所感 ネタバレです
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「天才基本法」の張子楓(チャンズーフォン)が主演ってことで見てみたら。
ちょっと待て。なんだこれ。こわ。
検索してみたら、愛奇芸の迷霧劇場っていうサスペンスシリーズのひとつなんですね、これ。過去に見たのは「ロング・ナイト 沈黙的真相」だけかな。
画面のテイスト似てます。全体的に暗い。それだけで、なんてことない日常の風景が不気味。
年代も1997年の話なので、「ロング・ナイト」の2000年の家々や町が近い雰囲気。
「天才基本法」の時も思ったけど、こういうぱっと見ただけで、妙な不安感を煽る役、張子楓は似合いますねえ。ちょっと猫背っぽいくて、後ろ暗い何かを抱えている雰囲気を出すのが上手い子だと思う。
児童養護施設で暮らすこの主人公、陳佑希(チェンヨーシー)が、施設を出て働き始めた親友の秀(シウ)が行方不明になったことで、施設を抜け出し、行方を捜しに出ることから、物語は始まります。
秀は姉貴分で一番の仲良しで、自分も施設を出たら働いて、一緒に美容院を開く夢を持っていた陳佑希。手紙のやり取りをしていたのに、高価な時計と不穏な手紙を残していなくなってしまった秀。そりゃ、心配もするし、じっとしていられなくて捜しに行きたくもなるわな。無謀だけどな。この行動力は若さだよなーと思う。
あっ、孤児院の院長？ってば、この間見た「唐朝詭事録」の費鶏師@陳創(チェンチュアン)じゃんっ。この方もこうやって、ちょいちょいあちこちにいるねえ。
そしてまただっ。「陳情令」、「君子盟」、「劉皇后の仰せのままに」に続き、郭丞(グオチョン)がいたっ。いやー、景儀くんの活躍が嬉しいわー。
彼はこの写真のイメージそのまんま、粋がって背伸びしてスーツ着てるけど、その実、チンピラに毛の生えたようなもんって役ですね(笑)テキトーで調子のいいところはあるけど、程威(チェンウェイ)、根はいい子なんだよなー。
両親を亡くしておばあちゃんに育てられていて、従兄弟とも同居してるっぽいんだけど、従兄弟は警察官として真っ当な仕事についているのに、自分はアパレル系のバイヤーと言っていいのかどうだか…みたいなことをしてたりする。そこら辺、ちょこっと拗らせてんのかな、みたいな感じで。
秀を好きだった程威もまた、陳佑希と一緒に行方不明の秀を捜そうとします。
秀が家政婦として働いていた李家は、父、李承天(リーチェンティエン)、母、廖穂芳(リャオスイフォン)の他に、小さい頃の高熱のせいで脳に影響が出てしまった息子の李文卓(リーウェンジュオ)がいました。
陳佑希が李家に忍び込んでみると、昔、娘の文文(ウェンウェン)が失踪し、探していたらしいチラシが見つかります。
程威と知り合い、一緒に秀の手がかりを探すため、李文卓をおびき出そうとした陳佑希だけど、不審者に襲われ、それを李文卓に助けられます。
警察に調べられて、咄嗟に、自分は李文文だと名乗り、李家に潜入することにした陳佑希。
どう考えても怪しいのに、なぜか李家の両親はすんなりと受け入れる。父親は喜ぶそぶりを見せているけど、母親はかなり冷静。父親が母親を窺い見る目もなーんか妙。
なんてことない普通の家庭に見えるけど、家族団欒の中にも、微妙な雰囲気が漂う一家。
秀から届いていた手紙にも、李家は何かおかしいと書いてあって、警戒しながら陳佑希は文文として、李家で生活を始めます。
ただ案の定、廖穂芳は陳佑希を疑い、仕事の合間に調べ上げて、早々に陳佑希の正体を見破るものの、それでも陳佑希を置いておくという不気味さ。
廖穂芳には、結婚前からの恋人、王重江(ワンチョンジャン)がいて、彼は昔は李承天の同僚だったらしいんだけど、転職して怪しげな商売で成功を収めていました。
で、どうも息子は王重江のほうの子だったらしい。廖穂芳は未だ、王重江とは関係があって、それを旦那も気が付いている。息子が自分の子じゃないことも。
