あらすじ
2003年、侯貴平によるレイプの詳細を聞くために丁春妹の店を訪ねた江陽と朱偉は、「胡という男に頼まれ、襲われたと偽証した」という証言を得る。しかしその矢先、朱偉は遠方への出張を命じられ、調査は中断してしまう。2010年、丁春妹の録音証言を聞いた厳良たちは陳明章から「侯は死後にダムへ遺棄された」という検視結果を伝えられる。そんな時、写真を掲載するはずの新聞が休刊となり、江潭市内の廃ビルで爆発が起きる。
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ネタバレ感想
2000年、苗高(ミアオガオ)郷。
金髪、岳軍(ユエジュン)はご機嫌で、丁春妹(ディンチュンメイ)にお金をチラつかせてます。
丁春妹は、岳軍に言われるまま侯貴平(ホウグイピン)を陥れてから、体調が悪いらしい。痛みは、下腹部、婦人科的な位置。怯えてますよ。
人は、死ぬときに見たものが目に焼き付くとか。
侯貴平の目には、私達2人の姿が。
岳軍はあり得ないって言うけど、丁春妹は罪の意識にジワジワやられているんでしょう。毎晩、悪夢も見るらしい。だけど、岳軍に街で物件を探している、2人でスーパーを開こうと言われて、それは嬉しくなっちゃう訳だ。こんなヤツ、信用ならないのにねえ。
2003年、平康(ピンカン)県。このシーンは、前回の続き。
江陽(ジャンヤン)は、食事をした店を出たところで、朱偉(ジューウェイ)から、匿名電話の話を聞いていました。「侯貴平は無実です」と言った電話のことね。
電話を受けたのは、任務の最中。電波の状態が悪く、すぐに切れてしまい、かけ直したが出なかった。調べると、村の公衆電話からのものだった。
つまり、目撃者がいたってことかと江陽。
もしそうなら潔白を証明できる、再捜査は続けると宣言します。朱偉も手伝うことに。
部下を1人連れて丁春妹の雑貨屋に向かった江陽と朱偉は、店先に座っている小さな男の子を見ます。ママと言っているけど、丁春妹の息子?旦那、いつ亡くなったの?
江陽達は、一応買い物をしてから、話を聞きたいと、傍らの部屋に移動。
朱偉は、夫に死なれて独り身なのに、誰の子だと聞きます。行商人から買ったのか?人身売買は違法だと通達が出ていると言いました。
ここ、驚いちゃいましたよ。だって、2003年なんだけど?この国の田舎ではまだ、これを口にしないといけない状況だったってことなの?日本でも、もしかしたら闇の世界ではあることなのかもしれないけど、21世紀、一般市民相手に、こういう台詞が出て来るってないと思うのよ。
丁春妹は、友達の子を預かっていると言います。
どんな友達だ、名前と住所は?友達の子なのに、ママと言ったぞ?誘拐した子なら刑務所行きだ。畳みかける敏腕刑事の追及よ。部下の子は記録係ね。
本当に友達の子だと言う丁春妹に、江陽は、その友達をここに呼んでと言いました。
丁春妹は携帯で電話するものの、相手は話し中。うーん、この相手、岳軍じゃないの?
聞きたいことがあって来たと言う江陽の後を、朱偉が続けました。
3年前の夜、「侯貴平に襲われた」と派出所に駆け込んだだろう、覚えているか?
ホントだとしてもウソだとしても、忘れるわきゃーないわな。
江陽は、レコーダーのスイッチを入れました。
2010年、江潭(ジャンタン)市。
捜査本部にいる陳明章(チェンミンジャン)。
厳良(イェンリャン)、任玥婷(レンユエティン)の他に、趙(ジャオ)局長も同席。
陳明章は、あの時、江陽の録った音声を持ってたのかー。
ここから、2010年に聞いてるシーンと、2003年の回想シーンが織り交ぜられます。
あの夜、なぜ侯貴平の宿舎へ?連れ込まれたのか?
風邪薬を飲みたくて、お湯を貰いに行った。そうしたら、侯先生が私を…
何時だ?
