あらすじ
崔琰(さいえん)の企てを止めた劉平(りゅうへい)が外に出ると、突然潜龍観が崩れ始める。中にいる崔琰を助けようと、劉平は潜龍観の中へ飛び込んだ。その頃、父、伏完(ふくかん)の謀反に加わった罪に問われた伏寿(ふくじゅ)の元には、曹操(そうそう)の命を受けた曹丕(そうひ)と司馬懿(しばい)が訪れていた。司馬懿が用意した毒を自ら仰いだ伏寿は…。
三国志 Secret of Three Kingdoms 公式サイトより引用
潜龍観に残った劉平は、崔琰を止めに来た、義のために命を捨てるのは皇帝が自らすること、人には命じない、漢王朝のために、若者を死なす訳にはいかないと言いました。
劉平の言葉にもありましたけど、崔琰は鄴にいる時、袁紹に逆らって儒学生達を助けた人なのにね。でも王朝は、皇后さまはどうなさるおつもりですかと聞く崔琰に、劉平は、皇后も望まないって。
つくづく、生まれた時代が悪かったって崔琰が言ってますよ。こんな動乱の世じゃなければ、人心に沿う立派な皇帝だったでしょうよ、ホントに。
崔琰は、伏完と趙彦の位牌を片付けてから帰るので、先に行ってくださいって言うんだけど、え、まずくね?こういう高潔な人はさあ…
でも劉平は素直に出て行ってしまうのですよ。
階段下で劉平に、全て知っていてなぜ来たのかと尋ねる満寵の顔は、郭嘉に相対する時と一緒でしたよ。今までと全然違いましたよ。やっぱりねー。
知っていれば、来なければならぬだろうと言った劉平に、頷いた満寵は、私は分かった気がしますって。何をだと劉平が尋ねた時、案の定、潜龍観が崩れ始めます。
崔琰を助けに、急いで潜龍観に戻る劉平。
崩れ落ち、火の手の上がっている内部から、なんとか崔琰を見つけ連れ出そうとした時、燃え上がる柱が倒れてきます。潰されるっと思った時、柱を剣で押さえ、2人を助けてくれたのは満寵でした。
うおー、良かった、崔琰も満寵も無事でした。
盧毓(ろいく)と柳毅(りゅうき)に支えられ、私は陛下に背きましたーと涙する崔琰は、医者の元へ。その場にいた他の儒者も下がらせ、劉平は階段に座り込む満寵を見ます。
満寵、手を怪我しちゃったみたいですね。
大丈夫かと聞く劉平に、満寵の顔はすっかり恐縮している。ん?
私は罰を受けて当然ですから。
わん。
満寵は先ほどの続きを話し出します。
郭祭酒が、陛下の素性を隠した訳が分かりました。陛下は郭祭酒が望む皇帝そのものだ。
火事の日、自分が引きずった屍が誰か、もう分かっている。
だから、この手がダメになるのは、当然の報いなのです。
あああ、満寵が、あの満寵がこんな台詞をー!
びっくりだな、そして郭嘉に見せていたワンコの質は、この人の中に確かにあるものなんだなあ。失くしてなかったんだなあ。
満寵は、早く宮中にお戻りくださいと言いました。
これはリークだね。今日、ソレがありますってことの。
皇后かと呟いた劉平に、満寵は無言で目を閉じたのですよ、うおおお。
その頃、伏寿の幽閉場所に来ていたのは司馬懿と曹丕でした。
曹丕は、司馬懿の間柄でこの役目は酷だから自分がと言いますが、司馬懿はそれを止めます。若様は大事を成す方だから、私のほうがいい。私は残忍な男です。
司馬懿は盃を置き、曹操の命だ、皇后伏寿は伏完の謀反に加わった罪があるが、長年陛下に仕えたことに免じ、毒による死を与えると言います。
また謀反って言葉を使うのかー。
