あらすじ
虞世清配下の興夏銀行を接収すべく、魏若来は苦戦していたが、沈図南が“切り札”を投じて興夏を倒す。この“切り札”は、兄から得た情報を許諾に逐一報告していた沈近真が匿名で郵送したものだった。沈図南はその後、魏若来を昇給させて服を新調させるが、魏若来は仕立屋の許諾が、背後から黄金奪還の協力を強要した人物だと勘づく。
みるアジア
ネタバレ感想
康少捷(カンシャオジエ)が、虞世清(ユーシーチン)や張鳴泉(ジャンミンチュエン)と繋がってしまったことに気付いて驚愕する林樵松(リンチャオソン)。
お考えは分かりました、チャンスをくださいと言います。
私は手を引きます、私はただ捜査隊で働きたい。
これはー。沈図南に頼んだ話は諦めちゃったんでしょうか。
この件から手を引いたら、沈図南はきっと推薦してくれないよね。
そしてここでもまた林樵松は、私は職位は低いが南京に昔の仲間がいると言ってました。これだけ世間が注目している事件で、私のあがきを見たくはないでしょう?と。
今回見逃してくれなければ、南京に連絡して騒ぎにするぞってことだったんでしょう。康少捷もそれを了承したようですわ。
康少捷は証人だけでなく、供述資料も全て闇に葬っていました。
張鳴泉に煽てられ、ご機嫌で虞世清と酒盛りだわよ。
虞世清はアヘンが上海に届いた、康処長がついていれば、この商売も鬼に金棒、だってさ。
証人が死に、供述も有耶無耶になった話は、黄秘書から沈図南に報告されていました。
虞世清の仕業なのは分かるから、沈図南も怒りまくり。対応策も考えてあるんだそう。
沈図南は、無理矢理退院することに。
林樵松は文彪(ウェンビャオ)とやけ酒中。
康少捷はいくら貰ったと思う?なんて言う林樵松に、文彪は忘れましょう、居候は大人しくしてないと、生活のためですよって返しています。
微妙な立場ではあるんだねえ。この人達はあくまでも自分達は南京がベースだと思ってるんだろうな。あのドジョウは、そういうところも面白くなさそう。ドジョウなんてカワイイもんじゃないけどねえ(笑)
林樵松は、南京にいた頃は、中山服(中国の人民服ね)を着ている連中が嫌いだったと言います。
君子面ですましていて、綺麗ごとを語るが実際は私腹を肥やすことばかり。
沈図南は、理屈っぽく傲慢だが、命も惜しまず国のために働いている。康少捷など虫けらだ。
文彪が慌てて、そんな話は危ないって止めてるけど。
まあ、分かってはいる訳だよね、この人達も。どちらが本当に国のために動いているのかってのは。林樵松はバカじゃないし。きっと本当なら、自分だってそうしたいんじゃないのかな。黄埔に入る時は、そんな希望を胸に抱いてたんじゃないのかな。
林樵松は、黄埔を卒業した日、教官に撃たれかけたんだそう。
どういう理由かは分からないけど、いるよね。別に相手をバカにしてる訳でも侮ってる訳でもないのに、なぜか上の立場の人間の癇に障っちゃう人。だいたいが優秀だから、出る杭になっちゃってる場合が多いんだろうけど。
あの日から、命も出世も眼中にないという林樵松は、涙を流しながら、気にくわないだろ?かかってこいよ、誰が先に倒れるかって、酔っぱらってます。文彪が痛ましそうな顔だ。
ただ、この人には加虐性があるんだよねえ。人間はどんなに普通の人でも、極限状態では人に危害を加えることに麻痺していってしまうらしいし、分かり易いのが戦場だったりする訳だけど。普通の近所のおっちゃんが、戦場では極端な加虐性を見せる話とか、いろいろ転がってますよね。
とはいえ、それでも元々の質の問題ってのも、きっとあると思うんだよなー。
自宅で辞書(ツーシュー)にワンタン食べさせて貰ってる沈図南のところに、沈近真が入ってきます。
治ってないのになぜ退院したのと言われて、仕事があると。妹は、兄が虞世清と戦うつもりで退院してきたことに気付きます。
暗殺者が口封じに殺され、次は金融市場で央銀に嫌がらせをしてくるはず。
近真はジタバタさせずに買収しちゃえばと簡単に言うけど、虞世清は上海に長く根を下ろしていて後ろ盾もあるから、弱みを見つけないと元も子もなくなるらしいよ。
近真は、興夏(シンシア)銀行は国際貿易に強く、武器商人との取り引きがあるという徐諾(シューヌオ)の言葉を思い出します。共産党のタングステンが売れないのも、興夏が邪魔するから。
