1話の、ちびっこ2人の演技にまず持っていかれましてねー。いやー、可愛かった。
ちびっこ瑲玹(そうげん)は、ちび老温(ラオウェン)でちび子秋(ズーチウ)で、哀しい表情や切ない表情のめちゃくちゃ似合う子なので、殊の外ぐっときてしまったりして。
芸達者な萧李臻瑱(シャオリージェンジシェン)くん、もう今年13才になるらしいよー。
続く清水鎮で、小夭(しょうよう)が玟小六(びんしょうりく)という、男性医師となって生き延びていた辺りがまた、かなり面白かったんですよ。14話くらいまでなんだけど。
ちょいっちょい散りばめられてはいるけど、ファンタジーの世界だってことを忘れるくらい、市井のみんなと生き生きと暮らしていて。
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所感 ネタバレです
まず人も神も妖怪も一緒に存在しているこの世界には、西炎国、皓翎(こうれい)国、辰栄国って3つの国があって、主人公の小夭は、西炎国の王姫が母、皓翎国の王が父という出自。
この3つの国をまとめているのは神族だよね、寿命が人の何十倍も長い。
小夭は、西炎国の朝雲峰で従兄である西炎瑲玹と仲良く暮らしていたものの、辰栄国との戦が起き、楽しい日々は失われてしまいます。

瑲玹は戦で父を亡くし、母は自害。小夭も母が王姫将軍として出征して戦死。
小夭は修行と安全のために玉山に送られることになり、2人は離れ離れになります。
必ず迎えに行くと誓う、チビ瑲玹。
この子は大人しい読書人タイプで、元気なチビ小夭に守られたり庇われたりしてたんだけど、ここで、強くならねば力を持たねば、大事な人を守れないんだと気付いてしまう。んで、祖父である西炎国の王に、自分が王になりたいと幼い決意を告げてたりする。
とはいえ西炎国には、瑲玹の叔父である王の息子達もいます。瑲玹は瑲玹で、2強となった西炎国と皓翎国間の政治的ななんらかって建前の叔父達からの排斥を受けて、皓翎国に送られることになる。
小夭の父である皓翎国の王は、賢王で名高い人で、人質の瑲玹を弟子として育て、居心地のいい生活を与えてくれていたようで。瑲玹は皓翎国の王を師匠と仰ぎ、文武共に研鑽を積んでました。
一方小夭は、なかなか迎えに来ない父親や瑲玹を、待ちきれなくなって玉山を出奔。
放浪する中、小夭の母に尻尾をひとつ切られた恨みを持つ九尾狐に捕えられ、70年間も幽閉、拷問の日々を送ってたらしい。そこで本当の父親は皓翎王ではないと、言われ続けてもいて。
その後、九尾狐をやっつけて逃げ出し、なぜだか自分の顔が分からなくなる奇病?に冒されて、気付けば性別も違う玟小六として、清水鎮で医者をして暮らすようになってました。
ここでのなんで?が分かるのはだいぶ先なので、そこはそういうものとして見ないと、です(笑)
これが確か、あの別れから300年後だったっけ?
清水鎮ってところは、人も妖怪も一緒くたに楽しく平凡に暮らしている場所で、時々いる神族は、まあいわゆる貴族みたいな扱いかな。小六も、負傷兵だった老木を相棒に、孤児だった麻子や串子を引き取って育て、大人にしてました。この3人は普通の人間でしたね。
あ、楊紫(ヤンズー)の男装は「鳳凰の飛翔」の倪妮(ニーニー)ほどではないにしろ、かなり頑張ってたと思います。
私は楊紫の他のドラマを見ていないので、めんどくさ女子の役を知らないから、楊紫にアレルギーはないってのもあるのかな。分からんけど。

目も口紅も、も少し薄かったらな。惜しかった。
そんなある日、川辺でほとんど死にかけてボロ雑巾みたいになっている男を拾った小六。
生きる術として厄介ごとには近づかないと決めていたけど、自分も九尾狐に捕らわれていた頃、同じような状態だったことを思い出し、やっぱり放っておけずに連れ帰ります。
神族の王姫である小夭の血には、癒し効果があるみたいでね。自分の血を薬に混ぜて男を治療。
喉もやられていて、最初は言葉も話せなかった男は徐々に回復。葉十七と名付けられて、小六の助手として一緒に暮らすことに。
とはいえ、この男は神族。なのにあの姿は多分訳アリだとみんな分かってはいる。結局この人は力を持つ商家、塗山家の跡取り、塗山璟(とざんけい)でした。