部屋の入口で曹丕が見ています。曹丕、昔は伏寿に淡い思いを抱いてたっけなあ。
伏寿はサラリと飲み干し、復讐は終わりました、唐王妃様のところに行きますと言いました。
司馬懿は、2人で私が報いを受けるのを見よって言ったよ。
血を吐く伏寿を見て、呆然としている曹丕とは裏腹に、司馬懿は笑って立ち去りました。
…いや、だ、大丈夫だ、きっと何か、きっときっと何か裏があるっ、だからこそ、司馬懿は曹丕には頼まず、自分が引導を渡す役を引き受けたんだ、と、思う、思いたいっ。
涙目の曹丕に、若様、皇后伏寿は亡くなりましたと司馬懿が言った時、劉平が馬で駆け込んで来ました。
倒れている伏寿を抱いて、私は使命を全うして守るべき者を守ったら、あなたの元に行きます、2人の理想は自分達が分かっていればいいと呟く劉平。
私は分からぬ、死ねば何も残らぬ、何が理想だと言う曹丕。
若様と私が分からぬから、ないということにはならぬと司馬懿。
だが二人の理想は、若様に終わらせされて燃え尽きました、我らはみなそうやって、鍛えられるのです。
これはー、んー、どちらともとれる台詞ですな。
固まってる曹丕に司馬懿は、若様、見苦しいですぞって言うんだけど、自分の皇后も守れないアイツが憎い、だが感謝もせねば、私はこの世界の王になる、だってよ、曹丕。
やっぱり伏寿への思いは心の奥に残ってたんですねえ。
部屋から出て来た劉平は、司馬懿に向かって剣を抜き、曹丕が素手でそれを掴みました。
先がちょびっと入っちゃいましたね。
劉平は、臣下が皇后を殺すのは償えぬ大罪だって言うんだけど。
それは曹操に言うべき言葉かな。ここでの司馬懿は単に命を受けて実行した人。まあ、裏にはいろいろあったし、この一連の出来事には介入してるんだろうから、感情が向かうのは仕方ないけど。
それより劉平は、こうなるまで理想を貫き通し、状況的にはいろいろ失敗してきたのです。それが2人の理想の元にということであったなら、伏寿は理想の元に殉職したようなもんだから、司馬懿ばかりを恨むのは、やっぱりちょっと違うかなあ。けどま、そう割り切れないのが感情ってもんですが。
唐瑛が死んだ時、司馬懿は劉平に剣は向けたけど、刺しはしなかったぞ?
皇后がこうなったのは、陛下自らが招いたこと。
そして続いた司馬懿の言葉に、劉平も停止しています。
さっきの、私は残忍な男ですってのといい、今の、天に罰せられるってのといい。
司馬懿、いろいろと覚悟の上で、かなりのことをしてるのかもね。伏完との全貌、はよっ。
皇后として弔うことは曹操も認めたと曹丕は言い、去って行きます。
手に包帯を巻いた満寵が、曹操に報告に来ていました。
曹操は、つまり、陛下は知っていたとと、驚きで動きが変。
数百人の儒学生殺しとなってしまえば、いつまでも汚名が付いて回り、皆に責められるだろうと言った曹操に、幸い陛下が止めてと満寵が言うと、幸いだと!?と怒鳴り、怒鳴ったことで頭痛に響いてしまう曹操。
あくどいやり方に見えるらしいよ。崔琰が死にたいなら死なせればいいのに、それを助けて生かせば、きっとまた儒学生達を煽るってさ。
聞いてる満寵はきっと、それは違うよなあと思ってるよね。そして、この男はこんなヤツだったんだなあと思ってるよね。
その時、部屋の外で孔融が兵達に取り押さえられていました。
曹操、おまえは逆賊だっ!
ちょ、じいちゃん大丈夫?
