あらすじ
沈図南は沈近真と魏若来の輸血で一命をとりとめるが、林樵松は沈図南の“苦肉の策”を見抜く。虞世清は康少捷に“お姉様”を紹介し、アヘンの商売を斡旋する。康少捷はそのお礼に、虞世清と張鳴泉の暗殺関与が露呈しないよう口封じをし、責任を林樵松になすりつける。こうした中、林樵松は意識不明の状態で生存していた李晟達と再会する。
みるアジア
ネタバレ感想
沈図南(シェントゥーナン)の手術中。
央銀のみんなが集まってる中、沈近真(シェンジンジェン)と辞書(ツーシュー)も駆けつけます。
思いの外、出血が多かったらしく、O型の沈近真と、自分の血液型は知らなかったけど、調べたらO型だった若来(ルオライ)の協力で、沈図南は助かりました。
みんながわらわらといる手術室の外で、意味ありそうに黄従匀(ホアンツォンユン)が映るんだよね。誰よりも先頭で心配しそうな人なのに、隅っこに立って、どこが気まずそうな目をしている。
目覚めた沈図南に辞書は、医者があと30分遅かったら死んでたと言ってたって言うんだけど、そこまでだったですか。怪我した後、しばらく動き回ってたから出血多量ってことかな。
妻は半年は治療に専念してって言ってるけど、この人が半年もじっとしてる訳はないよ。
翌日かな。病院の中庭で投票結果の新聞記事を見ていた若来のところに、見舞いに来た沈近真が。
若来にも、滋養をつけるようにと、辞書から食べ物を預かって来たみたいです。
元々貧血気味の近真と交代した若来も、だいぶ抜かれてたみたいだしね。若来の生活状況では、栄養状態だって決して良くはなかったでしょうが、貧血もないんですってよ。
助かったわという近真に、この国には顧問が必要だと若来。
あなたには?と聞かれて、もっと必要だって。まー、カワイイ弟子よ。
顧問がいれば、中国は希望を保てると若来は言うんだけど、本当に兄の働きで中国は救えると思う?と聞く妹。その裏にある思いには気付かず、若来は、必ずと答えます。
向こう見ずだという声も多いけど、国力が弱り続けている今…とまで言いかけると、近真に冗談で止められちゃった(笑)
沈図南の病室には黄従匀がいて、私と君の秘密だ、誰にも言うな、若来にも、と口止めされてる。
これな。手術室前の黄秘書の微妙な表情の元。
黄秘書は、重責を担う身で、命を張らないでくださいと言ってます。
で、車が行き止まりで追い詰められたあの時の回想シーン。
沈図南は自分の銃で自分の腕を撃ってました。
びっくりする黄秘書に、降りろと言って近くの扉を開けて走り込んだそこにいたのは、林樵松(リンチャオソン)達、捜査隊のみなさん。
央銀の沈図南だ、追われている、そう言って保護を求めた訳ね。
追ってきた刺客達は、扉を開けた途端、待ち構えていた捜査隊に撃たれて全滅。
1人だけ、殺されずに連行されましたよ。
撃つなら自分を撃ってくれと言った黄秘書に、君が撃たれて誰が気にかけると沈図南。
政府要人だから、世論が高まり上層部も重視する。私が撃たれてこそ、虞世清(ユーシーチン)は頭を下げる。
ただ、林樵松は気が付いていたようです。
すごい偶然ですねと、なぜここに入れば助かると思ったのですか?と聞いてきました。
沈図南は、黒幕の捜査が先だろうと誤魔化して、用事があると出て行きましたが、でも林樵松はこういう違和感には敏感だぞー。
どうやらあそこは、正式な貸主もいない場所で、沈図南が一時的に借りておいたところらしい。更に、康(カン)処長が長期で借りてるリチャーズホテルに匿名で、あの部屋に共産党がいると通報をしておいたらしい。
