あらすじ
沈図南は共産党圏の経済封鎖の範囲を広げて更なる攻勢に出るが、共産党と内通していた関係者を取り締まったことで広東軍との仲間割れが起こり、家族が危険にさらされる。共産党側は偽札の対策を進め、魏若来と沈近真は偽札の出所をつかむべく、あえて“虎穴”に入る。その先にいたのは…
みるアジア

ネタバレ感想
三江口では相変わらず、広東軍の元、共産党相手の積み荷が動いてたんだけど。
威嚇発砲の音がし、南昌討伐軍の命令に背く者は皆殺しだと言いながら、林樵松たちが現れました。
林樵松が三江口を制圧した情報は、広東軍の銭旅団長にも届きます。
なんだか分からないけど、弱みを握られていて、現場にいた広東軍は反撃できなかったんですって。
怒った銭旅団長は、別働総隊が包囲し、車中に図南もいる三江口へと、バリケードを破って突入。
私の縄張りを横取りするなと叫ぶんだけど、図南は、広東軍が禁制品を運ぶ共産党の船を通した、小隊長が賄賂の金の延べ棒を持ってたと言います。
銭旅団長は、自分たちを陥れるお前たちの陰謀だろうとシラを切るけど、船の共産党員は射殺され、小隊長は捕縛されてました。小隊長が持っていた金の延べ棒は、共産党区の銀行がつけた独自の印がついてたらしいよ。紛れもない証拠だわ。

三江口は広東軍にとっても、大事な流通拠点みたいだね。
お互いに譲らず、銃を向け合う事態になっちまいましたよ。
本件を調べるのは広東軍にとっても良いことのはず、だが今の君はそれを妨害している、我々には証拠がある、何主任に説明できるのかと図南に言われ、銭旅団長は一旦は退くんだけど、今後、用心しろと捨て台詞を吐いていきます。
この人、図南と林樵松のことを調べてたからね。こんな危険な任務を命じられた場所に、のこのこ家族と恋人を連れて来てる2人。林樵松の場合は、事情があるから、別としても。
どの時点で、こういう手段を取らねばならない仕事なんだと、図南が理解したのかは知らんけどさ。
だって広東軍は軍閥でしょ?家族を巻き込むことなんて、躊躇しないんじゃない?
荒れる銭旅団長の元に、2人を調べるために南京に派遣した部下から報告の電話。
はい、バレましたわよ。
ヤツは央銀の顧問で宋先生の門下だったが、共産党員を庇ったせいで、上が身分をすり替えた。ただの罪人だ。ならば私も容赦しない。ヤツを殺してでも、広州に知られる前に三江口を奪い返すと、銭旅団長は決意してしまったよ。
広州ってのが、広東軍ベースの広州国民政府のことね。
若来達は、随分と落ち着いたとはいえ、未だ偽札を撲滅できずにいました。
そこに雷鳴(レイミン)が、偽造防止対策ができたと新紙幣を持って来ます。火で炙ると、独特の匂いを発するんですと。その仕組みは、担当者と頭取しか知らないらしいよ。
これで見分けが付きやすくなり、損失も防げるだろうと、若来達の表情は明るくなったぞ。
さて、前回魚児の手を振り払った、友達の母親。
彼女は身なりの良い男から、亡きご主人、崔(ツイ)氏の仇を討ちたくはないかと聞かれてました。
やっぱりな。
あの時、粛清され、銭旅団長に名前を上げられた崔雲閣(ツイユンゴー)の妻子だった訳だ。
授業中、魚児(ユーアル)が仲直りしたい友達にクッキーを渡そうとすると、その手を叩き落とされ、先生に言いつけられてしまいます。
更に、彼女の父が私の父を殺した、あなたのお父さんは殺人犯と、教室で言われてしまう魚児。前の席の男の子も、僕の父さんも捕まったと言い出します。
ほらね。ああいう仕事するのに、家族なんか帯同して来ちゃダメだわ。
悪いことをすれば罰せられるのは当たり前とか思ってそうだけど、やり切れない家族の思いはそう簡単なものじゃない。
見通しが甘過ぎたのは、お坊ちゃま育ちだからなんだろうか。早くに両親を亡くしたとはいえ、優雅に兄妹揃って海外留学できてたんだしねえ。
夜、夜食を運んで来た辞書(ツーシュー)が、魚児が学校でいじめられたと呟きました。
なんとかしてちょうだいと言われ、分かったと言う図南だけど、辞書は魚児を連れて実家に帰ろうとしていました。
でも何も気付いてない図南は、今はどこに行っても危険だと言う。いやいや、アナタの側が一番危険よ。
この人は、政治的な危険だのなんだので話をしているけど、自分が人から恨まれる仕事をしていて、自分と家族にヘイトが溜まっていることに全く考えが及んでいない。自分の所業を棚に上げ、魚児がいじめられたことのみを持って、酷いなと言う。視野狭窄。