割と早いうち、顔がキレイになって素顔が分かった時に、小六は多分、一目惚れしちゃったんじゃないのかなあ。葉十七のほうも、お風呂に入ろうとした時に小六がちょっと動揺したのを見て、あ、これ、男じゃないわ、女子だわと気付いちゃってた。
以降、葉十七は命の恩人の小六にべったりくっついて回るようになり、小六はそんな葉十七をかなり信用するようになるんだけど。
てもさー、ちょっとしたことだったんだけどさー。
葉十七を頼りにしようとしたら、素性がバレたくない彼が身を隠してしまって、ああ、やっぱり他人なんか信じるもんじゃなかったと自嘲する小六がカワイソ過ぎた。
私はコレで、この人はこういう時、毅然とできない男なのかもと思ってしまったのよ。それがずうっと尾を引きました。そしたら、やっぱりか、やっぱりかの連続だったしさあ(笑)
小夭の逆ハー的な物語なので、見る方はどうしても、誰が一番いいかねえと考えてしまう訳だけど。
小夭の望みに一番マッチするのは、間違いなく塗山璟だったんでしょうけど。
塗山璟は小夭以外、何もいらないと思う人ではあったけど、どこまでも優しいので。そしてそれは結果的に、小夭にだけに優しい訳ではなかったりもして。
あちこちの調整を優先しようとして、極力諍いが大きくならないようにしようとして、冷徹な判断が出来なくて優柔不断になっちゃう男はさあ…的なものが、私にはかなり残ってしまいましたねえ。家を捨てるか否かみたいなのは、かなり難しい選択だとはいえ。
葉十七が一緒に薬草採りに行ったりできるようになった頃、小六は辰栄国の残党の軍師で、冷酷非道で有名な相柳に出会ってしまい、ひょんなことから血を吸われることに。で、小六は薬の知識で、九頭蛇の妖怪である相柳に定期的に毒を提供することになっちゃう。妖怪の相柳もすぐに、小六の本体は神族の女子だと気付きます。
結構な酷い目にも遭わされるんだけど、相柳に真っ向から反発しても勝ち目はないことが分かっているから、飄々と躱しつつ、内心反発しつつ、それでも仕方なく従うしかない雑草の逞しさみたいなのを見せるんですよ、小六。で、なんだかんだと上手く付き合ってく。
相柳も、似たような過酷な過去を持っていた小六に、内心シンパシーを抱くようになってく。

