あらすじ
義城での悲しい真実を知った魏無羨たち。薛洋は藍忘機の剣に倒れる。魏無羨と藍忘機は正気を取り戻した宋嵐にその場を託し、阿箐を埋葬する。宋嵐は薛洋にとどめを刺し、薛洋は薄れゆく意識の中、自ら命を断った暁星塵のことを思い返しながら死んでゆくのだった。義荘に戻った魏無羨と藍忘機は宋嵐を見送ったのち、刀霊が示す場所を探ってみると なんと首のない一体の骸が現れる。そして潭州に戻った2人は藍曦臣に骸が赤鋒尊だと伝え…。
ドラマ公式サイトより引用
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ネタバレ感想
薛洋(シュエヤン)の歪んだ心が、暁星塵(シャオシンチェン)に執着したのは、最初はやっぱり、自分の復讐の邪魔をした高潔な人間への逆恨みで、そこから引きずり下ろしたい、の一念だったのでしょうが、その人間性に触れて、穏やかな生活を経験して、少なからず、心は動かされたんだよねえ。
泥水をすすって生きて来た彼にとっては、初めての経験だったのでしょう。優しくして貰うなんて。でも正体がバレれば、自分はどうしたって受け入れては貰えない訳でさ。どうすればいいか分からなかったんでしょう。
とはいえ、そんな思いを抱えながら確実に暁星塵を嵌めた訳で、どう考えても「アイツだけは生かしちゃおけない」ヤツ。
会話し続けようとしている魏嬰も、言葉でなんとかできる相手じゃないと分かっていても、居場所を確認するには、言葉を途切れさせる訳にはいかなかったんだろうし、挑発するために怒らせなくてはと考えてるみたいです。
それにしても薛洋、霧の中で、ひょいひょいひょいひょい、現れたり消えたりするのは、どういう手を使ってるんだか。
そんな感じで、不意打ちで刺顱釘(しろてい)を飛ばしてきたりするんですが、何しろ魏嬰の周囲には、温寧と藍湛がいますから。刺顱釘は魏嬰には届きません。
陰鉄の欠片を持っていても、半欠けの陰虎符も作れないはず、誰かに手伝って貰ったか、さっき言ってた、迫真の演技をする騙し上手なお友達かと魏嬰は聞きます。
これ、分かってて言ったんだろうか。それともテキトーか?
薛洋の気配がなくなっていました。
だけど魏嬰は、杖の音の方角だと、藍湛に指示。
藍湛が飛ばした避塵(ビチェン)は、確実に薛洋を刺して戻って来ます。
薛洋は阿箐(アージン)を狙い始めていました。
賢い阿箐は、わざと杖で水溜まりをつついて音を立て、藍湛にも居場所が分かる様にしたんだね。だけどそれは同時に、薛洋にも分かってしまう。
薛洋の剣が阿箐を刺したのとほぼ同時に、藍湛の避塵が後ろから薛洋を刺します。
少し視界が開け、倒れた阿箐に駆け寄る魏嬰と温寧。
それを見て、薛洋が最後の力を振り絞り、降災(ジャンザイ)を振り上げると、藍湛の避塵は、薛洋の腕ごと、切り飛ばしました。
これ、初見の時は、グホッと思ったわ。藍湛、容赦ない。
でも仕方ないわね、魏嬰が危なかったんだもの。
少し離れたところにいた宋嵐(ソンラン)も、正気を取り戻したみたいです。目が戻ってる。
そして、憎き薛洋が膝をついたのを見ている。
その時、鬼面の男が現れ、薛洋の懐からイマイチな出来らしい陰虎符を奪いました。
薛洋にも手をかけようとしたのか、連れて行こうとしたのかは分からないけど、それは、魏嬰と藍湛に阻止され、そのまま消えていきます。
鬼面の男は、藍湛がさっき3度も刺したのに、逃げられたんですって。
少なくとも薛洋の仲間だと分かった、恐らく主は同じだって魏嬰に、姑蘇藍氏の剣法を土台に、蘭陵金氏の剣も混じっている奇妙な剣法だったって、考え込む藍湛。
以前宿で襲ってきた時、魏嬰が姑蘇藍氏の関係者では?って思ったのも、間違いじゃなかったね。
それにしてこの鬼面、神出鬼没だし、結構腕は立つし、なかなか出来る人みたいでしょ。でもなー、ならばさあ?…って、絶対後で思うと思うよー。
そこに、少年達もやって来ました。
膝をついたまま、笑う薛洋。
その後ろで、拂雪(フーシュエ)をついて立ち上がる宋嵐。
魏嬰は、決着は2人でつけさせようと言って、倒れている阿箐の元に歩み寄り、阿箐を抱いて振り向きもしないまま、その場を立ち去ります。
もうさ、薛洋なんか、どーでもいいって感じの皆さんよ。これが一番キツイよね、考えたら。
恨みや憎しみすら、向けても貰えない、その程度だと思われるっていうの。
ただひとり、感情を向けてくれたのは宋嵐。
薛洋は、その宋嵐の拂雪に刺し貫かれます。
倒れた薛洋が思い出すのは、暁星塵に全てがバレ、霜華(シュアンファ)で刺された時のこと。
なぜ自分の小指がないか、話を聞いても俺に非があると思えば好きにしろと言う薛洋の言葉を、聞いてやっちゃう暁星塵。お人好しめー。
ただ飴が欲しかった子供。
だけど、常氏の馬車の前に飛び出して、飴をくれと強請ったら、うるさいと御者用の鞭で叩き倒され、馬車の車輪で指を轢かれた、という話なんだけど。
この世界観の中で、縁もゆかりもない、そこら辺の浮浪児に、はた迷惑にも馬車の前に飛び出されて、突然飴をくれと言われた常氏が、優しく手を差し伸べなかったのは、果たしてそれほどまでの罪か?