あー、とうとう孔融も一族打ち首を言い渡されてしまいました。
史実でも、この人は孔子の子孫として一目置かれてはいたものの、曹操からはずっと煙たがられていたらしいんですけどね。孔融を処刑してしまったことで、曹操は本当に後々までその所業を非難されることになります。
満寵に命じて、孔融を退出させた後、曹操は頭痛に座り込みます。
そこに曹丕が、終わりましたとやって来ました。
曹丕の手の包帯を見る曹操に、陛下が司馬懿を刺そうとしたのを止めましたと曹丕が言うと、そんなに司馬懿が欲しいのかって。
曹丕はあの剣は本気だった、止めなければ司馬懿は死んでいたと。
曹操は、主君に助けられた家来が主君を刺し殺すかもしれぬと言います。
司馬懿は恐ろしい男だ、やがて曹家にも手を出す。
二階の回廊に立ち、剣を手にしている司馬懿。これ唐瑛の形見の剣だよね。
そこに曹丕が来て、曹操は崔琰と孔融を殺すと言います。
自ら死を望むものは止められぬと司馬懿。
曹丕は、陛下はなぜ儒学生達を助けたと聞きます。成功すれば皇后を助けられたのに。
しくじる者は2つに分かれる、無能と愚か。
無能は袁紹のように先を見通せぬ者、愚かは陛下のように自分の考えに囚われている者。
儒学生達の命を惜しんで、忠臣を失ってしまった。
崔琰は死ぬ前に、人を見る目がなかったと思うか、喜んで受け入れるか。
だから曹丕は劉平が憎いし、怖いと言います。
司馬懿は、かつては期待していたが、今は恨んでいると言いました。
曹丕は、もう終わったことだって。んー、ちょっと無神経だな。司馬懿が手にしている剣が誰のものだったかなんて、気付いてないんだろうなあ。全く終わってないのよ、司馬懿の中では。ただこの人は劉平と違って、心と態度を完全に分けられる人、目的のためには、自ら手を汚すことも多分厭わない人。
伏完の屋敷の後始末に、既に楊修が向かっていると聞いて、急いで向かう曹丕。嫌味の応酬と腹の探り合いですな、この2人も。お互いに信用してないしね。
楊修、調べた結果は全て曹操に報告しないとなりませんしー、曹丕と一緒だと調べがばらつきますしー、忙しそうですしー、先に来ました、みたいな抜け駆けの言い訳してますよ。
大切な書類は燃やしてから死んだ伏完ですが、普通の手紙の中にも何かあるかもと言う楊修。でもちょいとその手が止まったのに気付いた曹丕は、すかさずその手紙を手にします。楊修の父、楊彪からの手紙。内容は読めませんが、助力討伐って書いてあるみたいに見えました。
楊修は伏完のでっちあげたものと言ったので、やっぱりそういう手紙ね。かるーく、うんと言った曹丕、楊修の言う通り、調べた結果は全て報告する、偽者かどうかは父が決めるってさ。
楊修の顔、や、ば、い。
出て来た私信は2通。荀彧と楊彪からのものでした。
荀彧からのものは、動きを諫めるもの、楊彪からのものは共に立つことを承知したもの、ですって。筆跡鑑定も済んでいて、本物に間違いないと。
楊修は、伏完は証拠を焼き捨てたのに、これをわざと残したのは最後に仕掛けた策だと言います。曹丕は、楊修が伏家の者を全て捕らえたので調べたところ、伏完は事の前に2人と連絡を取っていたとの証言を得たと言います。
慌てる楊修は、腹心の荀彧なら、反乱を知っていればそれを曹操に話すはず、その報告がないのにこんな手紙が出てくるのは、やっぱり計略だと。
2人を呼べと言った曹操に、楊修は必死で言い募るのですが、悉く失敗して、むしろ手紙は本物だと思ってるんだな?なんて、曹丕に言われてしまう始末。
曹操にも、才知のある自分を余は手放さぬとでも思っているのか、楊氏は何をしてきた、1度や2度なら許しても、3度めは無理だと言われてしまいます。楊修は自分が楊家の罪を背負って死ぬと言い、捕らえられることに。
曹様は一代で天下に名を馳せたが、息子を守らなければ、壮大な志を継ぐ者はいないって、最後の捨て台詞は、え、そんなん誰でも当たり前じゃないの?と思ったんだけど。あんな高笑いするほど、大した台詞だったのかなあ?原語ではもっと深いニュアンスがあったのでしょうか。息子を守らなければって辺りかな。曹丕がムカムカしてるから、息子はロクでもない的な感じ?それにしても楊修、父親を思う気持ちだけは本物だったんですね。そこまで腐ってはいなかったか。
曹操は、楊彪、そして荀彧もかって呟いてるよぅ。わあ~。
連行される楊修を、庭で司馬懿が待っていました。
