さて、3話から見始めでもいいくらいだ、いや5、6話までは様々疑問を飲み込んで見続けるべし、等々、先達のみなさまからの意見もあるこの作品。
ですが逆にこの構成こそが、全て見終わった後、もしくは途中のある時点で、最初の1、2話を見返したいという欲望がふつふつと湧き上がる作りなんですよね。それも狙いだったのかーと感じるはずです。あ、ハマる方の場合は。
私の場合、そういった事前情報をある程度仕入れていたことも随分と助けになりました。ということで、何か少しでもどなたかの助けになりますように。
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ざっくりと世界観
仙門世家がまとめている世界
仙門というのは、仙術を使う仙師達が修行している一門のことで、大小さまざまあります。仙門百家という言葉で表現されていました。百あるということではなく、いっぱいあるという意味だと思います。
世家とは血縁をベースとして構成されている一門をいい、地名+姓であらわされています。トップは「宗主」と呼ばれ、基本的には世襲制です。
修行により、金丹という霊力、仙力の源みたいなものが体内にでき、それを使って仙術を操ります。金丹を持つ仙師達は、持たない一般の人たちと比べて余り年を取りません。ドラマでは出てこなかったと思いますが、原作では金丹ができることを「結丹する」と書かれていました。修行をしても結丹するには個人差があったようです。
妖魔や傀儡という、まあ、分かりやすく言うと妖怪やリビングデッド、キョンシー的なものが出てくる世界で、それらを退治して回る夜狩という修行をしています。昼間にやっても夜狩です。
一般の人たちから依頼を受けて、妖魔退治をしたりもします。
五大世家
姑蘇藍氏、雲夢江氏、清河聶氏、妓山温氏、蘭陵金氏という5つの仙門世家が有名どころ。前半の二文字は本拠地の地名ですね。姑蘇にある藍家率いる世家、雲夢にある江家率いる世家。
それぞれイメージカラーがあって、お弟子さん達もそれに準じた色の服装なので分かり易いですよ。
過去編序盤は、力を持つ妓山温氏が傍若無人にふるまっています。
姑蘇藍氏
- イメージカラー
白(水色が差し色?) - 本拠地
姑蘇の雲深不知処 - 主な人物
藍啓仁(ランチーレン)、藍曦臣(ランシーチェン)、藍忘機(ラン ワンジー)
藍思追(ランスージュェイ)、藍景儀(ランジンイー)
雲夢江氏
- イメージカラー
紫(お弟子さん達はほぼ紺色) - 本拠地
雲夢の蓮花塢 - 主な人物
江楓眠(ジャンフォンミエン)、虞紫鳶(ユーズーユエン)
江澄(ジャンチョン)、江厭離(ジャンイエンリー)、魏無羨(ウェイウーシェン)
清河聶氏
- イメージカラー
灰色(深緑がかった色も入ってるような) - 本拠地
清河の不浄世 - 主な人物
聶明玦(ニエミンジュエ)、聶懐桑(ニエホワイサン)
岐山温氏
- イメージカラー
赤 - 本拠地
岐山の不夜天城 - 主な人物
温若寒(ウェンルオハン)、温旭(ウェンシュー)、温晁(ウェンチャオ)
王霊嬌(ワンリンジャオ)、温逐流(ウェンジューリウ)
温情(ウェンチン)、温寧(ウェンニン)
蘭陵金氏
- イメージカラー
金(黄色、クリーム色も) - 本拠地
蘭陵の金鱗台 - 主な人物
金光善(ジングアンシャン)、金子軒(ジンズーシュエン)、金子勲(ジンズーシュン)
金凌(ジンリン)、金光瑤(ジングアンヤオ)、綿綿(ミエンミエン)
全体的な流れ
1話~2話
現代編。
ですが、最初出てくるのは16年前の乱闘シーンで、まず主人公、死にます。
なんだか分からないけれども、不夜天城というちょっとオドロオドロシイ場所で、たくさんの人たちが魏無羨の作った「陰虎符」という法具を取り合い争っていています。その状況に様々絶望してしまった魏無羨は、崖から落ちていきます。
飛べるのに落ちる…実はこれも中国時代劇あるあるらしいですね、ふふ。
一体なんなんだ、どういうことだと思うこと間違いなしなのですが、ほう、そういうことが16年前にあったのだなと、そう思いつつ、さくっと先に進んでください。