覚えていない、8時過ぎだったと思う。
なぜわざわざ湯を貰いに?近所に他の家もあるだろう。
近所とは余り仲が良くない。陰で何を知っているか知っている。疫病神とか悪霊憑きとか。苗高中学は取引先で、定期的に食料を届けに行っていたし、侯先生とも面識はあり、都会の人だから知的で礼儀正しいと思っていた。
その礼儀正しい人物が、君を部屋に引きずり込み、襲ったと?と江陽。
引きずり込んでいない、先生は少し酔っていて…という丁春妹の言葉を遮り、江陽は、隣の部屋の馬先生はあの日、何の物音も聞いていないそうだと言いました。
丁春妹が、怖くて声も出なかったと呟いた時、さっきの電話はなんだーと入ってきた岳軍。やっぱりかー。
岳軍は、外の子は自分が拾った子だと言います。届けも出している、犯罪じゃない。
届け出だけでは合法とは言えない、児童誘拐の通報があった。
そう言って朱偉は、岳軍を引き離し、車の中へと連れて行きます。
残った江陽は、丁春妹に言います。
質問には正直に答えて欲しい。全て記録に残るんだ。
丁春妹は侯貴平の部屋を出て、そのまま派出所に行ったと言うんだけど、さっき部屋に行ったのは8時過ぎって言ってたのに、通報は11時過ぎだったんですってよ。移動時間を抜いても、2時間以上、声も上げずに静かーに、レイプされたっちゅー男の部屋にいたことになるワケだ。
侯貴平が自殺したのは、この件で捕まることを恐れてのことか?
分からない。
岳軍との関係を聞いた江陽。
侯貴平が死ぬ前から、丁春妹と岳軍は関係があったとの証言を引き出します。
江陽は、捜査の結果、侯貴平は他殺だと判明したと言いました。誰が殺したと聞かれても、知らないと言う丁春妹。
侯貴平と岳軍の間にはトラブルがあり、殺すと脅されていた。君もその話は聞いていた筈だ。恨みを募らせた岳軍は侯貴平を殺し、君もそれに関与をと江陽。
丁春妹が否定した時、朱偉が戻ってきて言いました。
岳軍は賢いぞ、アンタに不利な事実を告白した。
それを聞いて、腹痛がぶり返す丁春妹。やっぱり精神的なものだねえ。
朱偉に、通報は嘘だったと全部吐いたぞと言われ、次々に畳みかけられ、動揺して涙を流し始めた丁春妹。態度は明らかだよねえ。
やっぱり思った通り、黄毛(ホアンマオ)は信用できないと呟いた丁春妹を見て、よし、落ちたって感じの朱偉と江陽。
まさかこんなことになるなんて、侯貴平が死ぬなんて思わなかったの。
そう言った丁春妹を落ち着かせ、俺たちがいるから安心してって言葉をかける江陽。
既にいいコンビ感が出てますな、江陽と朱偉。
あの日の前、黄毛が家に来て、1万元やるからある男と寝ろと言った。バカにしないでと叩いてやったけど、陰口を言われているのに、ずっと村にいるつもりか、街で店を持たせてやると言われた。私は育児だけすればいい、子供を作ろうと。
音声を聞いている2010年のおじさん達が、ちょっと痛ましい目になってましたな。丁春妹自身は、田舎の閉鎖された社会の中でつまはじきにされ、生きずらさを抱えていた気の毒な未亡人。口車に乗ってしまったのだって、その寂しさに付け込まれたから。とはいえ、決断したのは本人の責任だけど。
江陽の声で、1万元を出したのは彼じゃないなと聞こえます。
丁春妹は、よく知らないけど、胡(フー)という人に頼まれたと言っていたと。朱偉がフルネームを聞きますが、丁春妹は知らないようです。
胡一浪(フーイーラン)ですな。出て来たぞー。
江陽は、侯貴平に色仕掛けが通用したのかと聞きますが、丁春妹はそれは岳軍に聞いてと言います。薬を盛ったらしいと。
丁春妹は岳軍に指示されるまま、事後自分のタオルに侯貴平の精液をつけて渡し、1時間後に派出所に行った。宿舎にあった女性用の下着についていた精液も、後から付けたもののよう。
最後に、侯貴平はなぜ死んだと聞いた朱偉。
江陽と朱偉が柔と剛で詰め、もう一息ってところで、手錠をかけて車に残していた岳軍が、車から飛び出してきてしまいます。
コイツら、何も知らない、言うな。
朱偉が岳軍を外に連れ出し、江陽が急いで、さっき何を言いかけたと聞きますが、丁春妹の答えは、何でもない、でした。
あああああー。
ひょいっと、留置場にいる張超(ジャンチャオ)が写ります。看守に時間を聞いてるよ。
午後10時半。
侯貴平の検視報告書は先生が書いた、事件をどう見ると厳良に聞かれた陳明章は溜息をつきます。全ては霧の中、虚実すらはっきりしない。
確かに丁春妹の下着には、侯貴平の精液が付着していて、一見、体内に射精した証拠に見えるが、強制や偽造の可能性もある。