この物語の中に出て来るおじさん達の中の何人が、同じ状況にあって彼に飴をやっただろうかと考えると、多分ほとんどいないでしょう。耳を貸してやるだろうなと思えるのは、江楓眠(ジャンフォンミエン)と、おじさんじゃないけど藍曦臣(ランシーチェン)くらいじゃない?
馬車で轢いたのも、転んだ子供がどうなろうと知ったこっちゃなかっただけのことじゃないかな。
気の毒な境遇だったのは間違いないし、小指がなくなった出来事そのものは可哀そうだったけど、だからといって、ここまでのことをしていいという免罪符にもならない。こんな突き抜けた悪になっていい理由ではない。
暁星塵も、おまえの指一本を何十人もの命で償えと言うのかって怒鳴ってますが。
白雪閣を襲い、宋嵐の目をダメにしたのも、暁星塵が復讐の邪魔をしたからなんですってよ。
全部人のせいか。
そして暁星塵は、薛洋に騙されて自分がしてきたことを知らされてしまいます。
暁星塵の霜華は邪を感知する剣なんだけど、薛洋に舌を抜かれ、傀儡にされた一般人をそれとは察知できないんだよね。だから薛洋に騙されて、そんな人々を邪崇だと誤解して殺してしまっていた。
半狂乱になった暁星塵は、更に、傀儡になり自分に拂雪を向けてきた宋嵐に気付きます。
今度こそ、その剣を指で辿り、それが拂雪だと分かって。
絶望で座り込んでしまった暁星塵は、尚も続く薛洋の糾弾の言葉の中、自ら命を絶ってしまいました。
薛洋には、予測出来なかったんだな。どこまで追いつめたら、相手は完全に絶望してしまうのか。
驚いた目が印象的だったよ。
だけど、知己である宋嵐が傀儡になったまま、目の前で暁星塵が自害してしまったことにも気付いていないってのが、哀れでねえ(涙)
薛洋は、死んで好都合だ、死んでこそ、俺に従うって言ってるけど、そのショックは隠せていない。
そして暁星塵の亡骸を大事に運び込んで、丁寧に血を拭って、いそいそと嬉しそうにご飯まで用意してやって、霊識の復活を試みて。大好きな飴も一旦食べるのをやめて楽しみに待つんだけど、絶望の中で粉々に砕け散ってしまった暁星塵の魂は、二度と返っては来なかった。
自分の思い通りになる玩具の友達が欲しい、傍若無人で寂しい子供って感じでしたわ。
昔、あるところに、甘いものが大好きな子供がいた。
だが両親はおらず貧乏で、なかなか食べられない。
そこで子どもは毎日思った。誰かが毎日飴をくれたらいいのに…
その子供は、薛洋自身のことだと、暁星塵は気付いてたのね。
だから毎日、暁星塵は薛洋のベッドに、そっと飴の包みを置いてくれてた。多分喜ぶ顔を想像したのかな、にっこり笑って(涙)
その飴を掌の中に残して、それを目にしながら、薛洋は息を引き取りました。
てか、何年大事に取っておいたんだよって、突っ込んだのは私だけでしょうか(^m^)
7年くらいになるんじゃない?
