「永遠の冷妃～燕王を見守る王妃の愛～」ショートドラマなので、あちこち突っ込みつつも、ストレスなく楽しんでしまいました。

2024-12-20

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所感　ネタバレです

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タイトル通りなんですがね。
実は「花の告発～煙雨に仇討つ九義人」を見ていたんですけど、これが、まー重くてさー。見ていてどんどん苦しくなっちゃって。痛快復讐時代劇なんて書いてありましたが、どっこも痛快じゃない。ずっと苦しい。まだ途中だけど。
でも、こういう思いを経験した人達は、間違いなくいる訳で、それは多分まだ現代にも通じる。
そういう意味では、見ておいたほうが、考えさせられたほうが、いいってのは分かる。

とは言え、騙されてたとは言っても、藺如蘭は相手を好きだったのよ。ただの凌辱とは、ちょこっと違う気がするのよ。立場的に拒めなかったにせよ、その後も明らかに秋波を送ってたんだもん。
それが気付いてみれば、ただのサイコパスのクズ男だったから、世間知らずの無垢で正義感の強いお嬢さんが許せないと立ち上がって、悲劇へと進んでしまう。
逆らえない立場だったとしても、乙女心を踏みにじられたのだとしても。憧れの相手だった訳で、だからその行為に至る描写に、無理矢理感がイマイチ感じられない表現だったんだよなー。私は気持ち悪かったけど。
というところも、序盤どうにも拭い去れず、で、保留となっております。
彼女の親友を中心として、彼女に様々な感情を持つ８人が立ち上がって復讐する話なので、も少し見進めたら、その後の彼女に続くんだろうコレデモカ！に、また印象は変わるのかもしれませんが。

ということで、前置きが長くなりましたが、気分を変えてお気楽なドラマを探してまして。
んで、見つけたのがコレでした。
ショートドラマ、10話完結。１期２期合わせて36話を10話にまとめています。

心臓を取られて池に捨てられた阿棄と、同じ頃、うっかり池に落ちた冷離が水中で手を取り合ったら、心臓を取られたはずの阿棄の魂が、冷離の体に乗り移っちゃった。元々の冷離は、ここで溺れ死んでしまったんでしょうね。
その冷離は、延国の第五皇子、赫連軒との結婚を控えてたんだけど、この第五皇子がちょいと足りなくて、異母兄弟からいじめられてもやり返さないタイプのヘタレっ子で、でも実はそれは生き抜くための仮の姿っていう。まあ、この皇子の設定は、よくありそうなヤツ。

で、結婚してみたら、阿棄を騙して心臓を取ったのは、赫連軒をイジメてる腹違いの兄の第三皇子、赫連塵。心臓を患った自分の妻のために、健康な人の心臓が欲しかったらしい。阿棄はこの三皇子に惚れこんで、様々暗躍してたらしいのに。

なんだそれ、心臓移植したのか？そんな高度な医療が発達してる時代じゃないな、秘密の呪術か？でも刺し殺してそのまま池に投げ捨ててたけど、心臓無事なのか？いつ抉り取った？池の中で目を開けて、先に冷離の手を取ったのは殺された阿棄のほうだけど既に霊か？みたいなイロイロは、のっけから満載なんだけどもっ(笑)
他にも、皇子夫婦が宮中から自分の屋敷に帰るのに、毎度徒歩だとかさ。皇子の妃が護衛もつけずに、ひとりでほいほい外の森や林に出てっちゃうとかさ。２年失踪しても、大したお咎めもなく戻って来られるとかさ。皇帝のいる御書房、めっちゃ質素！(笑)とかさ。

まあまあ、ヨシとしよう。←　へらへら見ようと思ってたドラマだ。
と思ってたんですが、これが意外と面白かったんですよ。楽しめちゃった。比較対象があの重さだったからなのかな。
だってこれ、主役の２人の可愛らしさと、冷離無双を楽しむドラマですから。多分(^m^)