この辺りの小六の生き抜く術っていうのかなあ、なんかすごいなと思ってたの。
ある意味、いろんなことに蓋をして、諦めて、ただ日々を無事に生きていければいいと思うようになっていたからこその逞しさなんでしょうが。
だから、この辺りの小六の我慢強さや逞しさを好ましく思えていると、後に王姫として復活した後の小夭の、自分は捨てられた捨てられたと、殊更にそれに拘ってグズグズするのが、うーん…となってしまって。
いや、人間ならばさ、何百年もそんなことにかかずらわってはいられない。
そもそも300年以上も生きられないけども(笑)例えば1/10としても、30年間もずっと、王姫だった母親が国に殉じたことを、自分を育てなかった、自分を捨てたと、言い続けないと思う。その後の苦労とも相俟ってかなりのトラウマとして残っちゃってたとしても、自分の老いと共に、達観していくでしょうから。母親だって、苦渋の選択だったんだろうと想像もつくでしょうから。
寿命が長くなかなか老いない神族は、精神的な成長も遅いんでしょうかね。
相柳の場合は、妖怪だってのと、救って貰った辰栄国の将軍への恩返しのために、小夭に惹かれていても、自分は冷酷な妖怪で敵だからって姿勢を崩しません。将軍にもおまえは立場が違うんだから、一緒に破滅しなくてもいいと言われても、頷かなかったもんねえ。死に場所を探してるみたいにも見えたよ。
というかもう、あの頑なさは、一緒に過ごしてその死を看取って来た、たくさんの仲間の兵達への気持ちなんでしょうね。
実はそれくらい情に篤い人でもあるし、本人には何一つ言わずに、陰で小夭をとことん助けているのに、それでも面と向かっては、偽悪的な言葉しか吐かない。
小夭だって、死にかけた時に30数年も献身的に蘇生をしてくれていた姿を見てる訳だから、そんなことには気付いていてもよさそうなのにさあ。
あの時、相柳は9つある自分の頭を2つ犠牲にしたんでしたっけ?だけど、そういうのも一切言わない。
だから小夭がちょっとした表面的な行動だけを見て、恨んだり憎んだりするのが、結構な阿呆に見えちゃった。小六の頃の賢さはどこ行ったよ?となりました。
言わないから分からないんだけども。なんだかんだ、窮地には絶対に来てくれてるんだから、行動で判断できるだろうよー。情を感じていなければ根付かない情人蠱が、がっつり相柳に根付いたってだけでも、気付けよー!てか、自分が育てた蠱虫の性質くらい把握しとけよー。
私的には、瑲玹は問題外で。
ごめんよ、兄さん。でも子供の頃は良かったけど、大人になったら全部がダメでした。
アレだけ探していた小夭が目の前にいるのに、自分だけが気付かないってのからしてさ。
散々甘やかしてきた訳の分からないワガママ阿念を優先して、疑いに疑い続けて拷問したり、なんで皓翎王が話を聞いて即、連れて来いって言ったのかの真意も読めずに、抵抗したからと足を折ったりするんだもの。まあ、物語の都合上ってのはワカルけど。
そして、どんどんサイコ味溢れる視線を見せるようになってく訳で。もうあの三白眼みたいな目を見ると、生理的に無理っ!となっちゃってましたわ。ごめんよ。だけど無理なもんは無理(笑)
退位後の西炎王、じいちゃんがいてくれなかったら、瑲玹は完全に黒化してたでしょうよ。
よくぞ、踏み留まらせてくれました。割と早いうちから、チラッチラ目線を送っていて、あ、コイツまずいなー感を匂わせてましたもんね、じいちゃん(^m^)
そもそも大事な小夭を守りたいがための、力が欲しい権力が欲しい、ではあったものの、強大な一国の王となってしまえば、むしろプライベートは犠牲にせざるを得ない。比較的普通の道理だと思っちゃうんだけど、気付くのが遅すぎましたね。

小夭には違うってのも分かってはいるけど、途中はもう、さっさと相柳とくっついてしまえ!だった。
対照的に小夭の母親は、西炎国や皓翎国では、蛇蝎のように忌み嫌われていた辰栄国の将軍、赤宸(せきしん)を愛していた訳で。
相柳の表と裏を見るまでもなく、戦う人の戦場での姿は、敵国から見たらそういう評判になるわなってことだよねえ。
小夭が相柳を選んでいたら、似たような悲劇が繰り返されるところだったんでしょうかね。
ということで、私は、途中までの、ちょ、その扱い、ひどっ!を持ってしても、相柳派。
どう考えても、この人は無事には終わらないだろうってところも含めて、漂っている退廃的というのか破滅的というのか、そんな風情が美し過ぎました。銀髪の檀健次(タンジェンツー)のビジュアルが強力過ぎたってのも、大いにありますが(^m^)
あの銀髪の相柳の見た目で、顔じゅうにいっぱい目を描かれて、むうっと小六を睨むシーンなんか、笑っていいんだか怖がればいいんだか、分からんかったよ(大笑)
ただ小夭も、あの魔法の鏡みたいなのに残していたのは、相柳の顔だけでしたよね。
今までの経験から、自分だけを大事にしてくれる人を求めていた小夭だけど、魂の部分では相柳に惹かれていたのは間違いなくて。でも相柳は、小夭の他に譲れないもののある人。
だから死に向かう相柳は、鏡の残像も綺麗さっぱり消してっちゃった。
いなくなる自分なんか忘れて、小夭が塗山璟と望み通りに幸せに生きていけるようにと、自らの身を守れるようになんてことまで、随分と画策して。
そう考えると、本当の意味で一番小夭に無償の愛を注いでいたのは相柳なんじゃないの?
だから、塗山璟が海に落ちて死んだ?って時の、塗山璟め!の台詞は、ちょっと笑ってしまいましたよ。
あの中途半端ヤロー、どこまで面倒かける気だ!と思いつつ、探しに行ったんでしょね。台詞字幕は一言だけだったけど、きっとブツブツ文句言ってたんじゃない?と思うとめちゃ可笑しい。
相柳の時はほとんど笑わなかったけど、防風邶(ぼうふうはい)の時はよく笑顔を見せ、その後、相柳に戻っても時々ふっと表情を緩めるようになってたり、どんどん切ない表情を垣間見せたりっていうねえ。そんなちょっとした表情の変化にも、だいぶやられちゃったわ。