今回の沈図南の戦いは、共産党にも利がある訳だ。
夜。近真はどこかに忍び込んでますね。金庫を開けて、何か書類の写真を撮っている。
その頃、若来もまた、家で興夏について調べていました。
近真は、その足で重大情報があると、徐諾の元へ。
翌日かな。黄従匀(ホアンツォンユン)が街を走っていた時、通行人にぶつかり、カバンを落としてしまいます。ぶつかった通行人がカバンを拾ってくれたんだけど、何か入れたね。そしてそれは徐諾だったね(^m^)近真が撮って来た、帳簿か何かのフィルムを入れたんでしょう。
黄秘書からはすぐに、自宅の沈図南に報告書が上がります。
虞世清の罪証となるフィルムがカバンに入っていた、と。
みんなに拍手で迎えられて、央銀に戻った沈図南。
英雄の帰還を華やかに盛り上げろって、宋先生の意向なんですって。
更に蒋介石は、沈図南を央銀の理事に指名したらしい。多分これ、黄秘書があの時、南京の新聞社に情報入れたからだよね。関税保管権奪還の命を受けて動いた人物を、暗殺までしようとする勢力があると、蒋介石も認識したってことで、そこは成功ですな。
沈図南のところに、若来が、興夏に一撃を食らわし、虞に警告しましょうと言ってきます。
沈図南は、今はこちらが波に乗っているけど、あちらも警戒を強めているから、慌て過ぎだと言うんだけどね。時期を逃してはいけないと急いで退院はしたものの、そこら辺は慎重。
だけど若来は、興夏のことも調べたし、戦場も金融戦争も勢いが大事だと退きません、顧問の敵を討とうとも思っているし、自分の才にもそこそこ自信を持っているしね。側で黄秘書が何か言いたそうにしてるな(笑)
沈図南に、株式市場は君が思うより恐ろしいと忠告されても、若来は2週間で落とせなかったら、首を差し出すと言っちゃいました。
黄秘書がすかさず、図に乗るなと言うんだけど、沈図南は黄秘書を外に出します。黄秘書、扉にへばりついて聞き耳立ててるけど(笑)
冷静になれ、私怨は不要、時期を見極めろ、そう言っても若来は聞かないのよ。
君の生首などいらないが、その頭は最も価値がある、もし負けたら私が許すまで無休で働けと言って、沈図南は了承しました。
でもこれ、若来に経験を積ませるつもりかも。成功体験だけでなく、失敗体験も糧になるし。
若来が失敗したとしても、あのフィルム証拠の調査も進んでいるだろうし、対応策も考えてあるって言って退院した訳だから、最終的にひっくり返せるネタも掴んでいるのでは?
勢い込んで、若来は早速証券取引所へ。
沈図南は、陳(チェン)秘書って人に電話をして、力を借りたいって伝えています。
誰の秘書かな。今までも出て来たっけ?きっちり人民服着てるから、南京の人?
証券取引所の前で、虞世清と張鳴泉にばったり会ってしまった若来だけど、適当にいなして急いで中へ。
大人しいと思ったのにからかわれたって張鳴泉に、虞世清は笑って、大人しい青年を沈図南が育てると思うか?類は友を呼ぶだと言うんだわ。
ま、そだよねえ。だからキミ達はつるんでいる。
個室のテラスから下を見下ろす若来に、劉(リウ)主任は沈顧問から何も聞いていないと少々不安そうだけど、そこに黄秘書が。顧問も一旦許可したものは変更しないから、協力しに来たんですって。
協力という名の観察役ね(^m^)
若来はまず5000株の売りを指示します。
その頃、沈図南は央銀で往診を受けてました。多少痛みは残っているものの、ほぼ完治ですと。良かった良かった。
傍らに座っていた鄧澤(ダンズー)処長は、若来はまだ子供なのに、よく任せたなと言います。沈図南は、若来の年齢くらいの時、ロンドン証券取引所の仲買人だったんですって。鄧処長は、君は彼とは違うって言うんだけどさ。鄧処長も若来の賢さは認めてはいるんだけどさ。
まあ、やっぱり沈図南は、若来に経験を積ませたかったみたいだよ。何か奥の手がありそう。
証券取引所では、興夏銀行の株価が急落していきます。
若来ってば、虞世清もこの程度か、なんて言うんだよね。
この台詞を聞いたら、あ、これは失敗するなと分かっちゃうよねえ。
普段余りこういうことは言わない人なのに、これは相当侮ってるし驕ってる証拠。
黄秘書にも、敵を侮るな、打つ手がなくて反撃しないとでも思ってるのか?って言われてる。