冷離は将軍の娘なんだけど、母親が妓女だったらしく、家でも兄姉、使用人からも虐げられてました。父親も、同じように冷たいのかと思ったら、周囲の冷離への態度に全く気付いてなかった様子。元々の冷離は、周囲の待遇にも、余り親身になってはくれなかった父親にも、何も言い返せなかったっぽい。
だからまあ、気付いてみれば冷離だった阿棄にとっても、こんな実家、とっとと出てったほうがマシねと思ったはず。

婚礼の晩、やって来た五皇子、赫連軒は、部屋に入ってきた途端、けつまずいてコケるという(笑)コメディお約束な感じだったんだけど、それをヴェールの下でふっと笑う冷離の表情も良かった。
この女優さん、よく、片側の口角だけを上げて、不敵に笑うんだけど、なんちゅーかそれが、いーい塩梅なんですよ。

冷離役の温茉言(ウェンモーイェン)は、一見して凄く目を惹くって感じではないんだけど、嫌味がなく好感の持てる女優さんだなと思います。話し方も声も落ち着いてるんだよね。役柄だけのことじゃないんじゃないかな、きっと上手いんじゃないかな。

使用人が、夫婦になったら口づけするものだと言ってた、なんていきなりキスして、突き飛ばされてまた転んだりするものの、赫連軒は、私に嫁ぐのは不本意だよね、父上に寵愛もされていないし、見た目も平凡で弱虫だ、無理しなくていい、なんて言うんですよ。
中身阿棄は、冷離も自分と同じように悲惨な環境にいたと分かっていたので、私は望んで嫁いだのよと言ってあげます。

その言葉が思いの外、嬉しかったらしく、将軍の娘ってことで、最初は、どこぞの勢力から送られた間者かもと警戒してお菓子に睡眠薬を仕込んだ赫連軒も、自分の配下が冷離を襲おうとするのを止め、少し様子をみようと思い直した模様。
で、気付けば、周囲に食って掛かってまでも、自分を助けてくれる冷離に心を開いていきます。

赫連軒役の王祖一(ワンズーイー)はお初でした。そもそものお顔は、情けないお人好しが似合うタイプではないと思うんだけど、むしろだからこそなのかな、しゅんっとしたり、一転、嬉しそうに尻尾振ったりする感じが、あっという間に可愛く見えてきます(^m^)

そういえば延国の皇帝は「陳情令」の姚宗主、柳貴妃は虞紫鳶(ユーズーユエン)でしたよ。
混ぜたらあかん夫婦(大笑)

柳貴妃は五皇子にとっては育ての母、義母。柳貴妃の本当の息子は三皇子、赫連塵。
柳貴妃のところに結婚の挨拶に行った２人は、そこで赫連塵と妻である宰相の娘、雲璇に出会ってしまい、阿棄はこの雲璇の病気のために殺されたのだと理解する冷離の中の人。

更に柳貴妃は、自分の息子を皇位につけたい余りに、いろいろとやらかしてる。
それでも五皇子を育て、この子はダメダメだから警戒する必要もないと踏んでいる。
ただ三は、思いの外切れ者だった五の妻冷離の父の将軍が、五皇子支持に回ったのではと疑心暗鬼になり始め、毒の扱いに長けた冷離に、自分が駒として使っていた阿棄の面影を感じていたりする。

最初の三皇子、六皇子達のイジワル洗礼を切り抜けた後、２人になった時に、この人、ばかの上に意気地なしだわって、冷離の内心の声が可笑しかった。
だけどそれが、本当は純粋で心優しいだけなんだと思うようになるのよね。とはいえ、軒くんのボンクラは、自分は脅威ではないと周囲に示すため、保身のために装っていたもの。

だから、冷離が雲璇の誕生祝いに、亀の心臓入りスープを渡し、心臓入りと聞いて気色ばむ三皇子とモメそうになった時、咄嗟に腹痛のふりをして、その場を逃れたりします。
帰り道、一緒に食事していた店に、冷離をいじめていた兄姉が来てしまい、冷離に挨拶を促して、自分は二階から様子を窺っていたりもする。それで冷離も自分同様、家では虐げられていたことを知ります。
冷離は兄ちゃんに目つぶしの粉かけて撃退するんだけど、後で軒くん、モメたから、将軍にプレゼント持ってったら心証がよくなるかな、なんて贈り物を見繕ってくれてたりする。
お互い、ちょいちょい相手の思いやりを感じて、こっそり嬉しそうになってる(^m^)