で、次のシーンは16年後、
ある呪により、魏無羨本人も訳も分からないまま莫玄羽(モーシュアンユー)として生き返り、莫家のゴタゴタに巻き込まれながら(それも実は仕組まれていたことなんですが)、16年前にはいなかった現在の藍氏の子弟たちと知り合います。
ここで出会う藍氏の藍思追(ランスージュェイ)、藍景儀(ランジンイー)、2話から出てくる金氏の金凌(ジンリン)、その他小さな仙門の息子、欧陽子真(オウヤンズージェン)達はひっくるめて少年組と呼ばれていて、いろいろありつつも、結局結構面倒見のいい兄貴分、魏無羨を慕うことになる可愛い子たちです。若さゆえ、揺らぎも争いもしますが、凝り固まった大人たちとは違う感覚の柔らかさを持っています。私はかなり景儀くんがお気に入り。子真くんの出番ももっと増やして欲しかったな。
ちなみに、子真くんのパパ、欧陽宗主は姚(ヤオ)宗主とセットです。なんか中川家の弟さんが演じる話の通じないキャラに似てるんだよね、ヤオ宗主。
この日和見扇動コンビ、俗物の小物だけど世論を操るトリックスターみたいな形で、めちゃくちゃ引っ掻き回してくれますが、子真くん達少年組は比較的、親世代の認識に負けずに自分の見方と経験から正しい判断をするんですよね。まだ家の存続なんかを背負っていないから、仙門に対しての責任が余りないからってこともあるかもですけど。
もいっちょちなみに、この日和見コンビはいつも一見正道を行っているような言葉を発しますが、最初の不夜天城で欲にまみれ、我先にと剣を振るって陰虎符を取り合ってたの、私はちゃんと見てましたからねっ、忘れてませんからねっ。
さて、実写の場合、役者さんが同じなので、魏無羨と莫玄羽は見た目も一緒なのはなんで?という疑問も生じるかとは思いますが、ここも「そういうこと」と納得していきましょう。
ドラマ版の生還は、魂だけでなく体ごと魏無羨を生き返らせた形になるみたいです。
原作やアニメの「魔道祖師」は、見た目も莫玄羽で魂だけ魏無羨でした。体は16年前の魏無羨ではないんですね。なのであの仮面は、ドラマ版の陳情令だけのアイテムです。
ここまでは、これが後々どうにか繋がっていくのだなと、そう思っていて頂ければ。
なんなら忘れてしまっても大丈夫です。ここで何かを理解しようとすると本当に訳が分かりません。
でもきっと、また後からこの1話2話、見返したくなりますので。それでついつい、そのまま2回目3回目と…
3話~32話
16年前の過去編。
多分10代半ばから後半の若い仙師たちが、規律の厳しい姑蘇藍氏の座学に参加することになります。毎年恒例で各仙門から希望者を募り、みんなまとめて仙師としてのお行儀教育、みたいな感じで開催しているようです。
小さい頃に両親と死別し、両親の仕えていた江家に引き取られて、江家の姉弟、江厭離と江澄と一緒に育てられていた魏無羨も参加し、そこで藍家の次男、藍忘機含む他の登場人物達と知り合います。
ここは座学時代と呼ばれています。
字幕版を見ていると、ここでやたらと、ゴンズー、ゴンズーと聞こえてくるんですよ。
公子(ゴンズー)のようで、字幕は若君となってました。魏公子(ウェイゴンズー)魏の若君、藍二公子(ランアゴンズー)藍の二の若君、というふうに。女性は姑娘(クーニャン)、江姑娘(ジャンクーニャン)江のお嬢さん、って感じかな。
座学中はみんな白い藍氏の校服を着るので、基本黒の魏無羨が白を纏っているのは新鮮だし、そのヴィジュアルも若くて青い演技の相乗効果となってます。
というかね、明るくやんちゃで快活で、正義感が強く型にはまらず、純粋だけどちょいと恐れを知らないお子ちゃま魏無羨、ある種トラブルメーカーでもあるという設定をこれでもかと見せるためだと勿論分かっていても、そりゃ、あちこちぶつかっていろいろと問題も起きるだろうよと思ってしまったよね。伸び伸びしててかわいいんで、座学時代が好きな方は多いと思うんですけども。