城外に、阿箐を埋葬したみなさん。
少年達も悲しんでいて、景儀(ジンイー)くんや欧陽子真(オウヤンズージェン)くんは、ボロボロに泣いてます。感情豊かな子らだな。
何か考え込んでいた藍湛に、魏嬰が声をかけると、藍湛は、幸いだったと呟きました。
何がと聞かれて、藍湛がただ黙って魏嬰を見た時、藍氏の乾坤袋が反応しちゃったんだけども。
この状況で、え、何が幸い?って話だけど、ここはさあ、暁星塵と宋嵐の2人と比べたんだよね。
魏嬰の魂は、妙な経緯をたどったけれど、ほぼ完璧に近い状態で戻ってきてくれた。
目の前で自分の手を振り払って、崖落ちしていった魏嬰に、もう一度、会えたこと。
これを幸いと言わずして、なんと表現できるか。
だからもう、藍湛は誰に何を言われても、揺るぎなくとことん魏嬰の味方。
みんなをそこに残して、乾坤袋に導かれるまま、2人は戻って行きます。
義城には、暁星塵の棺に手を触れる宋嵐がいました。
いろいろと思いが渦巻いているのでしょうが、後悔先に立たず。悲しいね。
魏嬰は、薛洋の持っていた暁星塵の霊識の残りを手渡しました。
舌を切られている宋嵐は、拂雪で土に多謝と書きます。
これから、霜華を背負い、暁星塵と共に魔を除き、邪を倒すって。
藍湛から、捧げ持つように渡された霜華を背負い、宋嵐は出て行きました。
さて、剣霊の示した棺。中にはお札以外、何も入っていなかったんだけど、藍湛が棺を押して除けると、その下にもうひとつ棺が隠されていました。
黒い棺に赤い文字で何やら描かれているのは、鎮圧法陣というらしい。
魏嬰が呪符を張り、藍湛が避塵で蓋を切ると、中には陰虎符の痕跡と首のない遺体。そして覇下(バーシア)の刀霊がそこに浮かびました。
今まで2人を導いていたのは、覇下の刀霊、ならば遺体は赤鋒尊(せきほうそん)、聶明玦(ニエミンジュエ)の模様。
いやー、やーっと見つけたわー。
潭州(たんしゅう)の町。
以前、座学の後、陰鉄の袋を持って2人は訪れてましたっけね。そこで寄り道してるほわいたんにも会った8話です。
相変わらず、夜でも華やかで賑やかな街。少年達が楽しそうだよ。
そんな中、思追(スージュイ)は、露店の蝶のおもちゃを手に取っていました。
この蝶、以前も出て来ましたよね。
乱葬崗に引っ込んだ魏嬰に会いに来た藍湛が、魏嬰の連れていた阿苑(アーユエン)に買ってやった蝶です。それを、なんだろう、なんとなくコレ…って顔で手にしている思追。
思追は景儀に、3才以前の記憶があるかと聞きます。
景儀は、どうせ雲深不知処で遊んでたんだろって、別に気にも留めずに行ってしまったんだけど、あの蝶を買って手にしていた思追は、そこから、どこかの室内に浮かぶ竹とんぼの風景を思い出していました。
3才以前の記憶。葉っぱで出来た蝶のおもちゃ、竹とんぼ。
ピンと来るでしょ?来ますよね。あの子、そういえばどうしたんだろうと。
流れで言えば、あの時一緒に粛清されてしまったんだろうって話だけど。
どうにかして生き残ったあの子を、どうにかして藍湛が見つけて連れ帰っていたのだとしたら。だって面識あるんだもん。丁度、同じ年頃なんだよ。叔父上がよく許したなってのもあるけど、どこの誰とは言わなければ分かりゃしない(笑)魏嬰に英才教育?を受けていた阿苑が、藍湛から更なる薫陶を受けたのならば、姑蘇藍氏でめきめきと頭角を現していたって、おかしくないわ。
だけど、それがはっきりするのはまだまだ先ですよっと♪
魏嬰と藍湛も、街を歩いていました。
うさぎの描かれた灯籠に足を止める藍湛。魏嬰の描いた天灯を思い出してるな。
魏嬰は、露店にいる小さな子供に目を留めました。阿苑に見えてしまっています。お、こっちでも。
全然違う子だと気付いて、だけど目を真っ赤にして振り返った魏嬰を、藍湛がじっと見ていました。
きっと気付いたんだろうと思うのに。阿苑を思い出したんだなと分かったと思うのに。言わない。
…いけず。タイミングじゃないと思ったのか何なのか。これに関しては以外とずっと引っかかってる(^m^)
魏嬰は、藍湛がうさぎの灯籠を見ていたのに気付き、藍湛、これを買おうと言います。
ハオって言った藍湛に向けた笑顔。
ここら辺の藍湛は、義城の後だから更に、魏嬰がいる、生きてここにいてくれる…って噛み締めてる顔なんだよねえ。2人共かわいいよ。
提灯を持って、潭州客桟に戻ってくると、門の前には少年達が集っていました。
ここ、景儀くんがさ、藍湛に向けてにこっとした後、はっきりと、魏嬰に向けて笑顔を見せるんです。
あんだけ言いたい放題だった景儀くんが、明らかに魏嬰を藍湛の相方だと認めて、慕い始めたって感じ。義城でも既に片鱗はあったけどね。
潭州客桟には、沢蕪君(たくぶくん)、藍曦臣(ランシーチェン)が到着しているらしい。
藍湛は手にしていた灯籠を思追に渡して、入っていきました。どうやら本題らしいと、魏嬰も中へ。
客桟の中庭で、覇下の刀霊を見上げる兄上。
確かに、義兄上の骸だったのかと呟きました。
刀霊は、聶明玦の骸を確認して、本来の姿に戻ったと魏嬰は言います。
キレイな状態で保管されていた遺体は、確かに赤鋒尊だった。
兄上は、金鱗台で大哥の気が暴走して、筋脈が断たれたのを見ていたらしい。
その後は音沙汰がなかったから、覚悟はしていたみたいですが。
魏嬰は、義城で薛洋の陰虎符を奪った、鬼面の男の話をします。
姑蘇藍氏の剣法を知り尽くし、金氏の必殺技も使える男。
心当たりは?