辞書は気付いているんだから、もっとはっきり言ってやれば良かったのに。
翌日、黄従匀(ホアンツォンユン)の運転で魚児を迎えに行く図南。
その後、ドライブする約束をして魚児も喜んでいたらしいのですが。
突然、車の前に飛び出したのは、崔雲閣の妻でした。
図南は自分が殺した人物の妻だと知ってたのね。でも、あの時、魚児の手を振り払ったのもこの人だと、見てたはずだよね?なのに、何も気付かなかったっての?いくら相手が悪いことをしていたとしても、自分は職務で罪人を処刑したのだとしても。その相手の妻と娘が、自分の娘の近くにいるという不穏に、本当に何の危惧も抱いていなかったの?
助手席に乗り込んだ崔雲閣の妻。
図南は一応、ご主人のことは申し訳なかったというんだけど、妻は、権威を示すための殺人ですもの、夫は運がなかったんですと言います。どう考えても嫌味よ。
要望があれば言ってくれと言われた妻が、では率直にと、どうか娘さんを別の学校にと言ったのに。従匀がすかさず、罪人の家族なのに厚かましいぞと叫んでしまいました。あーもう、バカめ。相変わらずだよなあ、この男。
崔雲閣の妻は涙を流しました。
あーあ、オマエのせいで、この人は何やら決意してしまったと思うぞ?
ぎゅっと握り締めたポーチみたいなのを残して、崔雲閣の妻は車を降りました。
図南の車が学校前に着き、子供達が飛び出してきます。
物陰から見ていた崔雲閣の妻は、子供達が巻き込まれることに気付き、彼だけを殺す約束だと慌てるんだけど、後ろにいた男に止められてしまいます。
でも、魚児の後から自分の娘も出て来たのを見て、飛び出した崔雲閣の妻は、爆弾よと叫びました。
咄嗟に魚児を抱いて車から離れる図南、逃げる従匀。
図南の車は、思いのほか、大きく爆発。
すかさず隠れていた男達が、図南を銃で狙うものの、気付いた従匀が倒れたまま男達を射殺して、また倒れ伏す。てか、図南のためならって忠犬ぶりは、相変わらず凄まじい。
崔雲閣の妻は、従匀に撃たれた男の銃を取り、魚児を抱く図南に向かって行きます。
このままでは魚児も巻き添えになると、図南は、魚児の前で、友達の母親を射殺してしまいました。
最悪の事態ですな。
可哀そうなのは娘だけども。それもこれも、父親の見通しが甘過ぎたせい。
入院している魚児は、うわ言で、来ないで、人殺しと呟いてました。
きっと辞書はずっと寝ずに付き添ってるんでしょう。病室には図南もいて、交代すると言うんだけど、魚児が目覚めた時、そこに元凶の父親がいたらどうなることか。
辞書は、図南を振り払い、上海に帰ると言います。魚児がこんな状態になった、怯えながら暮らす毎日にはもう耐えられないと。
この期に及んでも、謝礼を多く出して上海から医師を呼ぶなんてことしか言えない夫。
執務室で、従匀から、崔雲閣は密輸関係者だったが妻は無関係だったと聞かされます。
誰かに利用されたんだと図南。
従匀も、銭逢時(チェンフォンシー)しかいませんよというけど、証拠がないから本部に報告しても無駄だろうと、何もできないまま。
夜、病室のベッドで眠る娘と、傍らでうたた寝する妻を覗き、廊下に座って溜息を吐く図南。
苛立って壁を殴った時、後遺症の頭痛に襲われてしまいます。
物音に気付き、辞書が出てきて、夫の肩に手を置きました。
涙を流して、殺すつもりではなかったという夫。
辞書は従匀から状況を聞き、図南が魚児を守るために発砲したのを知っていました。
彼女は亡き夫の仇を討とうとしたんだ、彼女は何も間違っていない。
そう言った夫に、妻は、じゃあ、誰が間違ったの?と言います。
誰だ、誰が間違ったと呟くしかできない図南ですわ。
私が言ってやろう。アンタだよっ(笑)
共産党の経済封鎖策の評論を書いた時から、それを提出した時から、間違えていた。
図南の元に、共産党の新しい紙幣を入手した林樵松が来て、紙幣を炙ってみせました。
でもやっぱり製法は分からないらしい。早急に突き止めるよう、指示される林樵松。
共産党区の町は、一見して結構活気があるけど、町を見ている若来は厳しい表情。
図南の経済包囲網は、細かく着々と進んでいるようで、三江口でも、新しい暗号方式を採用し、弾かれた人達はどんどん銃殺されていきます。
図南と会った銭逢時は、今後三江口はあなた達が取り仕切り、我々は何も得られないと言うと、傍らにいた林樵松は、欲張りですよと。
図南が穏やかに協力を求める物言いをする中、林樵松は銭逢時を煽りまくります。役割分担かな?
