あらすじ
辜清章が曇花(どんげ)の中に仕込んだ毒の粉末が、開花と同時に拡散され、寧安(ねいあん)の街は赤い霧に覆われた。雨さえ降れば毒の拡散を止められると思いついた張屏は、山上から大量の塩を大砲で空中に放ち、雲を作ることを提案。蘭珏と共に都の民衆を山へと誘導し、さらに塩集めに奔走する。皇太后を連れ去った辜清章は、過去の過ちへの謝罪を求めるが、皇太后に冷淡にあしらわれる。失意の辜清章が立ち去ろうとした時、皇太后は思いがけない言葉を口にする。
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ネタバレ感想
千秋儀を正面から見られる、楼閣の上みたいな特等席の椅子に座る皇太后。
傍らには、辜清章が立っていました。
お前は雍国の皇太后、長年、実権を握った。
実の子さえ犠牲にして得た権力だ。
今、その全てが滅びゆく様を見るがいい。
でも振り向いた辜清章は、跪いてその膝に手を置くんだよね。
母上は、権力を最も愛する。
民が死に絶えた後、同じくあの世で皇太后であり続けるのも悪くない。
笑顔で言うんだけどさあ。本当っに、縋っているようにしか見えないの。
だけど権力の頂点で、感情や真意を覆い隠して生きて来た人が、分かり易く求めるものを返してくれるとは思えないよなー。
権力は元々無慈悲なもの、私は決して頭を下げぬ。
その言葉を聞いた途端、辜清章は、皇太后の首に飛びつくように手をかけました。
ここに至っても、まだ罪を認めず後悔もしないのか、と。
それでも皇太后は目をそらさず、表情も変えないまま。
哀しい息子は、母の首に手をかけてしまったと我に返って、慌ててその周辺を撫で回し、傷になってないかみたいに確かめるのよ。
はー。そんなにもかあ。捨てられても何度殺されそうになっても。
完全に無関心になって見放せるくらい、冷たい人になれたら良かったのに。
だけどそれだったら、蘭珏も張屏も今、生きてないかもしれないね。
辜清章は、母上、一言だけでいい、後悔していると、お前を思っていたと言って欲しいと訴えるんだけど、私は後悔しておらぬと言われてしまいました。
だけどさ、こんなふうに、ほとんど頬に手を寄せられて縋られてるのに、振り払おうとも避けようともしない。多分、それだけでいい気がするよ。これがこの人の限界なんだろう。
自分が決断して見捨てた相手に謝罪することはないってのは、ある意味こちらも、皇太后というモンスターになってしまった人の矜持でしょうしね。だって皇太后の目も赤いんだ。
皇太后は、お前に感謝していると言います。
都中の者が息絶えれば、私の秘密を知る者がいなくなる。
私の名声は後世まで伝わるだろう。
子供が懇願するみたいにじっと皇太后を見ていたその表情に、失意と怒りが混じっていきます。
ほんの数秒で、きゅうーっと顔が変わるよっ。途中拗ねた幼児みたいにも見えたよ。
はあ、眼福眼福 ←(笑)
そして、ふっと力を抜くように言いました。
そうか。あくまで認めないのだな。
ならば最愛の権力と、共に死ぬがいい。
立ち上がった辜清章は、去って行こうとします。
残された皇太后は回想していました。
回生陣の後、宮中の曇花を全て抜けと指示したこと。
曇花を持って旅立つが良い、曇児の名はお前だけのものだ。
これは、決して口にはしなかった内心の呟きですな。
この人は一人息子に、一番好きだった花の名前を付けた訳ね。
皇太后は大声で曇児と叫びます。
赤い霧の中で、口元を覆って歩いていた辜清章が立ち止まりました。
お前の幼名だ、曇児という。
小龍くん時代を思い出した辜清章。
彼がいつも身に付けていたのは曇花の簪。玄機(げんき)には目印にされてしまったけど。
母が一番好きな花の名前をつけられ、一番好きな花の簪を持たされて、あの世に送られた子だった。
それがせめてものってコトだったのでしょうけど。うーん。少しでも慰めになったんだろか。
画面が赤暗過ぎて、辜清章の表情がよく見えませんでしたよ。
皇太后は、その場所に座ったまま、血霧に覆われていきました。
酒楼に避難した人々。喪服姿の官吏達が世話して回ってるけど、追い詰められた状態です。
張屏が、雨が降れば花粉は地に落ちて流れ、飛び散らないと閃いたぞ。
おじさんが、穀雨の時期は雲が出ると雨になると言ってるんだけど、日本の二十四節気とは違うのかな。月下美人って日本だと、穀雨の時期の花じゃないよね?