神出鬼没で正体不明、櫟陽(れきよう)では刀霊を奪おうとし、義城では薛洋を助けた。それは、大哥の骸や薛洋が復元した陰虎符を見られては困るから。
鬼面の男の秘密はさておき、黒幕は、清河聶氏の祭刀堂の存在も知っていて、恐らく姑蘇藍氏とも近しい、しかも赤鋒尊とも縁がある人物。
兄上と藍湛の視線。
藍湛も魏嬰も、既にもうソコしかないと、「芝居の上手なお友達」は、全てに繋がる人物は一人しかいないと思っているのでしょうが、兄上は信じたくないのよね。
彼ではないと言います。
彼氏はずっと議論を積み重ねていたから、移動は不可能。伝送符の術も習得してはいないと。
いやいやいや、鬼面が当人じゃなくても、使える懐刀を持ってるってことでしょ。
誰かを遣わせば?と藍湛が言うけど、兄上は首を振ります。
この人の清廉さはさあ、裏表のある人物にとっては、赤子の手をひねるようなもんだろうなあ。
魏嬰も、分かっていても信じたくないだけだって言うんだけどねえ。
兄上は、世の中の人が誤解しても、自分が見てきたことを信じると言います。
このテーマは、人を変え、状況を変え、何度も出て来ますね。
藍湛が一度失敗し、時を経て、今度はまるごと魏嬰を信じようとしているみたいに。
宋嵐も、あの時どうして暁星塵を恨んでしまったのかと、後悔した。
盲目となった暁星塵は、薛洋の心の奥にあった傷付いた柔らかい心を信じてしまった。
見極めるポイントはどこなんだろうねえ、ホントに。
その時、客桟の中で少年達がモメている声がします。
薛洋の話をしていた時、思追が魏無羨と薛洋は同列に語れないと言ったところ、金凌(ジンリン)が癇癪を起したみたいよ。
詭道(きどう)を修める者、悪党にあらずとも、思追は言ったらしい。だって姑蘇藍氏も世間も、魏嬰の発明したグッズを未だ便利に使ってる。詭道を基にして作られたんだろうそれらの評価は低くない。
思追にしてみれば、公正な意見にすぎないんだけど、金凌ですからね、相手は。坊主憎けりゃ袈裟まで難いタイプの子供。
その騒ぎは外まで聞こえていて、気まずそうな魏嬰を見た藍湛が中に入って行きました。
魏嬰も後に続こうとした時、兄上が、魏ごんずと。
気付いていたのねえ。兄上の前では仮面してたけど。
固まった魏嬰に、兄上、気にするなって言葉を。うわあ、とことんいい人が出てるー。
魏嬰は、失礼したと言って仮面を外しました。兄上も、先ほど確信したんですって。
これだけの条件に合う人物は一人しかいないって話してた時だね。これほど事情に詳しいのは、その上藍湛がびたっとくっついて離れないのは、莫玄羽(モーシュエンユー)なんかじゃないよなーってコトね(^m^)
魏嬰は、では分かるはずと言いました。
莫家荘の刀霊は誰かが放ったもの、どうかよく考えて欲しい。
以前、刀霊を放ち、事実を明らかにしたい人と、それを隠したい人がいると、魏嬰と藍湛は気付いていたから、刀霊が覇下だったとしたら、それは大哥の死の真実を明らかにしたい人物だと、そこら辺にも見当はついてるってことかなあ。
兄上も辛い立場でしょうが。
悪人だって誰に対しても悪人なのではなく、そういうヤツにも、この人にだけは…という感情があるんだってことに、全ての人達に優しい兄上は気付いていない。
さて、いよいよ次回は金鱗台。
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