捨て台詞を残して銭逢時が帰った後、図南は証拠を集めて陳済棠(チェンジータン)の顔を一気に潰すぞと言いました。強硬策に打って出る訳だ。諸刃の刃だろうて。
若来たちは、偽札の見分け方を公表して、人々に本物と偽物を見分けられるようにし、懸賞金を懸けて、通報者からの情報を得ることで、偽札の拠点を突き止めようとしていました。
辿っていくと、興通(シントン)商行という名前が浮かび上がります。両党の境にある商社みたいよ。
その頃、林樵松は図南に、偽造硬貨も見せてましたよ。あの楊六指(ヤンリウジー)って人は、偽造紙幣だけでなく硬貨まで作れたんかいっ。
一見して全く違いが分からないほど精巧だけど、使い続けると中の銅か出てきて、偽造だとバレるらしい。
それを素晴らしいと言う沈図南。以前目の前の男に、偽造銀貨の件で煮え湯を飲まされたこと、忘れたんすかねえ。
現地の物価は3割ほど上昇したみたいだけど、図南はまだ足りないと言います。
魏若来が座して死を待つはずはない、と。なんか、ヤな信頼だよっ。
彼を高く評価し過ぎではという林樵松に、図南は、君こそ彼の能力の高さを分かっていない、一か月以内に拠点を探し出すはずだと言います。
少しずつ追い詰められていた若来たちのほうでも、国民党に一体何があったかと不思議がってました。どんな策士を雇ったのか、と。
そこに、偽造銀貨の報告。
偽造紙幣、偽造銀貨、農産物の投げ売り、塩の制限、三江口の暗号。
危機感を募らせた若来が、同様の事件を経験したから自分が行くと言うと、雷鳴は危険だからダメだと言って、孔令崢(コンリンジョン)と宋寿田に命じます。
それでも若来は食い下がり、相手の策士に会いたい、偽金工場を潰して見せると言いました。ただ、協力者が必要だ、と。
そう言った瞬間、少しだけ憂いの表情を見せた。あー。

うん、協力者は近真しかいないよね。
単純に考えてもこの2人なら、例えば何かあっても、細かい説明なしで理解し合える、同等の思考力と察しの良さを持っている。
でも若来は、相手の策士に会いたいと言った。相手が思い浮かんだってことだよ。だから、近真だった。
涌金門(ゆうきんもん)の興通商行を訪ねた2人は、王という男に石油を買いたいと持ち掛けました。あるだけ全部を大余へと。
高額になるので店主に確認すると言った王は、2人に二階で待つよう案内させます。
大余って、共産党関係の土地なのかしらん。わざと怪しい地名を出したんだね。
王が向かいの建物に向かうと、そこには林樵松と文彪がいました。
見張っていたけど、若来たち以外には誰もついてきていないと文彪。ホントに2人だけで潜入して来たんだね。
林樵松は、すぐに捕まえず、店主の馮俊章(フォンジュンジャン)を通して、探ることに。
馮俊章に会った若来は、大余の魏東林(ウェイドンリン)と名乗ります。
大量の石油を誰に売るのかと聞かれた若来は、私の客を奪う気ですかと躱すんだけど。
やっぱり大余は共産党区にほど近い場所らしいね。最近やって来た特派員は残酷なので、共産党には近付けないと馮俊章に言われてしまいます。2人が共産党の関係者だと疑う訳じゃないが、2人が特派員に狙われないかと、私も命が惜しい、なんて言う店主。
近真は頭金だと、札束を出しました。店主は、これは紅軍の紙幣でしょうと返そうとするんだけど、若来は見覚えがあるのでは?と言います。ふむ、偽札ね。
店主は札束を確認して、なんのことですかとシラを切り、お見送りだと帰そうとしました。
