所感
とんでも長いタイトルをつけてしまいましたが(^m^)
一言で言うと、そういう感じなのですよ。
「慶余年」のキャスト再集結ってことで話題になったドラマですが、ホントに続々出て来ます。まずメインの2人が、慶余年の主人公、范閑(ファンシェン)の義妹と義弟の若若(ルオルオ)と思轍(スージョー)ですからねえ。
あちらでは、お姉ちゃんに全く頭の上がらない弟だった麒麟くん(郭麒麟 グオチーリン)が、主役の寧毅(ニンイー)、お姉ちゃんだった宋軼(ソンイー)が、こちらでは嫁の蘇檀児(スータンアル)なので。
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監督は、「紳士探偵L 魔都・上海の事件録」や「ミステリー IN 上海 Miss Sの探偵ファイル」の鄧科(ダンカー)さん。そのせいか、紳探や旗袍美探の出演者もチラホラ。陳凡(チェンファン)くんとか、鮑文翰(バオウェンハン)とか。あれ、どこかで見たことあるなーと思ったよ。
慶余年組では、范閑、范建、二夫人、思轍、若若と范家は全員出演。宮典兄さんもいたし、王啓年も、朱格も。
他にも、靖国の皇帝、百里弘亟(バイリーホンジー)が、山河令のドッスン(失礼)高崇(ガオチョン)だったり、新門芸館の女将が陳情令の苛烈な江澄ママ、虞紫鳶(ユーズーユエン)だったり。この張浄桐(ジャンジントン)さんは、紳探にも旗袍美探にも出てらしたっけ。蘇檀児の変人パパも、琅琊榜の戸部尚書だし明蘭の皇帝だし。
蘇檀児の友達で、悲劇の中、転んでもただじゃ起きなかった姐さん楼舒婉(ロウシューワン)は、最初からこれだけで終わる人じゃないダロ感が出ちゃっていて、この人、絶対にどこかで見ていると思ってたんですが、斗羅大陸の比比東だったんですよっ。大師の元カノ、武魂殿のおっかない親玉よっ。分かった時、うわあと言ってしまいました。顔に既視感はあったのに、余りにも違っていて(笑)
とまあ、あれ?この人は?って有名どころの多いドラマなのかもしれません。
ただ、設定は少々複雑です。
まず、経済小説の主人公であるビジネスマン江皓辰(ジャンハオチェン)。中の人は范閑役の張若昀(チャンルオユン)。この人はドラマの中でもフィクションの、小説の中の主人公です。それを書いている作者が麒麟くん演じる小説家(あ、最初は顔が映らないんだ、でもだいたい分かります)。8年も連載していたんだけど、人気が落ちて打ち切りを打診されます。
そして猛烈な勢いで書き始めた最終回。
江皓辰は唐明遠(タンミンユエン)の事業発表会に乱入し、衆人環視の中、殴り付けました。唐明遠は「江遠グループ」と言っているので、そもそも江皓辰と唐明遠の共同経営の会社なんでしょう、それを唐明遠に陥れられ、完全に乗っ取られてしまったっぽい。
俺を潰すなら来世にしろ。
唐明遠にそう言われ、壇上から引きずり降ろされた江皓辰は、警棒を持ったSPに後頭部を殴られて、その場に倒れます。死んだかと、そう思われるような映像。えー、殺す?現代で?
小説家が「完結」の文字を打とうとした時、イメージの中の江皓辰が顔を上げました。
待てよ、こんな終わり方でいいのか?これがお前の求めた作品か?家を失った野良犬は天下無敵だろ?