最後に阿念が相柳の味方になってくれて、なんか救われた気がします。相柳にも阿念は信頼に値すると言われてたっけ。阿念の成長には目を見張るものがありましたな。
あの人形、絶対捨てないでよ?相柳の魂がこもってるんだから。
英文タイトルの「Lost You Forever」っていうのは、小夭が永遠に失ったのは相柳ってことですよねえ。
既に、あこちで活躍してる檀健次だけど、これでまたぐんとファンを増やしたのではなかろうか?
あっ、もう1人触れ忘れているっ。
紆余曲折ありつつ、小夭の許嫁となる赤水豊隆。この人もちょっと可哀そうな運命でしたねえ。
小夭の相手としては、他3人に比べたら弱いのは確かだったけど、お坊ちゃん育ちとはいえ、いろんな意味でバランスの取れた、いい人だったんだよ。
130年?も人質になっていた妹のお陰で、本人は何不自由なく育っていたからと言って、捻くれて浅はかなコトをしでかした辰栄馨悦(しんえいけいえつ)の尻拭いみたいなもんで、命を落とすってのはなあ。
辰栄馨悦って人は、瑲玹を慕っていると言い続けてたのに、瑲玹の窮地には、保身一番で顔も出さなかった。長い人質生活でそういう立ち回り方になったんでしょうけど。なのに、互いに愛し合っていると思い込める独りよがりが、気持ち悪かったもんねえ。

とはいえ、結婚後の辰栄馨悦への対応は、とにもかくにも瑲玹が悪い、一択ですけどね。
仕方なく娶ったとはいえ、王后の顔を立てることも一切しない王。だいぶ酷い。
小夭も、どんな時でも自分のところに入り浸ってる瑲玹の異常さに、気付かないんだもんな。小夭がもう少し女性として視野の広い人だったら、政略とはいえ、政略だからこそ、妻たちは大事にしないといけないくらい、言えたんでしょうが。
各キャラクターに対して、言いたいことがたくさんあるっていうのは、面白いドラマだった証拠なんじゃないかなと思います。
本当はもっと触れたい人、いっぱいいるんだよ。
阿念の変化とか、こんなに活躍するとは思わなかったぞ蓐収(じょくしゅう)とか。この間まで「大理寺日誌」で崔倍見てたからねえ。飄々として毒を吐きつつ、表面を取り繕う強かな蓐収が新鮮でした(^m^)
老木も皓翎王も小夭ママも元西炎王も、それぞれの背景がいろいろ想像できて面白かったです。
本国でのオンエアは、お国の事情で1季2季の間1年空いたらしいけど、これは続けて見たほうがいいかもしれません。合わせて62話は長めですが、飽きない面白さでした。
檀健次工作室の、相柳の使い魔?毛球(もうきゅう)が、いなくなった主を健気に捜し回る動画を見たんですよ。最後に、相柳が毛球って呼ぶ声が入ってて。
これ⇒https://weibo.com/3606929931/5060451891940290
泣いたよぅ。
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作品情報
- 制作 2023年発表 39話 第2季2024年発表 23話 腾讯视频
- 原題 「长相思」
- 原作 「长相思」桐华
- 監督 秦榛、杨欢
- 脚本 桐华、王晶、雪灵之、秦晔、袁帅
- 撮影期間 2022年3月28日~2022年9月25日

人物相関図

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