あらすじ
劉平(りゅうへい)は曹操(そうそう)が司馬(しば)家を助ける代わりに、曹仁(そうじん)の罪を減じ、曹操を魏(ぎ)公にする。孔融(こうゆう)や伏完(ふくかん)は強く抗議するが、劉平(りゅうへい)は決定を取り下げない。伏完(ふくかん)の動きが怪しいという知らせが曹植(そうしょく)の元に入る。曹植は急いで宮中に向かうが、門番に止められてしまい…。
三国志 Secret of Three Kingdoms 公式サイトより引用
私は正しいと思っていたのに、間違えたのかと後悔する劉平ですが。
みんなを引っ張るつもりで、司馬懿を傷だらけにし、最愛の人も守れなかった。
みんなを引っ張るつもり?漢王朝として臣下達をってこと?んー?
直接劉平のせいではないかもしれないけど、それぞれの思惑が絡み合ってるから、難しいところですよね。誰かひとりがどうこうしてひっくり返せる問題でもなかったと思う。そういう意味では、命をかけるって手段の是非は別として、唐瑛の策は絶妙だった。
仲達は人が変わったようだった、あんな姿を見たくはなかった、私が死ぬべきだった。
なんだかなあ、それはどうなんだろう。さっきからなんっかズレてる気がする、微妙に。
伏寿は、もし自分だったとしても劉平を助けるために同じことをしたと言いますが、劉平はそれはダメだと。あんなことになるなら私が先に死にますだって。
夜の林の中で穴を掘っているのは、曹丕ですね。
王越の形見の剣を埋めようとしているんだね。今日からもう剣は使わないって。師匠の剣は途絶えますよってさ。師匠の剣に必要な、恐れや心の闇と共に生きるのは、あまりに苦しいと。
まあね、もうそんな思いしなくても、いろいろと手に入りそうですしね。
埋めようとすると、使っていた鍬の柄が折れてしまいます。王越の抵抗かな。
曹丕は、土の中の剣に向かって、私は勝ったのだ、師匠の剣は二度と用いませぬと言います。我が名は間違いなく、君主として史書に記されることになる。
ああ、君主って言っちゃってる。顔もいっちゃってる。怖い怖い怖い。
ねえ、まだまだ充分闇じゃないかい?
評定の場では、曹仁への沙汰がくだされます。官位は落ち俸禄も1年止められるけど、命は取られず、さらに、曹操を魏公として鄴を与え、曹丕は五官中郎将となって丞相の補佐。司馬家を助ける見返りは、曹仁を助けるだけじゃ割に合わないってコトへの追加ですかね。
でも皇族殺しを減刑とした上にこの追加は、破格の待遇なんじゃない?孔融と伏完は、だいぶ戸惑ってますよね。
案の定、その場で孔融は異を唱えました。伏完も、功と罪を混同してはならないと。
劉平は、曹操は漢王朝を支えて朕を助けた、その功は大きいと言いました。
曹操邸では、楊修がまた余計な事を曹操に囁いてます。
皇帝を擁して中原で命を発していたのに、鄴に行ってしまえば他の諸侯と変わらなくなる。立場が弱くなれば、皇帝に裏切られるかもしれない、とか。
そういう全てが、今回の取り引きなんだよっ。
曹操は、それはあり得ぬと言いました。久しぶりに漢王朝に、天下のことを思う皇帝が現れたのだ。その皇帝が現れた経緯については、楊主簿に感謝せねばな。
知ってるっ。当時楊修が暗躍したこともっ。その上、劉平のことも認めてしまったので、こりゃ、楊修ごときが何言ってもダメですね。
曹丕は司馬懿の部屋に来ていました。司馬懿は食事もせず、部屋から出ていないようです。
曹丕は助けてくれと言いました。曹操が魏公となり、自分は丞相の補佐となった。でも評定では伏完達が大反対した。ただでは済まぬ、何か策はないか。
中へどうぞと言われて曹丕が扉を開けると、司馬懿は部屋中に線香を焚きしめた煙の中にいました。
あの虫けら共は静まりませぬ。私がつまみ出しましょう。
劉平のもとには、伏完が来ていました。曹仁が大きな過ちを犯し、曹操は劣勢なのに、唐王妃のお陰で得た好機を司馬懿のために手放すのか。
うーん。唐瑛は別に漢王朝のために死んだんじゃないよ。司馬懿のためだよ。
伏寿は、曹操から離れられるのは良いことでしょうと言うんですけどね。
伏完は今は状況が違う、今、曹操を討たなくていつ討つんだと言います。過去、漢王朝のために散っていった忠臣達が報われない。
劉平は、その後、どうすると。曹一族を滅ぼすのか?数十万の大軍がいるぞ?分かっているはずだ、漢王朝の力では天下統一はできない。曹操を討ったら、次は孫権の傀儡になるのか?
