あらすじ
共産党への加入を戸惑っていた魏若来だったが、父親と過ごし、現地住民に寄り添って行動する共産党員の姿を見るうちに決意を固める。家族と渡英を考えていた沈図南は、共産党の資金源となっているタングステン鉱石の取引禁止を提案した文書が評価され、蒋介石に引き止めらる。
みるアジア

ネタバレ感想
本日入ってきたメールにびっくり。
「みるアジア」さんのサービス、この3月いっぱいで終了だそうです。
い、急がねばっ。「追風者」は終わると思いますが「天才基本法」っ。他で配信ないんですよねえ。
頑張ろうっ。
ちょっと落ち着いたらしい沈家のリビング。
新聞を読んでいた図南が言うことには。
委員長が自ら指揮を執り、40万人を動員し、ドイツから軍事顧問団まで呼んでも紅軍には勝てないんですと。勝敗を決するのは金と食糧と補給線のはずなのに。ちっぽけな共産党がなぜこんなに戦える?
命がけの庶民の強さってことかね。多分、知識層の頭脳も共産党にはだいぶ集まってるんでしょうが。
辞書(ツーシュー)は、あなたが考えることじゃない、それにもう中国を去ると言うけど、図南は、それでも祖国だ、だってさ。
図南のぼやきは更に続く。
今回の敗戦でまた、武器弾薬を奪われた。共産党の勢力は広がるばかり。このままでは党国の危機。
洗濯物を畳みながら、黙って聞いてる辞書の気持ちが、よっく分かるよ。
図南は若いとはいえ、退職後もまだ以前の会社の重鎮みたいな意識が抜けずに、会社のあれこれに対して文句言い続けてるじいさんの愚痴と変わらんもん、それ。
コトが国の話なので、職があろうがなかろうが、冷酷に使い捨てられようが、国を案ずる気持ちは変わらないといえばそれまでだけど。
定年退職後も現役時代の名刺を持ち歩くじいさんがいるなんて逸話もあるくらい、男は意識の切り替えができずに過去の輝きにしがみつきがちな生き物らしいけど、女は普通に生きているだけで、何度も意識の切り替えを余儀なくされる経験をしますからね。
呆れて溜息でもつきそうな顔で、辞書は、あなたが焦っても無駄よ、上層部がだらしないのと言いました。
片や江西は、人々が生き生きと暮らしてるみたいよ。
炊き出しみたいなのもあって、全ての人に食事を、なんて張り紙もある。
若来たち3人は、その光景を眩しそうに見ながら歩いてます。

若来は、中華ソビエト共和国銀行に連れて行かれたんだけど、門前で、僕は入らないと。
近真をここまで送ったから、実家に帰るって言い出しましたよ。
今は意欲がない、央銀で自分は何も成し遂げられなかった、阿文たちを失い、自分は指名手配され、顧問もあんなことになった、もう金融界と関わりたくない。
春苗(チュンミャオ)の制止も振り切ろうとして、春苗に縛られる若来(笑)腕力じゃ、相変わらず勝てないんだね(^m^)てか若来が、本気で春苗に立ち向かわないんでしょうけど。
門前の騒ぎに中から出て来たのは、近真を良く知る雷鳴(レイミン)でした。以前上海の徐諾(シューヌオ)のところに来てましたね。今は銀行の責任者みたいだよ。
近真に紹介された雷鳴は、若来の情報は徐諾から得てたんでしょうが、我々には彼のような人材が必要だが、本人の意思が大切、無理強いはできないと言います。春苗は2回くらい殴れば言うことを聞くとか、不穏なこと言ってるけど(笑)
雷鳴をじーっと見てる若来。見極めようとしてるね。
中を紹介するよと言われても、早く実家に帰りたいと固辞する若来。地下組織にいた兄が上海で犠牲になった、父に伝えて葬儀を行いたいと言うと、雷鳴は納得してくれました。
落ち着いた頃、気が向けば是非来てくれと笑顔で言われた若来は、頭を下げて去って行きます。春苗も後をついてきて、近真も2人を送りに。
若来は近真に、徐諾が以前、革命根拠地には僕が必要だと言ってた、共産党はいつか成功を掴むと思うけど、僕は自分に自信がないと言います。