でも若来は、関税保管権の回復が買弁(外国と中国との取り引きの仲介組織)の資本に打撃を与えて、興夏に信用リスクが生じ、虞世清は反撃したくても出来ないと読んでるみたいなんだけど。
そんなに簡単じゃないと言う黄秘書にも、ヤツらにいかに興夏を失うか見届けさせる、なーんて強気の台詞を吐いちゃって、んもー、分かり易く自信過剰。こりゃ危険だ。
若来は劉主任に、10元を切ったら吸い上げをと指示。
黄秘書は、当初の計画では1週間をかけて敵の手札が尽きるのを待つ予定だった、早過ぎる、危険だと言うんだけど、沈顧問は僕に全権を託した、信じてくださいって若来。
だけど、興夏の株が上がり始めた時、それまで静観していた虞世清が、若来よりも早く買い進める手に出ました。若来は売りで資金を使ってしまったために、それまで眺めていた虞世清の勢いには勝てません。
逆に、彼らのために株価を下げて、儲けさせてしまったようなものになっちゃいました。
若来は急いで全て売り、株価が下がったところで買い戻そうとしますが、虞世清は若来が売った分もすかさず買っていくので、株価は下がりません。
慌てた若来が劉主任と言い合っているところに、沈図南登場。
私が引き継ぐと言われ、若来はもう少しなんですと粘ろうとするものの、既にかなりの損失を出している模様。沈図南に、闘争心に囚われるな、執着はタブーと言われてしまいました。
あちらのテラスでは、余裕でヘラヘラ笑ってる2人。
沈図南は、虞世清に会うと出ていきます。
部下の躾がなってない、助手も秘書も口の利き方を知らない、君が恥をかくぞとか、嫌味ばかり言う虞世清に、沈図南は、私への不当な扱いに憤っているだけ、お許しをと余裕です。
君自身はどう思ってるんだと聞かれて、くだらぬ話は嫌いだ、舌戦より平手打ちのほうが痛快ですと返しました。張鳴泉が探るような顔になってる。
沈図南が、電話はまだ?と言った時、虞世清の元に電話がかかって来ました。
興夏銀行に強制捜査が入り、公印も金庫も書類も押収されたらしい。
黄秘書の表情。こりゃ、この人も知ってたか。
嫌がらせかと言う虞世清に、自分が何をしたかお忘れですかと沈図南。
金融詐欺に脱税、密輸、西側諸国のスパイ活動への資金援助。
あなたに言えることはひとつだけ。恐れ入った。
数日後、央銀から人を派遣し、興夏を接収する。その際はどうかご協力をと沈図南。
図に乗るなと叫ぶ張鳴泉に、仕方がない、央銀は基盤が弱い、みなさんの助けが必要だ、だって。
完敗だと察した虞世清は、今回は君の勝ちだ、このツケはいずれ払わせると捨て台詞を吐いて出て行きます。
そんな奥の手があったとはと、びっくりしちゃってる若来だけど、奥の手があるのと君の失敗は別の話だと言われてしまう。
後ろにいる黄秘書が、結構生温く見守る感じになってる(笑)珍しいね。ま、この人も嫉妬深いのと偉ぶるのがメンドクサイだけで、とことんヤな人ではないんだよなー。若来の失敗をほくそ笑んで見てるってほど、嫌味な感じには見えなかった。
感想を述べてみろと言われた若来は、すみません、敵を侮っていましたと言うんだけど、沈図南に、そうじゃない、自分を過大評価してたんだと言われてしまいます。
罠に気付いても、負けん気で深みに嵌った。君は賢いし反応も早い。だが凡人に過ぎない。全能の神ではない。古来能ある鷹は自分の傲慢さで敗れる。勝つには負けを学べ。
何事も薄氷を踏むが如しと肝に命じろと言われて、素直に返事する若来。
いやあ、ホント、いい教訓、いい経験になったことでしょう。この奥の手があったから、沈図南は任せてくれたんでしょうが。賢いからこそ、陥りやすい魔を見せてくれたってことだもんね。
途中までの若来の態度や言葉は、え、これが若来?だったもんな。革のソファに悠々と座ってさ。
証券取引所を出る沈図南を追って若来は、いつ調査したのか、あんなにたくさんの調査資料をと聞きます。沈図南は、従匀に感謝だと言いました。
あの、近真の撮って来た写真が、動かぬ証拠となった訳だ。
従匀のカバンの中にフィルムが入っていて、虞世清の罪証となる帳簿の写真だったけど、罠かもと思い、時間をかけて調査し、事実を確認し、行動に出たんだそう。
沈図南は、誰がフィルムを入れたかは分からないけど、誰でもいい、虞世清の敵は私だけではないはず、と。
その頃、近真は暮れのご挨拶を持って、徐諾のところへ。
