所感 ネタバレです
賛否両論だというのが、見てみたらよぉく分かったこのドラマ。
確かになー。序盤の痛々しさがクリアできずに、リタイヤした方々も多かろう、これは。
でも、最初の女主の勘違い1人相撲を少しだけ我慢できれば。
そこが過ぎれば、主役の2人がぶつかりつつ仲を深めていくので、テンポは良くなるんですが。
コメディならば納得。ラブコメと言われたら、うーん、夢物語を狙い過ぎて外した感はある。
この2人って夫婦というより、訳あって別々に育てられた姐さんと弟とか、義理の姉弟、みたいなほうがしっくりします。それだと、李宏毅(リーホンイー)の無駄遣いになるんだろうか(^m^)

弟、雲重の恋愛模様を映画でも見るみたいに、ヒマワリの種?片手に眺めようと目をキラキラさせてる皇帝(笑)
だけどやっぱり隣は姐さんに見えてしまうわ。
李嘉琦(リージアチー)、親近感の湧くぽっちゃり系ヒロインと書かれてたりして、確かに屈託ない笑顔はカワイイんだけど、真顔だと目が怖いんだよなー。「成化十四年」の東姐さんはとっても良かったんだけどね。
でも陛下、最初は想像していた人物とは違った嫁に、びっくりしてのけ反ったり、宰相から送られた密偵かと警戒しまくったりするものの、金鳳の人となりを知ると、早々に絆されていきましたな。
そもそも彼は、幼くして即位した後ろ盾もない立場の弱い東皓国の若き皇帝。政略結婚も止む無しというか、それが当然で、結婚なんて世継ぎのためのみ。そりゃ、見栄えがいいにこしたことはないけど、あてがわれた妻の外見がどうでも、別にって諦観があったのだろうとは思われる。
宿敵みたいな宰相の娘だから嫌ったし疑ったけど、この子も父親に騙された訳かと理解すれば、じゃあ、今後はできるだけ巻き込まないようにしてやろうと思うのも道理かも。
ただ、気付けばすんごく惹かれてしまってーみたいな表現は、うーん?となっちゃったよねえ。すまんのー。ルッキズムという観点から考えれば、こういう感想もNGだとは思うんですが。
それにしてもね、金鳳の両親、コレなんですよ。

「山河令」の晋王と「有翡」の霓裳夫人ですよっ。
むしろ皇帝、段雲嶂(だんうんしょう)の両親ですと言われても納得するくらい麗しい夫婦。ビジュアル最強。なのになぜ娘は…(笑)
原作では、金鳳の母、徐福(じょふく)はこんな美人じゃない色黒の田舎者で、宰相、劉歇(りゅうけつ)は、体裁が悪いからと、田舎に捨て置いてたみたいな話だったらしいけど、ドラマでは、劉歇のほうはめちゃくちゃ惚れこんでいるのに、徐福が嫌がって田舎に住み続けてたって設定です。
劉歇には都に側室もいて、その人の連れ子が才色兼備の劉白玉。公には、宰相の一人娘とされていたために、みんな嫁に来るのは劉白玉だと思ってたんだけど、ベールを上げたら、うへうへ笑ってる金鳳がいた、と(笑)
でも金鳳も父親から騙されてたので、仕方なかったんですけどね。
劉歇は、徐福にも娘にも「宣さま」という許婚がいると思い込ませ、手紙のやり取りをさせてました。宣さまは段雲嶂の字かな。時々、皇宮から皇帝の私物を盗んで、娘に送ったりもしつつ(笑)
でも手紙の返事は別人が書いてた。子供の頃、徐福に預けられた幼馴染の魚長崖(ぎょちょうがい)。
この人も実は隣国西玥国の皇太子だったんだけど、叔父に皇帝の座を奪われ、命からがら逃げたのを劉歇に偶然助けられてた。一緒に育つうちに、金鳳(昔の名前は黒胖)のことが好きになっていて、自分の書いた返信で「宣さま」への思いを募らせてく黒胖に、複雑な思いを抱えてたっぽい。
ちゃんとした淑女教育も受けていない金鳳なのに、その振舞いに驚きはしても、逆らうと怖い宰相の娘だからか、皇太后や太妃も特に反対もしない。むしろ優しい。段雲嶂の側近ズも、最初は金鳳を疑って敵認定してたものの、中途半端で呑気な側近ズだから、いつの間にかなし崩しに。使用人もなんだかんだ、いい人達で、皇帝の命で皇后の日々の報告は入れても、金鳳に対してはかなり好意的。
だけど文通から騙されていたと気付いた金鳳が、宰相の嘘に乗っかりつつ、宰相との戦いに金鳳は巻き込めないと遠ざけようとした段雲嶂に怒り心頭、「宣さま」を「クズ宣」と呼ぶようになってからが本番って感じ。
そのうちに、密かに抱え続けていた野望を胸に、魚長崖も皇宮に入り込み…

