって条件はあったものの、一応ひとつ助けるルートは示してたけど、司馬懿自身は伏寿については、積極的に助けようとはしてなかったのかなあ。多分劉平のことだから、何かやらすんだろうとは思っていたでしょうけど。曹操が生きている限り伏寿には会えないっていう、大きな譲歩を認めたってことかな、正しい判断というのは。
伏寿が薬を飲んで以降の劉平の行動は、司馬懿を刺したりとかね、薬を飲ませてくれたことを信じて、更に司馬懿が曹操サイドから疑われないように、本気のふりをしてやったってことね。やりゃーできんじゃーん←
事情を聞いた伏寿、とっても穏やかに微笑んでますね。
あなたに会うためなら、劉平は皇帝を辞めるだろうって司馬懿。
伏寿は、もう重荷になりたくないから、この場所で生きていることは教えないって。
伏完のことも、司馬懿を恨んではいないと言います。自分でも止められなかったから。
鄴に行くという司馬懿に、陛下が1人になると心配する伏寿。司馬懿さん、目線を動かさず、いろいろと飲み込んだ顔になってます。曹節が皇后になったことを話すと、伏寿は、今度は曹節が犠牲になるのですねって。
夫の新しい妻のために悲しんでやるなんて、義和と一緒に居すぎたなって言う司馬懿は、伏寿に、ではあなたはと聞かれてしまいます。でも一緒に育ったけど、お互いは変えられぬってさ。頑固者同士だからね(^m^)
唐瑛のために買った家、描いていた夢を話す司馬懿は、唐瑛の唯一の友がここに住む、幸いだと言いました。
司馬懿は唐瑛の墓前で改めて、復讐と乱世が終わった後を見届けることを誓い、許都を離れていきます。
曹操が鄴に移って6年後。
伏寿は許都の市で買い物をしがてら、店の主人が話す許都の町の安定に微笑んでます。劉平の統治が民に歓迎されてるのが嬉しそう。
その頃、劉平は宮殿から厳しい顔付きで街を眺めていました。
まだ何かあるんでしょうねえ。
「成化14年」を見て、丁容役の余銘玄(ユーミンシュアン)さんが盧毓役でこっちにも出ているー!となって再度見直し始めたこのドラマも、あと残り2話となりましたー。
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