雨雲らしきものも出てるらしいけど、降る時期は読めない。
張屏は、引雨器の存在に気付きます。そんなんあるのか。すごいな、おい。
雲霄(うんしょう)山にあるけど古いので、代わりに大砲に塩を詰めて打ち上げることに。
曹征(そうせい)将軍も、火薬等々、準備してくれることになりました。
王勤(おうきん)や竇方(とうほう)も手伝いたいと顔を出したり。
旭東や流雲も、初めて旦那様の命に背きましたって、やって来たり。
街のお店で塩を探してると、塩商人が偶然通りかかって港の積み荷を提供してくれたり。
陳籌がひとりで、雲霄山に逃げろと街の人々に声をかけつつ、知り合いが亡くなってるのに心折れそうになっていると、挙子仲間の許陸(きょりく)や王程(おうてい)達が手伝いに現れたり。
街中に赤い霧が充満している中、着々と準備が進められ、生き残った人々も雲霄山に向かいます。
そんな街の中を、復讐を果たしたと呟きながら歩いていたのは辜清章。
ふと見ると、荷台みたいなのの上に、取り残された赤ちゃんが泣いてました。
雲霄山の上では、曹征将軍の指揮で、金吾衛たちや旭東たちが街の人達と一緒に、大砲に塩と火薬を詰め込み、打ち上げてます。
赤ちゃんを抱いて、血霧を背に笑顔で歩く辜清章。
おまえも捨てられたのかと、自分と同じだと、連れていこうとしたのでしょうが。一瞬、未来に目を向けたのかもしれませんが。だから血霧に背を向けて歩いていたんだろうけど。
そこに、母親が子供を探しに来ました。子供は捨てられた訳じゃなかった。
ありがとうと腕から子供を奪われて、笑顔がすうっと泣き顔になります。
辜清章は血霧の方向を見やり、髪を撫でつけ、身支度を整えると、すっと顔を挙げて、血霧に向かって歩いて行きました。
赤ちゃん持ってかれた後、涙目になって、ふっと笑うんだよねえ。
瞬間、同じ立場のこの子と生きてもいいかなって思ったんじゃないかと思うんだよ。この子を張屏ママみたいに育てたら、自分も1人じゃない、これは運命かも、みたいに。だって、抱っこして嬉しそうにくるりって回ってるんだもん。
だけど、なーんだ、やっぱり自分はとことん孤独ってことなんだなと、やっぱり死に場所はここだったかと、思っちゃった感じの笑い。
そもそも精神的に壊れて、復讐モンスターになって突っ走ったやらかしが大き過ぎた訳で。だからもう蘭珏も張屏も、再会した時点で手を差し伸べてなんとかできる段階はとうに過ぎちゃってた訳だけど。
ただまあ、ここまで突き進んでなかった頃に再会してたとしても、あの2人じゃなあ。ここまで歪んでしまった心を、優しく大きく受け留めるってことは出来なかったんじゃあるまいか。そういうタイプじゃないよね、2人とも。蘭珏は自分のことで精一杯だったし、張屏には記憶もなかったし。戻ったとしても3才までの記憶で、確か孤高の兄がいた、程度だったしなあ。
いやあ、それにしても、汪鐸(ワンドゥオ)さん、素晴らしかった。
「晩媚と影~紅きロマンス~」はエンタメ・アジア、「陰陽師 とこしえの夢」はネトフリかっ。
他に、他にありませんかーっ(大声)
さて、気を取り直して。
雲霄山では弾切れとなっていました。降りそうで降らない。
もう後は神頼み。
空に稲妻が光った時、ようやく最後の1人まで助けると街に残っていた蘭珏と張屏も戻って来ました。
以前王硯が仁王立ちになってた崖の上に立って、蘭珏ってば、来世ではお前と関わりたくない、だってさ。こっちが言いたいわ!ではなく、張屏からは、来世だの鬼神だの、私は信じません、の返しでした(笑)
ふん。蘭大人、どの口が言うよと思っちゃったわよ。
だってこの人、確か一度も謝ってませんからね?感謝するは言ってたかもだけど。張屏は当然、ありがとうもごめんねも言ってるし、立場が違うと言うなら、王硯さんは張屏に、ありがとうも、ちっ、負けたよっも言ってますからね。