だから彼らはあそこに集っていた。沈図南は、ハナからあの行き止まりに黄秘書を誘導した。
沈図南は、でもまだ足りないと言います。これが蒋介石の耳に入り、蒋首席が支持を表明してこそ、関税保管権の回復が揺るぎないものとなると。
黄秘書は、南京の中央日報に連絡して議案を報道させますと言って出て行きました。
そこに、若来と沈近真。
黄秘書ってば、わざわざ若来に、顔色は悪くないな、仕事は忘れ、ゆっくり休めと声をかけてくれてるよ。あら、少しは仲間として認めてくれたのかしらん。
兄妹で和やかに話してるところに、遅れて若来が、具合はどうですと声をかけると、真顔で、よくないと言われ、若来の顔が曇る。近真に小声で冗談よと言われても、反応に困ってるよ(笑)
沈図南は輸血のお礼と、会場での演説を褒めてくれました。私の期待通りだと。
若来の演説は、本人の書いた報告書に沈図南がつけた評注で、訴求点を明確にして貰って出来たものらしい。
沈図南は、あの状況に現場は混乱し、江さんですら途方に暮れた中、若来が壇上に上がって演説したことで、張鳴泉(ジャンミンチュエン)や虞世清(ユーシーチン)は批判され、うなだれたのだと、近真に説明しました。沈図南も後でそれを聞いて、胸が熱くなった、と。
魏若来、よくやった。
いやあ、嬉しいね、よかったね、若来。
近真にも、大手柄を褒めて貰って、ほっぺが緩む。
沈図南は褒章が必要だと、近真に、代わりにご馳走してこいと言います。
すぐさま近真は若来の背中を押して、ご馳走しに外へ。
豪勢に食えと笑って送り出した沈図南だけど、すぐに笑顔が消えたのは、次は、林樵松がどう出て来るか、その対処を考えないとって感じかな。
近真が選んだ店は、5話で林樵松を懐柔した時の洋食店かな。
だけどメニューを見ても、それがなんだか分からない若来は、バイオリンソロを選んでしまったり、餃子でも麺でもいいと言ってしまったり。それで近真も、そっか経験ないから分からないんだと気付く。
じゃあ、ステーキにしましょうと、たたたっとオーダーするのを見て、若来は料金が気になってしまいます。エスカルゴが分からないのもお約束。
兄の奢り、あんなに血をあげたんだから当然、兄はケチで人に奢るなんて珍しいんだから、遠慮したら損よって言う近真の眉間に皺の顔が可愛かった(笑)わざとそういう言い方して、遠慮はいらないって気遣いね。
沈図南は以前も、懇意にしてる店で洋食食べて来いって、若来に奢ってくれたもんねえ。
沈図南の病室には、案の定、林樵松が来ました。
まだまだ、林樵松は沈図南に遠慮してるのか、ただ、本日の交渉のために怒らせてはならないと思っているのか。座ろうとした途端、声をかけられて即座に立ち上がるところなんか、康(カン)処長相手の時のビクビクを彷彿させる。
林樵松は実は部下が言うんですと切り出します。
先に銃声が聞こえ、あなた方が走り込んで来て、その後に犯人の車が現れた。一発目は誰が撃ったのかと。
どう思うと聞かれた林樵松は、顧問から摘出した弾は暗殺者の銃と合わない、これも私を悩ませていますと答えます。
林樵松は、宋(ソン)先生が税警団を創設して、米国陸軍士官学校を出た温応星(ウェンインジン)が団長に就くと聞き、推薦して頂けないかと切り出しました。
康処長が気に入らないから新天地に行きたいのかと言われ、それは誤解、自分は捜査隊が性に合うが、部下には養う家族がいる、稼げる部門に移したいと答えます。宋先生に近い、顧問にしか頼めません、と。
それでチャラだってことだね。
沈図南は、折を見て自分が自ら推薦しておこうと答えました。
