先日「山河令」のあらすじ感想を書き終えまして。
並行して「琅琊榜(二周目)」と「琅琊榜 弐」も見終えてまして。
ただ、琅琊榜は全話記事にするには、えいやっていう勢いが必要だなーと思いながら、他に少し短めの何か見ようかと、随分前からリストに入れてた「侠客探偵 簡不知」を選んでみました。全24話で、そんなに長くないからねー。
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あ、ちなみに、今まで全話分ネタバレ感想が終わっているのは、下記。
もうじき「ロング・ナイト」も終わります。
所感
あらっ、なかなかの秀作じゃございませんこと?
というのが、数話見たところの印象でしたし、全編通して、犯人はこの中にいます♪も楽しかった。
役者さん達は、私は初見の方々が多かったんですが、主人公の簡不知(かんふち)くんを始め、相棒になる趙我還(ちょうがかん)も、録院という江湖の記録組織の司馬当も、後半から行動を共にする変幻自在の医者、葉笑笑も、ビジュアルは皆ちゃんとしててメインの登場人物達を張るのに十分だったし(主人公のビジュアルがダメで続かなかったドラマもいくつかありますデス)、女性陣3人、展十七も、明月も、小妖女も、みんな個性的で見間違うことなく(笑)
や、中国ドラマって、時々見分けがつかなくなる人達、いますよね?
江湖の、武侠の世界が舞台ですが、主人公の簡不知は、神機谷という、江湖で起きる事件の解決、探偵を生業とする組織の谷主の息子で、全くもって武芸の腕は皆無という、アンタそれでよく今まで無事でしたね?的な人です。江湖を渡るなら医者でさえも、ある程度身を守る術は持っているというのに。簡不知くんは、攻撃を避けることもできず、ぼんやりじっとしちゃってる、とことん守ってやらにゃー!な姫。みんなが自分の背後に主人公を庇います。
だけどその分、頭の回転が早く、公正で勇敢、洞察力にも思考力にも長けていて、事件解決のためなら、怪しい相手を罠に嵌めるためのお芝居も上手。冷静で顔に出さないからね。
決して知識をひけらかす嫌味な感じはないし、人に優しく当たりがソフトで、その観察眼で困っている人を助けたりするので、行く先々で仲間を引っ掛け…失礼…仲間を増やしていきます。まあ、いわゆる人たらしです。
彼が追い求めているのは、父親が亡くなった事件の真相。
父親は仲間達と共に、王画という殺人鬼と戦い、相討ちで亡くなり、そのために神機谷も滅びてしまっています。ただ後から調べても、王画の遺体だけは見つかっていない。
その場に一緒にいた簡不知は、重傷を負い、現場に倒れていて生き残り、頭を打って記憶を失くしてしまっているという設定です。父親の残した書物から探偵の技術を学び、自分以外の生き残りである4人に会って、真相を聞きたいと江湖に出て来ていました。
でもね、目当ての人物に会いに行こうとするとみんな、真相を話す前に亡くなっていきます。話す話すと言いながら、すぐには状況が許さなくて、いよいよって時にだったり、行ったらもう亡くなっていたり、なんだかんだしている間に。
最後の1人に会いに行こうとした時、気付かされるんですよ。要するに、キミが会いに行こうとするから、相手は殺されるのだと。それだけ大きな謎があるってことなんでしょうが。
そういうことならば、普通はものすごく逡巡すると思うのです。自分が知りたいと思ったばかりに、死ななくても良かった相手が殺されるのだとしたら。
知りたいと思う自身の気持ちと、相手の命との天秤ですからね。まあ、こちらには父親の死と神機谷の滅亡ってのが先にあるんだけど、真相を知ったところで、死んだ父親は生き返らない。それなのに、この人は、あくまでも諦めずに向かうんです。
諦めちゃ、お話は進まないんだけどね。
でもそれだけじゃないんだ。
初回の事件の時に、とんでもないヤツに蠱毒、灼心蠱を飲まされてしまい、お腹の中で体温で卵が孵れば、内臓食われて死ぬなんてことになっちゃうんですが、その場にいた人物に寒氷掌というのを受け、こちらは寒毒ってやつですね、冷やすことで卵が孵らないようにして貰います。でも寒毒も体を蝕むものだから、ちゃんと治さないと、命が危ないのは間違いないんだよね。で、それを治せるのは、黒霧の貴婦人って人物だけだと知るんだけど、解毒をお願いしに行く前に、二番目三番目の生き残りに会いに行くし、最後の生き残りに会いに行く前にも、もう時間がないから、まずは解毒が先だとなるんですが、まー、頑固で頑固で全然ウンと言わない訳ですよ。
1人では自分の身を守るのも無理な人なのよ。で、身を挺して守ってくれている人達が、一生懸命、アンタの命のほうが大事だと、必死で言ってくれているのに。その当人が自分の命を後回しにしてるって、どういうコトだ?