2人が見上げた空から、ぽつりと雨粒が落ちて来ました。
大喜びのみなさん。
張屏は、カバンからあの蘭の香嚢を出して、元の持ち主に返しますと手渡します。
翌日。後片づけに勤しむ街の人々。
その中を、私のせいだと呟きながら歩く柳羨(りゅうせん)。
おかしくなっちゃったのかと思ったけど、そうでもなかったみたいだ。
近くにいる王勤も竇方も、だいぶ宥めた後なんでしょう。全く、いつまで言ってんだよ、みたいになってる(笑)
そこに、勝報!と叫びながら伝令が走ってきました。陛下の凱旋ですわよ。
陛下は、王硯を従えて馬で入ってきました。
都の受難を聞き、精鋭を連れて急ぎ戻った、と。
柳太傅(たいふ)、無事であったか?と真っ先に声をかけられ、柳羨、ぼーっとしちゃってる。
血は水よりも濃いとは言うものの、あなたが教育した陛下は立派な人よ?
柳羨は、陛下、凱旋をお喜び申し上げますと跪きました。
都のみなさんも大騒ぎ。
晴れ晴れしい息子を見た王勤パパの歓喜と王硯のテレ笑い。この親子は良いねえ。
おっと、伝令は馬さんちの子易(しい)だったみたいだ。父親にこまめに手紙を書いてた孝行息子。腕にケガしてるけど、無事で良かった良かった。
雍の都、寧安に平和が戻りました。
文字通りの平和だよねえ。引っ掻き回す皇太后もいなくなり、南棟との国境戦も張屏のお陰で瘴気対策ができて、数に勝る雍国軍が相手を撃退して収まったってことでしょう?
気になったのは、辜清章の遺体は誰が見つけて誰が引き取ってったのかってコトだな。
きっと美しい立ち姿だったことだろうよ。ま、蘭大人だろな。公に処分される前に、急いで探したと思いたい。
そんな中、張屏は、峠の茶屋みたいなところで、陛下と会っていました。
陳籌が近くでロバさんと戯れてる(笑)
この20年、皇太后の政に民の不満は募っていたのだそうで。
陛下は、いい皇帝になれるかどうかずっと不安だったのだそうで。
でももう案じてはいないんだって。民のための国を築く決意を固めたようです。
目の上のタンコブいなくなって、ようやく伸び伸びと人々のための国造りができますな。
愚直に頷く張屏を見て、ふっと笑った陛下は、朕の出自を気にせぬのか?って。
そんなこと、張屏が気にする訳ないじゃんかー。
事件のない世を作る皇帝こそが、真の良き皇帝だと思いますって張屏。
張屏は陛下によって、宜平(ぎへい)県の県令に任じられたらしい。
23話で陛下の「お前の居場所はある、私の帰りを待て」は、これだったのね。
殿試でわざと手を抜かれたとしても、張屏みたいな才を手放す手はないしなー(^m^)
陛下は、皇太后の残党を粛清しきれていないので、そんな朝廷にいきなり張屏を突っ込んだら、あっと言う間に巻き込まれるのを危惧してくれたらしい。片付くまで、しばらく地方に行ってなさい、と。
数年?って聞き返したのに笑った陛下は、期待してる、いずれは大理寺卿だって言ってくれる。
そして、ゆくゆくは宰相だと付け足したら、途端に張屏、渋い顔(笑)
宰相なんかにゃ、なりたかないの、分かってて言ったな、陛下も。
はいはい、大理寺が良いのだな?分かってるって、にっと笑う。
ほんっとーに、この陛下は、良いっ♪
中の人、張舒淪(ジャンシュールン)さん、1995年生まれなんですって。ええっ!そんなに若いのっ!?めっちゃ老け顔だなっ←ごめん。
龔俊(ゴンジュン)の「華麗なる契約結婚」とか魏哲鳴(ウェイジャーミン)の「キミの声に恋してる」とかに出ているみたいなので、いつかどこかでまたお目にかかれるかもしれません。
ただ、この2つはどちらもベタベタの恋愛ものっぽいよなー、どうしよう(笑)