三と六の企みは続くんだけど、都度、冷離が察して撃退してくれます。ちょっと残念な弟を、全力で守るお姉ちゃん風味。
中身阿棄の冷離は小気味のいい、きりりとしたやり手の奥さんだし、軒くんは裏の顔があるとはいえ、とっても優しい子。お互い隠し事はあるものの、心が繋がってくのに時間はかかりませんでした。
軒くんは、冷離が異様に三皇子を敵視するのを気にはしてるけど。

皇帝暗殺未遂事件が起き、皇帝を庇って刺客の暗器をその身に受けた軒くんと、暗器に塗ってあった毒を吸い出して一緒に倒れた冷離。
毒について調べに外に出た冷離は、黒装束に襲われ、それを助けに来たのが白い髪の軒くんでした。視聴者は一発で、あらま、軒くん、それが本当の力量ねと分かるんだけどさ。

おい、コレだぞ？妻が気付かない訳あるかあっ！(大笑)
肩に傷がありそう、薬の匂いがするとなんとなく疑うものの、急いで帰ったら、家に夫は寝てた、それだけで納得しちゃってるわ。顔よ、顔、おんなじだったじゃないのっ！

皇帝暗殺を阻止したことで、皇帝にも覚えがめでたくなった軒くん。
面白くない三と柳貴妃の企みで、冷将軍と共に戦場に送られても、こっそりついてった冷離と一緒に大活躍しちゃう。
将軍は娘と婿を認め、皇帝も、将軍の報告で軒くんを認め、宣威将軍に封じ、四品にしてくれました。
唖然とする三と六ですよ(笑)

更に、三の失態で、蔓延してしまった疫病を、軒くんと冷離が鎮めに向かい、なんとか成功を収めて、更に帰り道、卿儒と名乗る白髪の軒くんと共に、キョンシー事件も解決。
都に帰ると、軒くんは燕王に封じられます。冷離との結婚が良かったねと皇帝にも認められて。
策を講じようとすればするほど、逆に差がついてってしまう三は慌てるよね。
そしてどうやら、三より黒い兄、二皇子ってのもいたのよね。
でもその流れで、六も皇帝暗殺未遂の罪を問われ、投獄。

こんな姿もご愛敬な軒くん(笑)
全てとんとん拍子と思いきや、卿儒であったことが冷離にバレてしまいます。冷離は、騙していたのねと、アンタも他の男と同じかと、軒くんの元を去ってしまう。
ぼんやりだけど心優しい純粋な人だと信じていたのに。だからこそ、この人はあの三とは違う、命をかけても助け合って、一緒に生きて行こうと心から思える人だと思っていたのに、って訳ね。

軒くんのほうも、冷離に不審な点は残っているものの、それでも今までの様々を思い出し、手放してはいけない人だった、ちゃんともっと早く告白しておくべきだった、護るつもりでいても騙してはいけなかったと後悔するんだけど、後の祭り。
軒くんの回想で、２人の今までのやり取りがフラッシュバックするんですが、ここで改めて見ても、カワイイ２人だよなと思う。
ここまでが５話。ここまでが１期ってことですね。

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でも冷離、実は変装してこっそりずっと近くで見てるんだけどね。
ただ、その間、２年ですってよ、奥さん、長過ぎやしない？

冷離が消えてからの軒くんは、すっかり無気力になってました。
不精髭のまま酒飲んで、道端で寝てるとか。おい、腐っても燕王だろうっ！(笑)

そんな軒くんのところに、三が来て、敵国との密通の疑いがあると家探し。そんなっ！て言ってる、最初からヤな感じだった使用人が間者よ。

燕王斬首の噂を街で聞いた冷離は、雲璇の寝室に侵入。脅して冤罪を証言させます。
軒くんは釈放となり、なんとか誤解を解いて仲直り。
こんな環境にいて、自分を偽ってボンクラ皇子を装ってたことなんか、冷離にも気付くでしょうに。