引き止めた若来は、切断前の共産党の新札を出して傍らの火鉢で炙り、手渡します。
匂いを嗅いだ店主が、本物だと驚く。
近真が、あなた達の偽札は精巧にできているけど、本物は火で炙ると独特の匂いがする、作り方を変えないとばら撒けなくなると言い、若来は、我々はあなたを通して新札の製造方法を誰かに売りたいのだと言いました。
決定権のある人と相談してもいいですよ、と。
その話は即、林樵松の元へ。
驚いた林樵松は、文彪に撤収させろと指示。若来に工場で製造方法を教えさせ、間違いないと確認してから捕まえることにしようとしたみたい。
でも多分、これで林樵松は若来の罠に嵌ったんではなかろうかな。この人は若来を侮ってるし。
怪しんだ馮俊章が若来達に銃を向けると、若来は匂いの元はインクに含まれるミネラル、成分と分子式を書いた紙があるが、不要ならばと火鉢に近付けようとします。
馮俊章は慌てて銃を下ろしましたよ。
偽札は我々が運んでいて製造者とも知り合い、彼らは製造方法に興味を持つはずだと、掌を返した馮俊章に、若来は値段交渉を依頼しました。
夜、旅館に馮俊章が迎えに来ます。
2人は布袋を被せられ、輿に乗せられてどこかへ。
林の中には、別働総隊が潜んでるよ。2人の後を誰もついて来ないと、文彪は逆に不安がってる。
ん?他の勢力もいる?としたら広東軍かな?
工場には図南がいました。どうしてもあの匂いがつけられないらしい。
でも今夜、匂いの付け方の製法を買うって話は、楊六指も知ってるんだね。
工場に案内される2人。
中から出て来たのは、図南と黄従匀。
袋を取って、御対面!
近真は息を飲んで驚いてるけど、若来の顔は、うん、やっぱりだね。
冷静だなと言われて、あなただろうと思っていましたと若来。
近真はいきなり殴りかかります。涙ながらに、騙したのね、と。
まあね、訃報については、図南がコントロールできないところで起きたことだけどな。

図南は、従匀と他をみんな外に出します。
触れようとした兄の手を叩き落とす妹(笑)
図南は2人を促して座り、偽造銀貨事件の後、3人で家に集まったな、若来が怒ってたと呟きました。
2人に対峙して、自分がそこからとても遠いところに来てしまったことを、改めて認識したみたいな顔だな。
若来は静かに、当時のあなたは贋金をひどく憎んでいたのに、作る側に回ったのですねと言います。
返す言葉もないわよね。
近真が義姉さんと魚児は元気なのと聞くと、図南は、いや、と答えました。
ある人が自分の暗殺を謀り、娘も爆発に巻き込まれた、今も病院にいる、と。
心配する近真だけど、違うよ、体はたいしたことはない。心の病気よ。そんなことは言えない図南でしょうけどね。
本題に入りましょうという若来の言葉で、3人は言い合いになってしまいます。
図南の言い分は、実の妹が共産党に入った、手塩にかけて育てた弟子が共産党に尽くしている。
若来は、共産党を選んだのは正しい選択だった、共産党は庶民の味方、国民党はそうじゃない。国債の件で誰かがちゃんと罰を受けたか?と。
近真も、なぜまだ気づかないのか、庶民など眼中にない南京の横暴さに、と。
図南はうるさい、しか言い返せない。さっきから感情論ばかりだし。
てかもう、意固地になってる顔だものな。過去の義憤に駆られて怒る顔とは違うよね、目が。
やっぱり王陽(ワンヤン)氏も上手い役者さんだわなあ。
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