楊殿は薄情な男だが、孝行心はあったのだな、初めて楊殿に感心したという司馬懿。
楊修は気付きます。手紙は司馬懿の策略で残されていたのだと。これは唐瑛の復讐だと。
それにしても2人のシーン、がっつり尺を取りましたね。
最後の丁々発止の後、楊修は負けを認め、最後にはおまえに負けたのなら仕方がないと言いました。
楊修の去った後、唐瑛の剣を抱いて撫でる司馬懿。
おお、初めて韓東君を色っぽいと思ったわ、ごめんよ、遅くて(笑)
だけどこの後、司馬懿は振り向いて、ものすごい表情になりました。
その方向は、屋敷の中かな。曹操も曹丕も復讐の相手だね。周囲を巻き込むことも厭わずそこまでやる気だから、自分はきっと報いを受けると覚悟してるのでしょう。現に、楊彪を陥れようとして楊修が堕ちた。え、じゃあもしかして荀彧も、そうなってもいいと?(涙)
曹操も、司馬懿が腹の底に隠している復讐心に気付いているんだろうなあ。
だけどさ、一番身近でその野望を助けつつ、じわじわと破滅へと追い込んでいくのって、智謀に長けた司馬懿ならではの復讐劇ですよね。他の人にはできないだろうな。
竹簡を前に苦悩している荀彧。
ひとり月夜を眺めているところに、曹操。
伏家の処分に関する文章が書けぬのだなと言う曹操は、部屋に入り、荀彧が墨を零した竹簡を見ます。昔は1日で驚くほどの量の文章を書いていたのにと言う曹操に、荀彧は、伏完は罰を受けて当然だが、皇后の件は非難されるだろう、だからどうか残った伏家の者には寛大なご処置をと言います。
曹操は荀彧の言葉に言い返して、自分も伏完と同じ道をたどるのではないかと憂いているのか、だってよ。荀彧は、曹様の身を案じているのですって言ったけど、この人はもう荀彧さえも信じられないんだよね。
曹操は伏完の家にあった手紙を、荀彧の前に投げました。
伏完の反乱を知っていただろう、お前は尚書令であり、余が最も信頼する者だ、だが知らせなかった。
荀彧、表情が以前と違います。以前曹操に詰問された時の、驚いたような失望したような顔ではなく、今はもう、この人には何を言ってもだめなのだという諦観と覚悟の混じった表情。
おまえを漢の尚書令などにしてはいけなかったと言った曹操に、荀彧は、尚書令になったのは自分で選んだこと、曹様にして貰ったことではないと言いました。
余とおまえの長年の交わりは、幻影の漢王朝に及ばぬと言うのかと曹操。
かつて皇帝を迎えるよう献策したのは自分、その時から漢王朝は幻影ではなくなったと荀彧。
その時、曹操は、100年の後、自分の墓には「漢の将軍、曹操の墓」と記されるようになりたいと言ってたんですってよ。えー!そんな時代を知っていれば、変わったのはオマエだと言いたくもなるよなあ。楊彪と伏完も似たようなこと言ってましたね。
確かに曹操は、結局最後まで自分が帝位につこうとはしなかったんだよね。なのにさあ。
当時曹操と荀彧は、漢王朝を助けて苦しむ民を救うことを、間違いなく志してしたようです。
なのに今では荀彧は、曹操と皇帝の板挟みになって身動きがとれない。それでも必死でなんとかしてきたのは、曹操の志と自分の理想、どちらも成就させるためだった。だけど今や恐れおののくことしかできない自分は、もう曹操の志には付いていけない。自分の理想からも遠く離れてしまった。何を書くべきか、何をするべきかも分からない、世間に合わせる顔がない。
荀彧の絶望と嘆きの告白。
さすがの曹操も、いろいろと思い出すこともあったのでしょうが。
ただ曹操は、なぜ自分ではなくアイツにつくんだってことしか頭にないのかもしれない。郭嘉といい曹植といい荀彧といい、こちらはまだ気付いてないけど満寵といい。腹心が次々と心を持って行かれるのはなぜか。それは、皇帝としての劉平の考え方に、より希望と魅力を認めたからで、彼らは有能であるが故にそのことに気付いたんだけど。
それだけは認めたくないんでしょうね。そうなると、お前らが悪い悪い悪い…としかならない訳で。曹操の立場では、劉平みたいな甘いことは言ってられないってのも間違いなくあるんだけど、それでも曹操は、権力を持った人間が陥る悪循環に間違いなく嵌ってますよねえ。そして誰もいなくなる。
次回は、悲しかったり、あらま、びっくりな真相が分かったり~♪
54話最終話まで、あと少し。
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