謀略が失敗した三は、自分の有能な駒を殺してまで守った雲璇を邪険に。
雲璇よ、これが三の本性だぞ？アンタそのうち、裏切られるぞ？
更に柳貴妃は雲宰相のもうひとりの娘、雲璣を燕王に嫁がせ、密偵にするつもり。
雲璇と雲璣は同じ人の２役ですね。

すっかり「素」を分かり合った２人が一緒に街を歩く姿は、以前とは軒くんの雰囲気が違います。ほんの少しの差なのに、全然違う。だけど、それでもちょいちょい冷離のご機嫌を窺ってるのはカワイイ。

北漠国のバカ皇子(こちらは本物のバカ)の、嫁探し騒ぎだとか、皇帝暗殺を企ててたのは何組もいたとか、軒くんの母、茹妃の死は、やっぱり柳貴妃が犯人だったとか、薬草探しに行ったら阿棄の母親に出会ってしまい、冷離も自分の秘密を軒くんに打ち明けるけど、あっさり受け入れて貰えて、２人してますます三をなんとかせねば(にぎりこぶしっ)になるとか。

そんな中で、気付けばパパだけでなく、冷離を虐げてきた兄や姉とも、すっかり仲良しに。
でもその頃、雲璣も柳貴妃も排除され、追い詰められた三は、北漠国のバカ皇子に雲璇を差し出してました。
苦渋の決断みたいな顔してたけどさ、単に自分の野心のためじゃんか。まったく、どこまでとんでもない男なんだか。

北漠国のバカ皇子が雲璇を娶った上、戦をしかけてきているとの知らせが入り、急いで出立する軒くんと、またついていく冷離。
その間に、三は薬草の件で皇帝側近の国師を疑い、背後に二皇子がいることに気付き、二皇子を殺してしまう。あら、黒い兄さん、意外とあっさりお亡くなりに。
軒くんと冷離が策を講じて、雲璇を助けつつ、バカ皇子を止めている間に、二皇子と国師に盛られていた毒のせいで病床についていた皇帝は、三の野望を知り、憤死。

軒くんがいない間に、偽の宣旨を作って皇帝になろうとした三は、本物の宣旨を持って抗議しに来た冷将軍を殺してしまうんだけど、そこに軒くんと冷離が帰還。
逃げ出した三は、全てを知って帰ってきた雲璇に、心臓を返すわと、目の前で自害されます。
投獄された三に会いに行った冷離は、阿棄を匂わせつつ、簡単に殺さないわよ、生きて苦しめ！の選択ですね。うん、それがいい。

不思議だったのは、立て続けに目まぐるしく事件が起きてバタバタしてるのに、皇帝からたくさんの金品を貰って、大喜びする夫婦のシーンは異様に冗長だったりして(笑)ここでそんな尺取って、よく10話の中に全部まとめたね、感。
たった10話と思うけど、考えたらこれ、日本のドラマのワンクールだよね。そっか、短くても20数話の中国ドラマに慣れ過ぎたか(笑)

軒くんは皇帝になったけど、冷離は山林で暮らしたい夢を叶えると出て行っちゃうっての、必要だったかね？２人でそうやってのんびり暮らしたいねってのは、何度も出てきてはいたけど。
立場のある軒くんは、どう頑張っても国を捨てることはできない。だからすぐに察して、離れていても心は繋がってるよと言ってあげちゃう。
冷離は何の後悔もなさそうに普通に暮らしてるから、どうすんの、これと思ったわよ(笑)
でも立派に皇帝を務めながらも軒くん、苦悩していて、冷離の兄姉に頼んで病気を装ってみました。冷離、飛んできました(^m^)
ま、一回やってみて、納得して戻らなくちゃいけなかった訳か。
結果、冷離は皇后となり、兄ちゃんはパパの後を継いで将軍になってて、冷家独り勝ち。

最後の最後に、振り向いた皇帝夫妻の視線が下のほうに向いていたのは、きっと、お世継ぎが生まれていたんじゃなかろうか。子供を見るようない～い目線だったものね。
メデタシメデタシ。