ぱしっと立ち上がって、感謝しますと言う林樵松だけど、はて、この話って、この後どうなったんだったっけか…
暗殺者は、張鳴泉の指示だと吐いたらしいんだけど、沈図南は、それは随分小物だ、大物を捕まえるべきだと。虞世清は、この暗殺でどんな役割を演じているのか知りたいと言います。
我々を巻き込み、代価がこれだけでは足りないって、林樵松は言い出したけど、沈図南は、交渉する気はないと突っぱねました。
君を引きずり降ろすことなど簡単、康処長は私と君とどちらを選ぶと思う?と聞くと、林樵松はあなただと答えるんだけど、だが私は倒れる前にあなたに噛みつくと凄む。
でも沈図南は、我々は党のために働き共通の敵を持つ、南京を笠に着た虞世清のような老いぼれは、いずれ淘汰される、どちらにつくべきかは、帰って考えろと言いました。
本当に素直に考える顔になる林樵松。意外と素直(笑)
始終、ベッドの上で余裕の表情と目線を崩さない沈図南と、立ったり座ったり、のけ反ったり下から睨み据えたり俯いたりと都度動きと目の演技が変わる林樵松。
芸達者さん達のやり取りは面白いねえ。
その頃、虞世清に泣きついていた張鳴泉。暗殺者が林樵松に捕まり、自分の名前を言うかもと。
沈図南の暗殺を決めたのはアナタだと言ったところで、虞世清がそれを認めるはずはない。
安心しろ、家族の面倒は見てやると言われてします。必死で捨てないでくれと跪く張鳴泉。
虞世清は、沈図南は融通が利かないが下で働く者には養う家族がいるとか、不穏なことを言い出してるなあ。
一方、近真と若来は、洋食店でバイオリン奏者を傍らに、お食事。優雅な曲を奏でていた奏者に、店では弾いたことがない「ひばり」というアップテンポで明るい曲を演奏させ「豪勢に食って」ました(^m^)
曲に合わせて映像早回しよ(笑)
裏ではいろんなことが動き始めていて、若来も張鳴泉周辺を探られると危ないんだけど、束の間の楽しみだねえ。
考え込みながら病院の外に出た林樵松のところに、李晟達(リージェンダー)がいたと文彪(ウェンビャオ)が走り込んで来ます。意識不明で救急室に運ばれてるんだとか。
え。あれから何日経ったと思ってんのよ。撃たれて倒れて石に頭ぶつけたの、8話よ?なんで生きてんのよっ。
しかも李晟達は右胸心だったから助かったんだって、うっそおっ!(大笑)
病室に駆けつけた林樵松は、弾は摘出したけど、脳内血腫で意識が戻るのは五分五分だという医者の話を聞き、火のついたタバコを李晟達の腕に押し付けてみます。
だけど李晟達は全く反応なし。間違いなく意識不明だと確かめたんかいっ。びっくりだな。
更に医者を脅して、体力を早急に回復させて手術をし、何としてでも目覚めさせろってさ。
若来は、レストランで弾く近真のピアノを間近に立って聴いていました。
その曲で、にーちゃんのことを思い出しちゃう若来。
良い曲です、ただ少し悲しくなると言った若来に、近真は、これはレクイエム、故人を偲ぶ曲よと。
若来と一緒に、孤星の弟と一緒に、って選曲だったのね。
誰を思ったのと聞かれた若来は素直に、少し前に事故で死んだ兄をと答えました。
康少捷(カンシャオジエ)の元に虞世清と張鳴泉が現れ、張鳴泉は私の全財産だ、助けてくださいと、アタッシュケースいっぱいの金塊を差し出していました。
あ、ここが、処長の借りてるリチャーズホテルの部屋か。
だけどまず康処長は、お前も大した度胸だと言って、確保しろと叫びます。
取り押さえられた張鳴泉だけは大騒ぎだけど、落ち着き払った2人は、これ、駆け引きだよね?