こうなってからが、本番でした。
とまあ、いろんな人がいろんな思惑で動き回るものの、最初から最後までお話を引っ張っていたのは、宰相、劉歇でしたね。
先帝の忠臣だった宰相は、先帝から息子を委ねられてた。だけど子供の頃の段雲嶂はとてつもない悪ガキで、言葉で言い聞かせたって何一つ響かず、鉄拳制裁でもしなけりゃ、どうにもならない腕白だったらしい。そんな段雲嶂に自覚を促し、国を背負って立つ皇帝になって貰うためには、身近に油断ならない仮想敵が必要かもと、自分がいつか謀反を謀りそうな悪役宰相になり切ってました。
先帝の頃は西玥国との関係も微妙な時代で、朝廷にも西玥国の密偵がだいぶ入り込んでたんだけど、平和な時間が長く続き、彼らも密偵なんだか忠臣なんだか分からないくらい、東皓国に根付いてました。それを少しずつ宰相が見つけて、横暴宰相の政敵排除の形を取り、都から穏便に遠ざけてたりします。
何も知らない皇帝は、そういうのも、信頼してた臣下を排除されたと思っちゃってたけど。
食えない宰相って雰囲気たっぷりで出て来たものの、ふとした時に、あ、この人、いい人だわ、が分かる表情が垣間見えるのは、さすがでした。王東(ワンドン)さん、カッコイイんだよなー。
おんなじように、悪そうなエライさん演じても「山河令」晋王の時は、いい人ぶってるけど実は悪いが滲み出てたし、こちらは、悪そうに見せてるけど実はいい人が滲み出てた。
だけど、思わせぶりで曖昧な物言いばっかするのは、イライラしたわよっ(笑)
それなりにみんな上手く転がってくれたものの、も少し分かりやすく説明してくれや。
ただ、もう皇帝も独り立ちできるダロと、辞任を申し出て、皇帝には内心感謝で送り出されて去っていく姿は、やたらと嬉しそうでした。さ、これでようやく妻と2人で楽しく過ごせるー♪だもんな(^m^)
そういえば、中国の古装ドラマには愛の表現として、男性が女性の足を洗うってのよく出て来ませんか?毎日お風呂に入る習慣とか、なかった時代だからってことかもしれないけど。このドラマでも宰相が徐福の足を一生懸命洗ってたよねえ、ふふっ。
そうだ、ここにも「陳情令」金凌@漆培鑫(チーペイシン)と、蘭景儀@郭丞(グオチョン)がいました。
漆培鑫は皇帝の側近の医師だったけど、実は裏切ってた沈傲(しんごう)役。
郭丞は段雲嶂の弟、腹違いだけど、とっても仲良しの段雲重(だんうんちょう)役。
沈傲、あっという間に退場しちゃったのは、後釜に魚長崖を入れなくちゃいけなかったからかもしれないけど、ちょっと残念でしたね。お気楽側近ズの中で、ひとり冷静でちょっと腹黒なのは面白かったのに。そのキャラも裏があったからなんだろうけど。
段雲重は弟なので、ほぼ出ずっぱり。だけど「君子盟」の時はすぐに分かったのに、こちらでは何度見かしちゃったのは、殿下と呼ばれる地位の人だったから、キリリメイクだったんでしょうか(笑)撮影はこちらのほうが後だったようなので、単純に大人顔になったのかな。
段雲重と劉白玉がサブカプってことになるんだけど、カッコイイ殿下っていうより、物作りオタクな雲重と、才色兼備だけど、内緒で同人誌みたいなハウツウ本書いてる執筆オタクの白玉は、お似合いの2人ですわよ。
あとは、皇太后の弟が、なぜかDJブースみたいなの作ってて、村の防災無線さながらの、皇宮内連絡放送をしてるのは可愛かった。何の意味があるのか、部屋の中に風力発電みたいなクルクルがいくつも置いてあったりして、風を送って回してる人達がいたりして。ロウソクの時代だから、これはコメディ中の悪ふざけのヒトツだったんでしょうけど、こういうシステム欲しいよね、みたいな(^m^)
ミュージカルばりに、みんなが揃って踊り出すのも、賛否両論でしょうが、まあまあ、こういうドラマだし、いいんじゃないっすかね、でしたね。
古装ドラマで時々あるみたいですよね。ラストシーンが終わったら、カキワリが倒れて、みんなが出て来て踊り出すみたいなの。もうなんのドラマだったか忘れてしまいましたが、1回だけ、見たことあるかな。そういう演出は醒めるという意見もさもありなん。ドラマのカラーにもよるでしょう。そういう意味では、このドラマならアリじゃないかな。
皇太后のダンスがやけに上手だったのが、すんごく目に入りました。皇帝は…あんまし得意じゃないな?(^m^)
結局、いろんな意味で微妙なドラマではありました、正直。
でもまあ、見て損したとまでは思いません。そこそこ楽しめたし。
ずっと気にはなっていたので、課金のままU-NEXTから消えてしまった時は、あ、残念と思ったんですよね。なので「みるアジア」が終了して、ひとつサブスクが無くなったので、FODに入って、視聴してみました。
申し訳ないけど、金鳳役が別の女優さんだったら、もう少し入り込めたかもしれない。ゴメンよ。
作品情報
- 制作 2022年発表 全36話 优酷
- 原題 「我叫刘金凤」
- 出演 李嘉琦(劉金鳳)、李宏毅(段雲嶂)、陈欣予(劉白玉)、郭丞(段雲重)、王东(劉歇)、白澍(魚長崖)
- 監督 徐惠康
- 脚本 李闷、杨悠然
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