さあ、先生がまとめますよー。
この事件のカギは2つ。
1つめは、侯貴平は溺死か、死後遺棄されたのか。
2つめは、死亡時刻。
侯貴平の遺体には、溺死と判定する要素がひとつもなかった。死亡は食後1時間以内。
これに驚いて、厳良は食い付いてますな。
目撃情報によると、8時頃、黄毛が食べ物を持って宿舎を訪れている。
争って去ったのが8時20分頃。
8時30分頃、丁春妹がお湯を貰いに、徒歩15分の宿舎に行っている。
そこで侯貴平と酒を飲んだところ、突然めまいがして襲われたと証言。
10時半頃、宿舎を出て帰宅し、11時半頃、派出所に行った。
11時50分頃、警官が宿舎を尋ねるが侯貴平は不在、翌日ダムで発見された。
侯貴平の胃の中に残った食べ物は、宿舎にあったものと一致したらしい。
8時過ぎに食べて、その1時間以内に死んでいるってことは、侯貴平が死んだ現場にはまだ、丁春妹がいたってことになる訳だよー。供述に矛盾が生じるのよー。
陳明章は言いました。
そうすると、更に面白いことになる。侯貴平が死んだのは、丁春妹をレイプした時か、その後か、それとも、レイプする前か。
射精は脊髄反射によるもので、理論上、大脳は関係ないんですと。ふぇぇ、知らなかった。死後数分なら、性器に刺激を与えると、脊髄反射で射精は起きるんですって。
2003年。
早速、朱偉のところに嫌がらせ発動です。今晩中に省外に出向しろとの命令ですって。
岳軍を取り調べることができなくなって、仕方なく一旦帰し、戻ってきたら出頭させることになっちゃいました。はー。やることが素早いよなあ、アイツ。李建国(リージェングオ)だよね。
2010年。
厳良はまた、馬少林(マーシャオリン)にちょいと指示。現場の壁にあった手すりの写真を撮って、サイズを測ってこいと。そしてそれも、同じものを探せって。
厳良は張暁倩(ジャンシャオチェン)に電話していました。どうやら今晩の夕刊が出ていないらしい。
新聞は、虚偽広告の抗議を受けて、休刊することになっちゃったんですって。編集長が抗議中らしいんだけど、これって、あの写真が載るはずの新聞だよね?2枚目の写真だっけ?
間にいろんなエピソードが入って、忘れちゃってるけど、2通目はまだ記事にしてないよね?
記事が出ないと爆発が起きるんじゃ?
あ、そっか。あの一瞬映った張超は、コレか?これも計画のうち?
時間を聞いて、新聞は出ていないはず、ああ、もうすぐ爆発だ、ってことかな?
だとしたら、計画の上なら、市民には極力被害が及ばない場所になるはず、きっと。
廃ビルの中で、ラーメンかなんかを啜る男。あの人よ、ポスト周辺にも出没した、浄水器の水の配達員。彼の腕時計は11時になろうとしているところ。
食べた後、彼は窓ガラスにしっかりと目張りみたいにビニールを張り巡らし、食器を片付けて、いつもの三輪車でビルを出て行きました。
直後、江潭市の高台にあるビルが爆発しちゃいましたよ。
2003年、平康(ピンカン)県。
李建国と胡一浪と共に、円卓に座って食事をしていたのは、卡恩(カーン)グループの孫伝福(スンチュアンフー)でした。苗高中学で寄付をして、表彰されてた人ね。コイツだよっ。
李建国は2人に報告があると言います。
数日前、江陽という新任の検察官が、侯貴平の事件を再調査すると言ってきた。
そこに来たウェイトレスが、孫伝福の腕に、運んで来たキャビアを誤って零してしまいます。それを見た胡一浪、いかにもーな絡み方をしてるよ。確かにキャビアは高いだろうが。零したその1皿は、小麦30トンと同等の価格なんですって。確かに、よりによってキャビア零すウェイトレスもいないだろうなとも思うけど。
テーブルの上に零れたキャビアを手掴みで食べ、彼女にも差し出して食べてみろと、口元にこすり付けるっていう、ヤクザなやり方の胡一浪。
孫伝福がそれを止め、ウェイトレスにナプキンを差し出して下がらせます。
食べ続けつつ、孫伝福は李建国に、その検察官の名前はなんだって?と聞きました。
2010年。
オレンジ色のテニスボールを握りながら、厳良が考え込んでいた時、任玥婷が緊急事態を伝えに来ました。
爆発現場は、建設が中断されて何年も放置されていた、江潭市北部の廃ビル。今のところ死傷者はなし。所有者は卡恩グループ。
留置場の張超は、取り調べ室に移動させられます。
やって来た厳良が、爆発現場の写真を見せ、市民に被害が出たら、お前たちはどう責任を取ると言いました。
お前たちとは誰のことだと張超。私は留置場で24時間監視されている、どうやって市民に被害を?何の責任を取れと?