それにしても、廖穂芳が陳佑希を疑い、王重江の助言でDNA鑑定したのに、血液の検体を程威が李文卓のものとすり替えておいたってのは、ちょいと無理があったかな(^m^)病院の検体に、無関係者が簡単に手を出せるってのは。
ただ普通にやっても李文卓は、父親とは親子関係ナシって出ちゃうはずだから、そもそも結果を出したくはない廖穂芳は、自分と文文だけ、調べたんでしょう。それが幸いしたって感じ？
ってなふうに、実はこのドラマ、そこら辺は自分で考えてね、も意外に多いんだよね(笑)
結果を見た廖穂芳が、どこぞで不正されたか、程度に受け留めちゃったのは不思議だったけど。
秀はどうなったのか。
本当の文文はどうなったのか。
息子も含めて、全員アヤシイ李家のみなさんが、それぞれどう関わっているのか。
意外と早めに分かってしまう、秀の真実。
だけど、それは本当の事実ではなくって、みたいな転がり方をしていくんですよ。それは秀のことだけでなく、文文のことも、李文卓のことも、王重江のことも、李夫妻のことも。
お金も地位も何もない若い２人が力を合わせて、大人達が現状の生活を守るために隠し通そうとしている秘密に立ち向かう。２人にだって、譲れない守りたいものがある訳だ。最初は２人ともその対象は秀だったけど、いつの間にかそれがお互いのことになっているってのも、自然で良かった。可愛らしかった。
だけど当然なかなかうまくは行かなくて、陳佑希が精神病院に入れられるシーンはちょっと怖かったな。電気ショックで大人しくさせようとするっていう。
程威の従兄弟で警官の程旭(チェンシュー)が、謎解明の程よいアシスト役になっています。
とはいえ、陳佑希も程威も、警察には隠したいこといっぱいなので、なかなか素直に助けを求めることはできないんだけどね。だから彼は上司に呆れられたりしつつも、自力で不審点を調べてく。
李文卓誘拐騒ぎの時なんか、いーいところまで気付いて、それはほぼ正解だったのに、上司と朝ご飯食べながらその話をしてたら、誘拐されたはずの文卓が先のテーブルにいて、のほーんとお酢を取りに来ちゃったりしてさ。ひと足先に、なかったことにされちゃっててさ。
万頭でほっぺ膨らませたまま、びっくり顔で立ち上がって、文卓を覗き込むのが可笑しかったわ。
でも、最後の最後に、程旭兄さん、頑張ってくれましたよっ。アナタがいなくちゃ、どーにもならなかったよ。
程旭役は代旭(ダイシュー)。以前何かで見て、あ、この人のお芝居好きだわーと思って、しっかり見たいと思っていたので、なんだか嬉しい。警察もめっちゃ悪役もいけるだろう、この顔(^m^)
怪しいチームっぽくも見えるけど、従兄弟思いの、ばーちゃん思いのいい人でございました。
あ、あともうひとり、大事な時に来てくれたコワモテにーさんもいたな。王重江の手下みたいな人だったけど、この人も「唐朝詭事録」に出てたらしいんだけど、記憶にない…
程旭の上司に、「開端-RESET-」のルーディパパ、「天地に問う～Under the Microscope～」の任意(レンイー)@銭漪(チェンイー)もご出演。
結局、この夫婦は多分２人共、こんなはずじゃなかったと思いながら、自分にとっての不都合を嘘で隠して実行も伴って塗り固めていくうちに、どんどんと深みに嵌って身動きがとれなくなってった。ちょいっちょい細かくやらかすのが怖かったよ。だけどそれも、お互いの欲がベースだから、まあ、結末に同情の余地はなかったけど。
始終、ざわざわと落ち着かない気持ちを掻き立てられるドラマだったけど、最後のシーンは良かったですよ。ちょこっと「少年の君」を思い出してしまったり。あれほどの感動ではないものの。
厄介な癖のある文卓を、陳佑希が自分を文文と呼ばせて、助けていたのもまた救いでした。
デモ、あの癖は良くないと思うぞ？
作品情報
- 制作 2022年発表 全12話 愛奇芸
- 原題 「回来的女儿」
- 監督 呂行(バーニング・アイス -無証之罪-)
- 脚本 潘依然、田金、陈骥
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