ご機嫌で、興夏が接収されたことを告げます。徐諾も喝采で、興夏の顧客名簿を入手して、タングステンを売るぞと。顧客名簿を入手するのも、近真のお仕事かしらね。
徐諾の機嫌が良かったのはそれだけでなく、江西の反包囲討伐で共産党が大勝利を挙げたらしい。近真の掴んだ央銀の予算情報で資金の流れを読み、敵の兵力と装備を把握したことで態勢を整えられたことが大きかったらしいよ。敵の総司令以下9000人以上を捕え、武器も銃弾も大量に手に入ったんですと。
最近の造兵廠の情報はと聞く徐諾に、近真はご挨拶の包みを手にして笑いました。ご挨拶の包みが情報だったのか(笑)
央銀でも、行員たちはみんな嬉しそうね。
銀行の前に椅子を出して、今年の新人たちの記念撮影をするみたいです。
いい写真だわ。
終わった後、沈図南は若来だけを連れて、車で鴻芳(ホンファン)服飾店へ。
近真は、二階で徐諾の茹でたトウモロコシの匂いを嗅いでたんだけど、兄が来た?ナニゴト?とちょっと不安そう。
でもだいじょぶ。違うんだよ。
沈図南はきょとんとする若来を呼び、彼にきちんとした服をと徐諾に依頼してました。
オーダーメイドの手縫いだからと、若来の背後に立って採寸する徐諾の声を聞き、若来は、前に会いました?と聞きます。
声を覚えてたんだね。8話の時の。
李晟達が部屋にいて、若来から金塊のある金庫の鍵を受け取ろうとしていた直前の。
徐諾は誤魔化しますが、更に声を聞いて、若来は明確に思い出してしまいました。
若来の鋭い表情に、沈図南も徐諾も、ちょっと不穏な感じになったところで、若来が、あー、あなたも沈家のパーティに?ワインを断り、梅ジュースを頼みました?と。
徐諾は笑って、記憶力がいいと言います。
沈図南も、だから助手にしたと笑います。
うーん、これは適当に言ったんでしょうね。若来の咄嗟の機転。もしあれが徐諾だったら、徐諾は共産党の地下構成員だから。そしてこの嘘に乗ってくれば、確実にそうだってことになる。
だって若来の表情が微妙だものなー。
だとしても、徐諾は兄の仲間で、強要だけど、兄の敵を取ろうと画策してくれた訳で。若来にとっては共産党の人物だったとしても、敵対する相手ではない。でも、ま、複雑なんでしょうな。
沈図南に呼ばれて、布地を選ぶ段になって、若来はその価格に怯みます。
若来を姿見の前に立たせた沈図南は、何が見える?と。鏡ですと若来(笑)
違う、輝きを秘めた金融界の星だ。今は少し未熟に見えるが、すぐ上海銀行界で輝く存在になる。信じるか?
いやもう、嬉しいね。大失敗の後にこういうことを言ってくれる上司。めっちゃカッコイイ。
若来は、顧問が仰るならと答えます。
沈図南は、身なりは重要だ、内も外も自信を持つんだと。
彼はただのテイラーじゃない、芸術家だ、彼の服を着られて幸運だぞと。
嬉しそうに笑う徐諾。
徐さんの服は、近真でも淑女に見せる、だそうな(笑)
扉を開けて二階で聞いてた近真は、心配はいらないとホッとしつつ、更に続く兄の自分への軽口にムッとしつつ、扉を閉めました。
沈図南は若来が文字を書く時に、人より力を入れることにも気付いていて、右肘の裏地を厚くして、なんてことも依頼してました。すごいな、この上司。
更に靴も選べと言います。安い靴を選ぶ若来に笑って、とてもいい靴を3足、トップレザーでとオーダー。お金のない若来は内心ドギマギしてるんでしょうね。トータル60元だそうで。
機嫌のいい沈図南は、若来を自分の隣に乗せました。
隣に乗れと言われて、あ?とか言っちゃう若来に、あ?じゃない、乗れって、可笑しかった(^m^)
徐諾は、若来は侮れないと感じたでしょうね。きっとバレたなと。
2人が帰ってすぐ二階に上がると、とうもろこしも食べずに近真はいなくなっていました。
包みの中には造兵廠の情報。軍事費増加と注文倍増で、次の包囲討伐もそう遠くはないと。
車の中の若来は、ちょいと考え込んでます。
お金が足りないことも、徐諾のこともだね。
沈図南に明日は給料日だと言われても、自分の月給は15元だからと答えると、だから昇給させた、50元だと言われて、たまげる(笑)
一気に3倍以上って。すごいな。それだけ見込んで貰ってるんだねえ。
だけどこの日作った新しいスーツは、すぐに悲しいことになっちゃうんだよ(涙)
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