近真は、あなたは金融の天才、兄がいつもあなたを褒めてたと言うけど、若来は、でも彼も失敗したと。
金融で国に尽くせると思っていたけど、全て間違いだった、政策の出発点はいいけど結果が伴わない、南京の問題だったのか、僕が金融を理解していなかったのかと、若来、頑な。
近真もまた、雷鳴同様、頭の中を整理する時間が必要なのねと、理解してくれました。
図南は自宅で何やら評論文を書いてましたよ。
タングステンの輸出入を規制し、共産党経済面の生命線を断つって文章のよう。
出国前に書いて、区切りをつけたいなんて言ってますが、こんなの書かなければ良かったのよぅ。
水辺で父親と再会した若来。カワイイ。

家に入り、跪いた若来は兄の死を告げました。
兄ちゃんは裏切られて犠牲になった、でもその裏切者は僕が殺した。それ以外にも自分は上海で指名手配されている。
驚いてよろめいちゃった父親だけど、殺人事件で指名手配されたのではなく、国債事件で南京政府の黒幕を暴いたから、処刑されそうになった時、助けてくれたのは共産党だったと聞いて、その2つは間違っていないと。庶民のために動くのは一人前の男がすること、長年学んだことが役に立ったなと言ってくれました。
兄ちゃんの葬儀を済ませた若来は、春苗の父親から、これからどうするのか聞かれます。
仲間の店で会計係を探していると言われ、考えてみると答える若来。
春苗の父親も若来の父親も、2人の婚約解消は認めたくないらしい。
若来が会計係を承諾しようと春苗の家に行くと、若来との婚約を強要されそうだった春苗が、婚約解消したいがために近真の話を持ち出し、若来にはインテリのお嬢様がついてるんだと言って、父親を怒らせてしまいます。
ま、確かに近真は若来のことが気に入ってるよね。でも愛だの恋だのの前に、近真は若来という人物の才を買っている。根底には何か芽生えていたかもしれないけど。
小さな商店の会計帳簿を前にして、若来は上海での日々を思い起こしていました。
いろんことがあったね。危険なことも悲しいことも多かったけど、眩しい日々だったね。
帳簿に向かう若来を覗きに来たのは、以前隣人だった方玲(ファンリン)って女の子。
ちっちゃな子供が、店の手伝いをするくらい大きくなってた模様。
なにくれと若来の世話をしてくれる方玲に、若来は計算を教えてあげることに。
瑞金では、近真が仲間の前で孔令崢(コンリンジョン)から、経歴と共に紹介されてました。
中華ソビエト共和国銀行の特別指導員になったんだそうだ。
隊員から、射撃の達人ですよね、腕前を見たいです♪なんて言われてるよ。そっか、やっぱりあの腕は達人レベルだったんすね。
近真の試し撃ちは全て命中。隊員たちは大拍手。
隊員たちに銃の扱いを教える近真と、方玲に計算を教える若来と、父親から体幹を鍛え直されてる春苗と。
それぞれの穏やかな日々が描かれます。
と、若来のいる店に男達が乱入し、父親の債権者だと名乗って借金のカタに方玲を連れ去ろうとします。
方玲の父親は20元を借りたけど、無知だったからでしょうね、多額の利息がついて100元になっちゃったんだとさ。だから父親が騙されないように、計算を覚えようとしていた娘だったのに。
阻止しようとした若来も抑えつけられ、方玲は連れて行かれてしまいました。
父親との夕食時も、考え込んでしまう若来。
方玲を助けたいと思う若来だけど、父親はやめておけと言います。方玲は一人娘で父親も体が悪い、お金を貸しても返ってこないと。若来は、方玲は将来会計の仕事ができると言うんだけど、女は雇っては貰えないと言われちゃう。
その時、外では銃声がしました。父親は、きっと共産党だ、天がひっくり返る、と。
翌朝、歌いながら行進していく共産党。先頭にいるのは孔令崢。