伏完は、曹操ほどの者はいない、孫権も劉備も及ばない、曹操は鄴で更に力を増す、帝位を望んだらどうするのかって。
だから、曹操だけは討たなくてはだめなんだってことね。後はどうとでもなると。
劉平はそれには答えず、伏完に聞きました。なぜ、唐瑛を死なせたのか。
伏完は、自分と楊彪が死ぬつもりだった、でも自分が死なないと効果はないと唐瑛が言ったのだと。
ならば、曹操が相手なら、どんな犠牲も厭わないのか。挙兵し、曹操を討って、国が乱れてもいいと言うのかと劉平。
伏完は、そうですと言いました。
「本位」が違うので、ここは理解し合えないですね。
漢王朝という歴史と形を大切に守って来た人と、健全な王朝は、平和な国と民あってのもの、そのためなら、そこに立つのは別に漢でなくてもいいはずと考える人と。
劉平は頑なな伏完に、軽々しく動かないよう、勝手に動けば漢王朝への反逆とみなすと言いました。でも、これは動いちゃうってことでしょうねえ。逆に反逆と言われて、タガが外れたなあ。本気で止めたいなら、劉平の態度は甘いよね。アンタ、泣いてる場合じゃないよ。伏寿の父親だから、これでも精一杯強く出たつもりだったんでしょうけど。娘が皇后なのだから、娘まで殺されるような事態は避けるだろうとか、それがあったんだとしたら、甘過ぎるよ。漢王朝のためなら、再度許都を戦禍に追い込むことも、罪のない大勢の人々がそれで死ぬことになっても構わないって言い切ってるんですよ、伏完。
曹操暗殺の密談をしている伏完のところに、司馬懿がやって来ます。
話し合いをするなら、私にも言いたいことがあると司馬懿。咄嗟に剣を握った伏完に、私の口を封じても、他に知っている者がいると。
司馬懿はしらっとした顔で、伏完を煽りました。
曹操の配下になった司馬懿を信用していない伏完ですが、司馬懿はお見通しだよみたいなことを告げ、今日ここに来なかったら自分は思わぬ災難に遭っていただろう、今日は伏完の死に水を取りに来たのだと。
劉平は伏寿に伏完の説得を頼んでいますが。ちょっと遅かったね。
でも伏完、無事に伏寿を迎えていますが、これはきっと最後のナントカ。
伏寿が一生懸命翻意させようとするんだけど、無理そうね。
昨晩、司馬懿に何を言われたんだろうな。
伏完の妻、伏寿の母は皇帝の妹だったか。がっつり代々姻戚。自分に選択の余地はないって言う伏完だけど、曹操の出立さえ無事に済めば、何も起こらない、一緒に許都で陛下を支えようって言う伏寿。口ではようやく、そうだなって言う伏完ですが、これは決行だねえ。
でも歴史はきっと、こういう繰り返しなのかもしれません。正しく情勢を読めず頭を切り替えられない古い時代の人達は、こうして順番に歴史の中に織り込まれていくんだな。
曹操さえいなくなれば、今の漢王朝なら残った兵くらい手懐けられるって、いや無理よ。
劉平のやり方に納得していない癖に、そこだけは劉平の漢王朝ならできると言ってるあたり、面白いですよね。本気でそう思ってる?みたいな。
でも、伏完がやっちまうと、伏寿も無事ではいられないから、そこを父親としてどう考えているんだろう。あっ!?その心配がなくなれば、最終的にそこだけは安心していいと誰かに言われていたら?
司馬懿の元には曹丕。手渡したのは、伏完に繋がっている人物の名前を書いた紙らしいよ。証拠はないみたいだけど。司馬懿はヤツらは必ず動くと言うので、曹丕が曹操に話そうとすると、司馬懿はそれを止めました。既に楊修に漏らしてあると。曹丕には司馬懿が何を企んでいるのか分かっていないようですが、司馬懿には見えてるみたいですね。楊修がどう動くか。
曹植、楊修サイドと曹丕、司馬懿サイドの攻防でもあるんだな、これは。
曹操からの寵愛を失ってしまった曹植は、一人で飲んでいます。そこへ慌てた様子で楊修が入ってきました。宮中の警備兵に移動があった、伏完の動きが怪しい。曹丕よりも先に曹操に知らせねばという楊修ですが、曹植は、兄と満寵も気付いたかもしれない、伏完が危ない、急いで陛下に伝えないと。
曹植ぼったん、すっかりそうなっちゃってるのかぁ。
楊修が慌てて止めます。今なら皇后様を助けられるかもしれないっていう曹植に、立場が違うだろう、曹操の跡継ぎを争っているのだ、勝ち取ることを考えないとって。
どうして私はいつも、このような者を選ぶのだって言っちゃった、楊修。
争うなら、違うやり方を考えると出て行こうとした曹植は、楊修に殴られて気絶…あれま。
曹操は曹仁と打ち合わせていました。曹操は本当に、許都から全ての兵を引き上げるつもりのよう。私が短慮だったばかりにと一応謝る曹仁(^m^)
曹操は、漢王朝との争いに力を注ぐことに意味はないと、この数年で気付いたと言います。それなら南を攻めるべきだと。漢王朝の旧臣は諦めるだろうかって曹仁は言いますが、曹操はいずれ分かるってさ。
そこへ楊修が告げ口に来ました。
曹植は、宮中に馬を飛ばしましたが、門番が入れてくれません。
仕方なく馬に乗ったまま強行突破した曹植は、急いで劉平達の元へ。伏完が何か企んでいること、楊修が曹操に連絡したこと。自分はそれを知らせに来ることしかできないと。劉平と伏寿は、伏完の元に急ぎます。
劉協の位牌の前に跪き、嘆いた伏完は、いろいろな証拠書類を焼き捨てています。それから劉協の位牌も。そして、漢の罪人、伏完と書かれた位牌を置きました。
伏完の息のかかった兵達が打ち合わせていたところに、満寵の部下が乱入。人数的に抵抗も無理でしたね。最後の1人が狼煙を上げましたけど。
空に上がった狼煙を見ていた司馬懿。忠臣だな、愚かだと言ってますが、あれ、これ既に伏完の屋敷では?