張屏と陳籌はロバさんと共に宜平県へ。
師匠みたいに、陳籌が歌いながら。お前が県令なら私は主簿だって(笑)
良かったね、陳籌も仕事に就けたんだ。
でも馬を連れて任官って歌ってるけど、それ、ロバだよね?(^m^)
捜査しかできない自分が県令なんてって、張屏は言ってますが、ま、なんとかなるわよ。
さて、大理寺では、これ主簿だったかね、大理寺卿の机に座って、干した野菜だか果物だかを食べて碁を打ってましたわよ。呑気ね。陶周風(とうしゅうふう)の長年の日和見が、部下達にも浸透しちゃってる。新任の大理寺卿なんて、誰が来ても変わらんとか言っちゃって。
そこに新任の大理寺卿が入ってきました。あ、この足は。
陛下の、さーて、あちこちテコ入れするぞぅ!?を考えると、あの人しかいないっしょ。守衛まで驚いてピリッと身を引き締めている。
のっしのっしと入って来た人を見て、主簿は転げ落ちるように椅子から飛び降り、拱手しました。
ね、そうよね。王硯さんでしたわよ(^m^)
そんなに怖いか?ま、王勤太尉の息子で、刑部侍郎で名を馳せ、今回の南征軍でも陛下に従って大活躍って評価の人だもんね。
王硯は振り返って一声。
誰か!眠ったままの公文書を持ってこい!
走ってきた部下達は、刑部の頃のみなさんみたいにキビキビしてるけど、テコ入れのために、部下も連れて来たかなー?
ということは、張屏が帰ってきて大理寺に入る時は、王硯の下につくってことよね。いやあ、楽しみじゃない?今まで迷宮入りだった事件がどんどん解決していきそう。
そして問題のシーンですよっ(笑)
蘭林の冤罪を晴らすこともできて、全て落ち着いた蘭府。
その辺は、辜清章の血書、皇太后の鬼畜の所業は本当のことだった、で話がついたのかな、そうなんでしょうね。
旭東が言いますよ。
そろそろ若様を都にお迎えしては?
ん?なんて?ですよね(^m^)
若様がいるんだって。蘭珏、独身じゃなかった。徽(き)くんっていう息子がいたっ!
ずっと危険と隣り合わせだったから、身の安全を図って遠くにやってたんですと。嫁は早逝しているらしいよ。
いやあ、検閲対策の付け足し感バリバリですが。ま、いっか。
シーン削除とこの付け足しのお陰で、ドラマが日の目を見たと思えば。
宜平県の県令になっても、張屏は麺を打ち、陳籌と共に店をやってました(^m^)
趣味なんだって。生き生きしてる。
そこへ、蘭珏と旭東が遥々やって来たよ。
蘭珏は巡撫使(じゅんぶし)の任に付いたんだそう。陛下の代わりに各地を回り実情を見て、取り締まる役目らしいよ。
旭東、張屏って言ってから、張大人って言い直してたね。
県令サマになっちゃったもんね。
陳籌が旭東を連れて、近所を案内しに行っちゃった。
陳籌、齧ってた人参、旭東に渡したら旭東もそれ齧ってたわ(笑)
蘭珏は5文あれば麺を注文できるなって、お金を出した。懐かしい。出会いを思い出す(^m^)
お品書き、麺は2文、卵を加えたら3文って書いてあるので、卵入りで5文?
陛下の政が着々と進みますようにー。
張屏も蘭珏も王硯も、そして陳籌も、きっとまた都で揃って陛下を支える日が来るでしょう。
いやあ、これで29話だったんだよねえ。しかも30分台の多い。50分くらいにしたら20話程度で終わってたでしょね。なのに、しっかりみっちりの内容でした。
特に辜清章が出て来てからは、バラバラだった事件が一気に集中して纏まった感。てか登場以降、持ってかれちゃったよね、彼に。
辜清章という哀しいヒールを作ってくれた汪鐸って役者を知れただけでも、見て良かったドラマでございました。
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