ようやく涙を呑んで諦めて黒霧の貴婦人に会いに行くことにしたら、簡不知の気持ちを思い遣った展十七ちゃんが、単独行動で最後の証人に会いに行っちゃう。それを知って、お前だって展十七が心配じゃないのかって、趙我還にキレる簡不知ですが、趙我還は、ほっといても自分で戦える展十七より、ほっといたら死ぬ簡不知の命の方が大事なので、無言になるという(笑)
え、何言ってんの?別に展十七、心配じゃないけど?的な一瞬の表情がおもろかったケド。これが明月だったら、どうするよ?で折れちゃったけど。
展十七も、暗殺者として育てられて暗殺組織から抜けて追われている人なので、ちょいとズレてるところもある子なんだけど、簡不知の命と彼の思いを考えて動いてくれたものを、アンタが追いかけてってそこで死んだら、彼女の思いも台無しなんだけどさあ。
ま、追いかけて行かなければ、お話は進まないんですけどね。
という、話の流れ的に、どうにも仕方のないことなんでしょうけど、自分の気持ちが一番で、自分の命も、彼を心の底から思ってくれている人達の思いも蔑ろにしてるように見えちゃうんですよ。
基本、優しい人なんだけど、そこだけは絶対に譲らない。それが信念と言えばそうなんでしょうが、自分の行動で自分の大切な人達や、大切な証人達の命が危険に晒されるのは度外視しているように見えるのが、ちょっとなー、でした。
そこだけね。
うん、そういうことにしないと、話が進まないのだ、こういう一見当たりの柔らかい人ほど、中身はちょー頑固だったりするんだよ、と思い思い(笑)
途中から簡不知を狙い始めた十殺門の主は、ちょっと小粒の温若寒(陳情令)みたいでしたね(^m^)かなり江湖に根深く巣食っている暗殺組織なんだけど、そこそこメンバーは強い筈なんだけど、展十七と成長した趙我還が強過ぎたせいか、どーも小粒感があったなあ、みんな。
簡不知くんは、なんとなく地味と言われてるのをどこかで拝見して、ビジュアルは決して地味って訳でもないのに、なんでかなあと思って見てたんですよ。割と早めに気付いたのは、この方、お若いのに、すんごく法令線が目立つんだよね。無表情ではないんだけど、役柄的に、笑顔もふわっとにっこりって感じで、大きく表情が動かない役だからかもしれません。大きく表情を作れば、法令線ってあまり気にならないもんね。
あと、趙我還の笑いが気になっちゃってなー。
絵に描いたようなというか、字に書いたような「ははは、ははははは」って笑いなんです、この方。キャラクター的なものなんでしょうけど、なんでこんなに不自然な笑い方なんだろうと。もう後半では、あ、出た!って感じだったけどね。
ただこの人も典型的な脳筋だとはいえ、抱えている思いがあって、独学で頑張って武功を身に付けて、ぐんぐん強くなっていくので、ある種、天才だよね。
気になったところが長過ぎた(笑)
簡不知と趙我還の関係性は、ちょびっとブロマンス風味に持ってってる?みたいなところはありつつも、簡不知には展十七、趙我還には明月、司馬当には小妖女(この2人はこれからきっと)と、それぞれ異性の相手もちゃんといます。
ひとりあぶれた感(ひどい)の葉笑笑は、本物の「葉笑笑」じゃないのはみんなが分かっていて、誰にでも化けられる変装術の達人。見た目だけじゃなく、医術の腕も真似られるんだったかな。だからその腕も確か。いったい誰なんだ?という謎も、まだまだ解明とまではいかないけど、最後に一瞬出た顔に、ちょっとひっくり返りそうになったわ。これはぜひ見て頂きたいわ。
そういえば、葉笑笑は、あの見た目なので、いつ裏切るんだろう?と思って見てたんですが(ひどい)、普通にいい人でした。中身別人だしね。
あ、趙我還役の王燕陽(ワンイェンヤン)さんは、琅琊榜にも出てたらしいですね。ちょい役だったみたいだけど、それがデビューなんだとか。探してみよう。梅長蘇と言豫津が一緒のシーンに、どこぞのお使いか使用人かって感じで、出て来るらしい。
それと、この方、ちょこっと肖戦に似ていると言われているらしいんですが、確かに序盤何度かそう思いました。二回りほどガッチリした肖戦風。
謎はまだ残ってはいるものの、ひとまずひと段落という形で終了しています。
評判がよければ、第二期を作りましょうかね?って感じなのかもしれないんですが。
ですが。
ラスト、ある人の死後の独白で、なんですってぇ!?な事実がぶち込まれます。
まあなあ、なんとなく、もしかしたらと思いはしてましたけどねえ。
日本刀みたいなのを持った人物が、もし第二期があるのであれば、新たな敵、そして多分最大の秘密を握る人物として現れての最後でした。
二期の噂は全然聞こえてこないみたいなので、作られないのかなあ。
作ってくれたら、楽しみに見るのになあ。
作品概要
- 制作 中国 2020年発表 全24話
- 原題 侠探简不知
- 監督 马艺恒
- 脚本 胖三井、武悠
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