取り付く島もない態度の康処長に、虞世清が怒って退席しようとする。それを止めて宥めた康処長。
何が欲しいと聞く虞世清という。
康処長は、金はいらない、ある人に繋いで欲しい、大姐(ダージェ)だと要求しました。
康少捷という男は、虞世清と同じく、南京に大きな後ろ盾が欲しかった、と。
でもそれが、泥沼に自ら足を突っ込む羽目になることにも気付かずになー。
と、ここから、完全にこの3人は結託していく訳だね。
虞世清も仕方なく、日和見ドジョウを引き入れざるを得なくなったと。
若来は近真に、にーちゃんの思い出話をしていました。
子供の頃、いろんな手仕事を習ったこと。芸は身を助ける、両親や兄が死んでも生きていけるからと。
以前の回想シーンで、2人で籠編んでたみたいなのはソレかあ。
生きている者はしっかり生きなきゃ、生死に関わらず、どんな命にも意義があるって近真に、若来は、兄は信念のために死んだ、最期も悔いはなかったはずと言いました。
林樵松は、捕まえた暗殺者を文彪(ウェンビャオ)と共に拷問中。背中の刺青は青幇(チンパン)の証なんだそうだ。身元も家族もすぐら調べれば分かっちゃうみたいだよ。証のタトゥーなんてさあ、入れとくもんじゃないわねえ。結束の証にもなるんでしょうけど、お陰でズルズル身バレじゃん。
張鳴泉に雇われたとは言うものの、それ以上の名前は出さない刺客に、林樵松はなんとか虞世清の名前を言わせようとします。その名前を口にしさえすれば、処刑場には別の死体を運び、青幇も何とかする、お前は家族と共に逃げられると言ったところで、林樵松は康処長から呼び出されてしまいました。
あー、ひと足遅かった。
ここで虞世清を排除出来ていたら、この人も宋先生の税警団に入ることが出来たのに。
時間は前後してるのかな。
虞世清と一緒に邸宅の門から出て来た康少捷。大姐に紹介して貰えたらしいんだけど、アヘンの流通にも加担する羽目になったようです。自分から飛び込んだんだから、今更渋い顔したところで自業自得だわ。
結局、康少捷は大姐と孔庸之(コンヨンジー)夫妻の駒になることを選びました。ここで断ってもまだ間に合うとか虞世清は言ってたけど、話を聞いちゃったんだもの、断ったら今度は自分が消される恐怖に怯えることになるしなあ。
ってことで、暗殺者は康処長の命で殺され、首を吊った形で発見されました。
しかも康少捷は、その責任を林樵松に被せた。
まんずもう。上司は自分で選べないからね。この人も不運な人なのは確かなんだよなあ。
康少捷は、自分を殴りたいか?頼みの南京に訴えろとか煽っているので、やっぱり南京から飛ばされて来たエリート林樵松に対して、ハナからコンプレックスを持って、きつく当たってたんでしょうね。
林樵松は、これは自殺ではない殺人だ、検視をと言うんだけど、銃を取り上げた康少捷は、おまえはもう部外者だと怒鳴りました。
首を吊った自殺だと舌が出るんだそうな。死後吊るされたのは一目で分かるのにという林樵松の言葉は、黙殺されてしまいます。
林樵松のびっくり顔は、コイツが暗殺者側についたことを確信して、まさか処長ともあろうものが、信じられないって驚愕の顔だね。
だけどこうして、虞世清、康少捷、張鳴泉の悪党3人が大姐の元に結託し、事態は様々めんどくさくなっていきます。
夜、鴻芳(ホンファン)服飾店を訪れた沈近真は、国民党の軍事支出の詳細も含まれている央銀の予算表を撮ったフィルムを、徐諾(シューヌオ)に渡します。
央銀が関税保管権を奪回して、近真の勤める造兵廠の予算もかなり増えたんだそう。だからまた、包囲討伐が始まりそうだ、と。
徐諾は、君の兄上は困りものだ、央銀を早々に成長させたと言います。江西に欲しい才能だ、と。
金融関係の人材がいないんですって。
近真は、兄は三民主義の信奉者だから、それはあり得ないと言うんだけどね。信念を語ればケンカになって分かり合えないと。
だけど徐諾はさすがの老獪さ。
共産主義は語らず、行動で示す。いずれ彼も国民党の闇を見る、チャンスはあると言いました。
近真は、若来と食事をした時、央銀は暗殺未遂の報復に何かすることを知ったらしい。若来がまともに話しちゃうとは思えないから、言葉の端々からの推測みたいな気もするけど。
2人はそれはなんだろうと考え、虞世清の興夏(シンシア)銀行の買収ではないかと推測。興夏銀行は国際貿易に強く、共産党のタングステンが売れないのは、興夏銀行に妨害されるからなんだって。徐諾は、これはチャンスだと、沈図南の動向に目を光らせることに。
なんだか今回は、林樵松の不運が分かり易く形になった感じですな。
決して好ましい人物じゃないんだけど、何があったんだか、南京から飛ばされてなかったら、上司があのドジョウじゃなかったらと。考えても仕方ないけど、そういうコトなんだよねえ。
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