伏寿と劉平が伏完の屋敷に着くのと同時に、曹操と兵達もやって来てしまいました。耳が早いですなと言う曹操に、ここは譲ってくれぬかと頼む劉平ですが、もう遅いと言われてしまいます。
伏寿が入り込んだ屋敷の中には、司馬懿がいました。
伏完は剣で胸を刺し貫かれ、座ったまま死んでいました。
そもそも無謀でしたしね。頑固でしたしね。ただの玉砕になることが本当に分かっていなかったとは思えないんだけどな。最後の生き残りみたいになっちゃって、ただ死に場所を探していたとしか思えない決起だし。あれほど娘にも止められたのに。思いに沿って生きた訳だから、ある意味本望だったかもしれないんだけどさあ。
遅れて入ってきた劉平も、座り込んでしまいます。
約束したのにって涙する伏寿に、司馬懿は約束しても遅かったって。
劉平がなぜここにいると聞くと、功を挙げにと司馬懿。私が来なかったら明日、許都は大変な騒ぎになっていたと言います。
伏寿が刺さっていた剣を抜いて、切りかかりますが、まあ突き飛ばされて終わり。劉平も怒って掴みかかります。陰湿な事をせず、恨むなら私を恨めばいい、なぜ関わりのない者を傷つけるって言うんだけど、うーん、違うよ、それはもうズレている。ここにいるのはもう、唐瑛の時に感情を爆発させた司馬懿じゃないよ。そんな個人的な感情で動いてはいない。だって伏完は関わりのない者ではないもの。曹操暗殺の首謀者。それを曹操陣営が未然に防ぐために動き、首謀者を仕留めたっていうだけの話。
劉平、相変わらずだなあ。ひとりだけ個人の感情に振り回されてるのが、ちょっと滑稽に見えるから、もうやめなよ。分かってないのかな、伏完を抑えられなかったのは、劉平と伏寿の落ち度よ。恨みを司馬懿や曹操に向けるのはお角違い。自分達のせいなの。曹仁を許したのに殺すことないだろうってのは感情論で、あれとこれとはもう別件だしね、悲しいけどね。
司馬懿は落ち着いたまま、もういいか?と言い、反乱を防ぐのは当たり前のことと言います。おまえはそんな男ではないだろうと言う劉平に、陛下は誤解しています、私はずっとこうですと言って、劉平を突き放します。
曹操は司馬懿を褒めてから言いました。
自分が陛下を信じようと思うのに、忠臣達が邪魔をする。
そう、それ。それに尽きます。
偉そうに曹操と渡り合ったつもりなら、そこは冷徹なくらい徹底させるべきだった。
ただ、伏完は司馬懿と何か裏約束した気がする。娘のために。
とはいえこの夫婦、そんな顔で司馬懿や曹操を睨んでる場合じゃないわよ?
曹操は言いました。
明日皇后様を連れていく。
2人共、はっとした顔になったけど、今更かいな。
曹操暗殺を企てた者の娘。ただでは済まない。伏完がやらかしたら伏寿が危ないことくらい分かってたよね?あんなテキトーな説得じゃなく、監禁するくらい、もっと強制的に止めないとだめだったの、分かってる?これは人のせいにできないわよ?
二人で別れを惜しんでくださいと言って、曹操は去りました。
曹操の前では、劉平に知らせに走った曹植が棒打ちされています。
宮中に門から馬に乗ったまま押し入った罪って言われてますが、自分のところじゃなくて真っ先に劉平のところにいったしね。曹操が門番の打ち首を実行しろと言うのを聞いて、曹植は全ては私の罪、門番は関係ない、無実の者を殺してはいけない、陛下と敵対してはいけないと縋るのですが、もう曹操の耳には何も届きません。
騎馬ではなかったけど、つい先日同じように夜、宮中に押し入った、しかも兵を連れて押し入って皇族を貶めて自害させた曹仁は、曹操からは何の咎めもなくそこにいるけどねえ。そして座り込む曹植の背中に気遣うように触れたのは、その曹仁だけでした。
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