江澄から、英雄のつもりかだったか、英雄になりたいのかだったか、そんな言葉があったと思うんですけど、ついつい黙っていられなくて口をはさんで恨みを買ったりするんですよね。で、本人は、何が悪いのさ、へへへ、してやったりだねみたいに、得意げになってるっていう。藍忘機から触っちゃダメって言われたものを、うん分かったって言いつつ、すぐ次の瞬間触ろうとして、藍忘機に弾かれるとかさ、本能に忠実といえば聞こえはいいけど、何、平気で嘘も付くよ、もーこの子は…っておばちゃん、ちらりと思っちゃった。割と真面目な江澄が尻ぬぐいをしたりして、ちょっと苦労人風。
でもま、だからこそ様々な経験を得て、精神的に成長した後のギャップも映えるってもんなんですけども。
ただ、キラリと光る才能があるのは確かなので、藍忘機のお兄ちゃん、藍曦臣には一目置かれてる感じです。お兄ちゃんは無口で感情の発露に乏しい藍忘機の翻訳機みたいな人なので、藍忘機が知らないうちに魏無羨に惹かれていることも(ブロマンスなんで、あくまで知己として)、お兄ちゃんにかかれば早いうちからあっさりと翻訳済。忘機にいいお友達ができてよかったなーとか思ってそうでね。
でも藍氏宗主の藍啓仁叔父さんからは、苦々しく思われています。
藍啓仁は魏無羨の亡くなったお母さん、蔵色散人と知り合いだったらしく、四角四面の藍啓仁は、魏無羨同様自由奔放だったらしい蔵色散人とは折り合いか悪かった模様。げ、息子までやっぱコレかよ…って絶対思ってたはず。今のうちにちょっと鼻っ柱を折っておこうとしたんだとは思うんですけど、大人げなく、やり込めようとしてましたからね、藍先生、ぷぷ。
過去編では、そんな「白い」魏無羨が「黒い」魏無羨になっていく、苦しく悲しい過程まで続いていきます。白い魏無羨時代は短く幸せな夢だったのかなって思うほどに。
そして1話の冒頭シーンへと繋がり、舞台は現在へ。
ちなみに、公式Twitterが自ら作ったハッシュタグ「#陳情令しんどい」
これが様々物語っています。
33話~50話
現代編。
いよいよ謎解きもろもろ解決に向かいます。
36話~39話まで「義城編」と呼ばれている、ただ切ないだけでなく、やるせないというか、ホントしんどいなあと思う、けれども大事なエピソードが入ってきます。
義城編に出てくる仙門に所属していない登場人物達、暁星塵(シャオシンチェン)、宋嵐(ソンラン)、薛洋(シュエヤン)、阿箐(アチン)は「義城組」って呼ばれてましたね。
先の男性3人は義城前にも何度か出てきていて、この義城編で彼らがどうなったかが分かるんですが、なんちゅーかねえ、織りなす糸が絡み合った救われない悲劇なんですよ。くくく。
義城編の最後のほうで、藍忘機が「幸いだった」と、ぼそっと呟くんです。
悲劇の結末を迎えてその真実を知って「幸いだった」という言葉は、ん?と思いつつも、そのまま流してしまえるくらい一瞬のことで、そこには劇中誰も言及しません。ですがこれ、藍忘機の心情的に、とてもとても大事な言葉なんですよねぇ。魏無羨復活後、遺憾なくスパダリっぷりを発揮している藍忘機の言葉、かなり沁みます。一歩間違えば、魏無羨も暁星塵に、自分も宋嵐になっていたかもしれないのですから。
その後、ハラハラしたりほっこりしたりしながら、一気にラストまで向かいますので、ここで挫折する人はいないだろうと思いますデスよ。
ぜひぜひ、じっくりとお楽しみください。
ここに、公式のYoutubeから、2人の歌うテーマ曲動画を載せていたのですが、権利問題がどうしたこうしたで動画は削除されてしまいました。公式なのに、使えなくなったのはなぜ?という疑問は沸きますが、大人の難しい問題は分かりませんね。
最後にもひとつTips
このドラマに限ったことではないとは思いますが、特にこのドラマ、カメラのピントが合っていない人の視線や表情に注意してみると、おや?この人ってば?という発見が散りばめられています。最初は私も余り気づきませんでしたので、2周目3周目からになるかもしれませんが、この作品の楽しみ方のヒトツではあると思います。
じっくり隅々まで画面を眺める余裕がある時に、ぜひお試し頂ければ♪
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