厳良にしてみれば、憎ったらしい言い分だよね。明らかに複数人が関わっていると分かるこの事件で、刑事事件専門の敏腕弁護士が捕まる役目を担っている意味。警察を誘導するんだか、攪乱するんだか分からないけど、ある時期から突然冷静になり、時折口を開けば皮肉たっぷりっていう。
厳良は、この事件は霧の中にいる怪獣のよう、はっきりとは見えないが輪郭は感じ取れると言います。俺に調べる時間を与えろ、これ以上、騒ぎを大きくするな。
張超は、私の力では制御できないこともあると言います。連絡取れないもんなあ。
これは善意の忠告だ、写真を掲載しろ、今回は廃ビルだったが、次も同じとは限らない。
捜査本部では、任玥婷が事件の説明をしていました。
爆発は2回。でも現場に違法な爆発物は残ってなく、ガスも引かれてはいない。現場に残っていたのは、コンロや扇風機などの生活用品。
近所に麻雀湖という湖があり、散歩の老人たちに聞き込みをすると、この頃ホームレスが出没していたらしい。
捜査員達は2徹だったらしく、ひとまずみんな帰ることに。
だけど厳良は、何か気になると現場に向かうって。仕方なく、任玥婷もついて行きます。
現場には、爆発の中心がないらしい。爆発物があれば、そこが中心となる訳か。
そこで任玥婷が、同じ刑事だった父親の話をします。寄合住宅に住んでいた時、父親もよく使っていた練炭コンロがそこにあったところから。
働きづめの人で、任玥婷が12才の時、大腿の動脈を撃たれて病院に運ばれたものの、同時に交通事故に遭った女の子が運ばれ、1つしかない手術室を譲って亡くなってしまったらしい。どうして英雄を気取ったのか、家族のことは考えなかったのかと思ったけど、今なら分かると言います。
そういう亡くなり方をした父親を理解できるようになってから刑事になったのか、刑事になってから分かるようになったのか。でも後者なら、なぜ分からないうちに同じ刑事になろうと思ったのか。
これだけでも、この冷静で仕事熱心な女性刑事の背景をいろいろ想像してしまうな。
翌日、捜査会議。趙局長の元に高(ガオ)副庁長から、事件解決の催促が入ったらしい。
江譚晩報(ジャンタンワンバオ)の上層部は、警察に協力し、復刊することを約束してくれた。
厳良は趙局長に、何か考えはないのかと言われますが、当たり障りのないことしか言いません。彼の頭の中には、いくつもの疑問と仮説が浮かんでいるのでしょうが。
残り15日、みんなで努力して解明しようって、全員、崩れ落ちたぞ?(笑)
もっとまじめに話せと局長に言われてしまう厳良。
将棋で大事なのは駒の配置。駒は出揃っている。
今までの線形思考をやめて、別の思考方法を使うと言いました。
まず侯貴平事件。関係者は、岳軍、丁春妹、李大北(リーダーベイ)。
李大北は死亡し、岳軍と丁春妹の行方は不明。
まず岳軍の背後にある勢力を探る。
爆破事件は廃ビルで起きた。ビルの所有者は卡恩グループ。ターゲットは適当に選んだようにも見えるが、俺の勘では卡恩グループと何らかの関わりがあると思える。
陳先生から侯貴平の検視報告書を提供された。
侯貴平事件を調べていた江陽と朱偉のうち、江陽は死亡、突破口は朱偉だ。
素晴らしい。そしてそれらは全て繋がっているんだよー。
赤い荷台の三輪車で、水の販売所にきたあの男は、家財道具みたいなの抱えてますね。廃ビルから移動してきたからなー。店主らしき男は、この倉庫に泊まり込みの仕事をすれば、給金上乗せだと告げて、機嫌よく去って行きます。
男は帽子を取り、室内から光の当たる扉のほうへ。
はい、やっと映ったー、朱偉、いたー。
さて、物語はここで丁度半分。
次回は、黒幕の沼。
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