若来が行ってみると、雷鳴が拡声器で演説していました。高利貸しからの農民の借金を帳消しにするって。高利貸し達を裁判にかけたらしいよ。
夜、若来は考え込んでいました。
あの後、若来は、共産党から、方玲が亡くなってしまったことを聞かされていました。
獣にも劣るヤツらだ、無念を晴らすと叫ぶ孔令崢。方玲の死は時代の悲劇、何もしなければ悲劇は繰り返される、それでいいのかと若来に問う雷鳴。
どうか我々と君の故郷にチャンスを、根拠地には君の力が必要だ、共産党なら中国を救えると言った徐諾の言葉も蘇ります。銃の扱いを教えて貰った時の、涙ながらの近真の言葉も。
若来は父親に、共産党の銀行に入り、瑞金で夢を実現させると告げました。
方玲は死に追いやられたけど、これが上海や南京なら誰も動かない、でも共産党は庶民に寄り添い、動いてくれた。
父親はもう金融には関わらないと言ってたぞと若来の決心を確かめ、若来は今は違う、金融は道具だ、悪人はそれで人を殺し、善人はそれで田を耕す、瑞金で兄さんと同じ道を歩むと言い切りましたよ。やっとか。

決めたよ、とーさんっ。
村人達の感謝を受けながら行進して帰っていく孔令崢たちの列の後ろに、若来と春苗もついて瑞金へ。
雷鳴に歓迎される若来。
中華ソビエト共和国銀行は、1932年に設立され、初代頭取は毛沢民(マオズーミン 毛沢東の弟)、最初は東固平民銀行って名前だったんだそう。後に江西農民銀行となり、閩西(びんせい)工農銀行と一緒になって、作られたものらしい。
閩西工農銀行からの言葉は若来のもので、雷鳴は共産党銀行の歴史を知っていた若来に嬉しそう。以前調べてレポート書きましたからね。
雷鳴は、沈図南からの指示だなと言い、彼は有能だが陣営を間違えたと言います。
若来も、彼は三民主義と国民党に幻想を抱き続けていたと。そうね、もうあれは幻想だよね。
彼にもここの空気を感じて貰いたい。これも若来の本音でしょうが。あの人ぁねえ…
ってなわけで。
あんな評論を書いてしまった沈図南は、またもや身動きが取れなくなってましたわよ。ほんっとに、辞書ですら呆れるような未練を文章なんかに残してしまったせいで。
秘書室の明達(ミンダー)が蒋介石の代理だとやって来て、図南の評論を高く評価したと、経済的包囲討伐の実行のため、図南を特派員として江西に派遣したいと言ってきた。
ほんっと、バカとしか。
これでもこの人は、自分が評価されたと嬉しいのだろうか。物陰で辞書が涙目で聞いてるよ。
図南は自分は罪を負った身、あの文章は自分のために書いただけ、私は家族と渡英すると答えたけど、でも、なんだーかんだーと名誉と思え的なブツを与えられて言いくるめられとるな。
というか。
自分のために書いたのなら、南京に提出なんかするなって話よ。そこにあったのは、やっぱり何らかの功名心ではあるまいか?
妹が共産党員だったけど、蒋介石が介入したお陰で康少捷(カンシャオジエ)が手を引いたとか、恩を押し付けられてたし、せめてもの恩返しとか本人は思ってたのかもしれないけど。
私にはそこに、違う意味が含まれていたような気がしてならないわ。自分をないがしろにした組織への、有能故の余計な最後っ屁(失礼 笑)
そしてそれを逆手に取られて、またもや利用される。そりゃもう、骨の髄までって感じよ。
幻想から抜け出せない図南は、辞書に拒絶されていました。当たり前。
イギリス行きの切符は購入済で、魚児も退学させちゃったらしいわ。
でも国難が迫っている、祖国の危機だ、だから残る、だとさ。
ここで妻が夫を見限り、別行動することを毅然と決断していれば、その後の悲劇も起きなかったんだけどねえ。
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