自分の小説の中の主人公に言われちゃーな(笑)
創作する方は、こういう経験よくあるよね。登場人物が勝手に動き始めるってこと。
小説家は、経済小説を終わらせ、だけど親友に陥れられ失脚した江皓辰を主人公とした、コメディを書き始めました。
江皓辰がSPに殴られた時、「贅婿」の主人公寧毅もまた、商売敵&恋敵でもある烏啓豪(ウーチーハオ)に襲われ、殴られて失神。江皓辰の魂は寧毅に転生してしまうと。そんな寧毅のビジュアルは江皓辰ではなく、物語を作っているこの小説家のビジュアルでしたとさ、っていうね。
俺を潰すなら来世にしろと言った唐明遠、頭の片隅に置いておくといいかもしれません。
こんな複雑な感じで始まる物語は、一般的に周囲からはちょいと蔑まれる立場らしい、入り婿の寧毅の中に、辣腕ビジネスマン江皓辰が入っちゃって、その知識と手腕で妻の蘇檀児を助け、商人としての地位を築いていくっていう、転生サクセスストーリーです、前半は。お家騒動とビジネスバトル。
ちょいと都合よく上手く行き過ぎだったりもしますが、まあまあ、コメディとしてはこんなもんでしょう、すっきりよねー♪とはなるものの。
ただ、絹の利権云々の話は、正直こんがらがりました。あたくしの頭が悪いってコトでしょうが、そこ、詳細あんまし分からなくてもお話は追えます、大丈夫←
これだけで36話引っ張るの?と、個人的には思っていたので、後半のガラリは想定内。これもある意味、中国ドラマあるあるらしいんだけど、物語が、身近なゴタゴタから始まり、気付けば国家レベルの騒動になっていて、あれ?っていう、ソレですね。
男徳学院で、学院長(慶余年では王啓年)と共に知り合った秦嗣源(チンスーユエン 慶余年では范建、范家のパパ)は、どこからどう見ても大物だったし。わざわざ知り合いにさせるんだから、話はもっと大きくなっていくんでしょうよと思っていたし。
ただ、前半と後半の違いが、このドラマの好き嫌いや評価に繋がっているみたいで。純粋に寧毅の力量で成り上がってくコメディのまま、メデタシメデタシで済ませたかったら、半分だけで良かったかもしれません。
後半は、西瓜ちゃんと陳凡くんが可愛すぎてなー、純粋過ぎてなー。立場が違えば正義も違うと分かっていても、しんどい流れではありましたよね。どーすんのよ、こんないい子達…
陳凡くん役の劉一宏(リウイーホン)は、美丈夫だけど純粋おバカなワンコキャラ、旗袍美探の方の、基本真面目だけどちょっと調子のいい下っ端キャラとは、やっぱり別人。あちらでは余り印象に残らなかったんですが、こちらでは存在感たっぷりでした。そして大層いいお体をしておられる(^m^)
それと、最初はそこそこめんどくさくて腹立たしかったけど、結局はピエロ役に収まった叔父と従兄が最後まで無事だったのに、耿直(ゴンジー)が、耿くんがあっ! 「耿直」という単語は中国語で、性格が真っ直ぐである、誠実であるという意味らしいんだよね。うう。
あとは、そうだな、男徳学院のF4?(笑)
覇気のない典型的なダメダメ入り婿の4人が、寧毅と友達になって巻き込まれつつも、それぞれに頑張って自信をつけてったり、気付いたらすんごく役に立てるようになったりしていくのは、楽しかったですね。だから、まさか彼らが欠けやしないだろうなと思っていたんだけど、こちらは無事でよかった。
って感情移入は、ドラマ全体、めっちゃしちゃいました。
前半の敵、烏啓豪がねえ、個人的にどーにも苦手なタイプのお顔で。だからぞわぞわ感マシマシな訳ですよ、その顔で蘇檀児に執着されるとこれがまた。うおぉおぉ←またトリハダが。
それに、麒麟くんじゃん?思轍じゃん?
でも見てると寧毅が、なぜかカッコよく見えてきちゃう贅婿マジックにまんまと嵌りました。「カワイイ」なら分かるけどねえ、不思議だったわよ。
慶余年、范閑のドヤ!は慣れるまでだいぶ鼻についたんだけど、寧毅のドヤは全然平気だったのは、顔か?顔なのか?愛嬌か?
ちなみに麒麟くんのパパ郭徳網さん(相声という中国のお笑い、漫才みたいな芸人さんで、麒麟くんもそう)は最近、息子が有名になって、麒麟の父でーす♪って挨拶するらしい。
あ、蛇足ですがもうひとつ。官吏の悪役が、大友康平さんに似ててさー。笑っちゃった。すんごいヤなヤツでしたけどね。出て来るたびに、似てる…似てる…とつい呟いてしまった(^m^)
そしてですね、こちらも、第二期アリなんだねーを匂わせる終わり方。
ホントに作られるのかな。紳探の前例があるし。
それでも製作の発表はあったみたいなんですが、いつになることやら。でもまあ、その部分をぺいぺいっとしても、そこそこお気楽にみられる楽しいドラマではございました。
麒麟くん、きっともっといい役者になっていきそうだよねー?
ちなみにあたくし、ピータンが食べられません。
作品情報
- 制作…中国 2021年発表 全36話
- 原題…贅婿
- 監督…鄧科(ダンカー)
- 脚本…秦雯(チンウェン)
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